
2016年3月26日、ついに北海道新幹線が開業!東海道新幹線開業から50年余り、津軽海峡を越え北海道から本州、九州まで、初めて新幹線でつながりました。最初に青函トンネルを通る6時32分新青森駅発「北海道新幹線」の下り一番列車に乗ってきました!
最初に青函トンネルを通る北海道新幹線一番列車の乗車はもちろん一生に一度!
北海道新幹線の下り一番列車、6時32分新青森駅発「はやて91号」の乗車レポートです。前日に東京から新青森入りし、一泊。朝5時30分過ぎに新青森駅に到着しました。
ホームへ向かうエスカレーター前では青森市観光イメージキャラクター「ねぶたん」がお見送り。記念品の「ねぶたしおり」のプレゼントもありました。

ホームへ行くと一番列車、ピッカピカの車体が待っていました。

先頭車両付近のホームでは出発式が行われています。

青森県・函館デスティネーションキャンペーンマスコットキャラクター「いくべぇ」、弘前市のキャラクター「たか丸くん」、新幹線をモチーフにしたキャラクター「新幹線トレインジャ―」などのキャラクターも花を添えてくれましたよ。
出発時刻が近づくと、津軽三味線が鳴り響き、たくさんのフラッシュ!
そして、ついに汽笛を鳴らし、北の大地に向かって出発しました!
4歳の息子連れの筆者は、「ほぉら、出発したよ~!」と。息子のテンションもMAX!隣の友人と一緒に喜びを分かちあいました。
開業日ならではの特別な車内アナウンス
さすがは、開業当日。車内アナウンスもみんな、耳をそばだて聞き逃しません。ご家族、ビジネス、鉄道好きな方々など、この日を待ちわびていた車内の乗客の心が一つになっていたかような一番列車を楽しむ雰囲気となっていました。―車内アナウンス―
「1988年3月13日に、本州と北海道が津軽海峡の下を走ります青函トンネルで結ばれてから28年が経過しました。本州と北海道をつなぐ大動脈として、沿線地域にお住いの皆様をはじめとして、多くのお客様にご利用いただけますよう、新幹線にかかわる社員一人ひとりが、最高のおもてなしで皆様をお迎えしますことをお約束いたします」。
車窓を眺めながら、歴史的な瞬間に乗車できた喜びをかみしめ、10分ほど経ったでしょうか。最高時速260kmの北海道新幹線は、あっという間に、最初の停車駅「奥津軽いまべつ」に到着しました。

奥津軽いまべつ駅では、6時から開業式典・出発式が行われていたこともあり、早朝にも関わらず地元の人たちが一番列車を歓迎しようとホームに溢れていました。

1分間の停車後、青函トンネルへ向けて再び、走り出しました。
いよいよ、世界一の長さを誇る(営業路線で)青函トンネル(全長53.85km)に潜ります。
車内アナウンスでまさかのクイズ?!
青函トンネルへ近づくにつれて、乗客も少しソワソワ…。この列車に乗った方々は、最初に新幹線で青函トンネルを通りたい方が大半ですからね。そして6時56分頃、青函トンネルへ入りました!ここから10分間弱ほど、青函トンネルについての車内アナウンスが始まりました。
―車内アナウンス―
「この青函トンネルの全長は53.85kmあり、営業中の鉄道トンネルとしては現在でも世界一の長さを誇り、東京、山手線の一周半に相当する距離です」。

世界一長い鉄道トンネルに新幹線が通ること自体が素晴らしいことなんですよ!!
海外からのお客さんもどんどん増えてくれることを期待したいですね。
―車内アナウンス―
「ではここで皆様に簡単な問題を出させていただきます」。
「え~?!問題~?!!クイズだすの?」と思わず、友人と笑っちゃいましたが、開業日ならではのプレミアム感に恐れ入りました。
―車内アナウンス―
「ただいま、この電車、青函トンネルに入りましたが、ただいま入りましたところは入り口でしょうか、それとも出口でしょうか?」
しばし沈黙が流れる。。。難しい問題です。
(※答えは最後に)
まもなく、新函館北斗駅発の一番列車「はやぶさ10号」とトンネル内ですれ違うとのこと。北海道在住の友人から「『はやぶさ10号』に乗車しているのでトンネルですれ違いましょう!」とメッセージが来ていたので、楽しみ!トンネル内では速度を落として走行することもあり、すれ違ったのも気づかない人もいたほど、大きな音もすることなく走行していました。そして速いのに揺れず、快適でした。
周りの乗客が、「青函トンネルの中の特有の騒音が、これまでの快速や特急に比べるとかなり小さい。新幹線車両の構造の関係かな?」話しているのが聴こえました。
そして、7時15分頃、ついにトンネルから抜けました!
車窓は、等間隔の蛍光灯のラインが続く景色から、一瞬、真っ白になり、まぶしい快晴の北海道に出たのです。雪が残る山がまぶしい。

車内アナウンス
「はやて91号は青函トンネルを通過し、北海道内をただ今、走行しております。
本州から最初に新幹線で青函トンネルを通過し、北海道にお越しくださいました最初のお客様となります。
かつてナウマンゾウが通った道を、青函連絡船、在来線、津軽海峡線、そして北海道新幹線がいよいよ渡りきりました」。
陸が続いていたナウマンゾウの時代からの太古のロマンを思わせる気の利いた車内アナウンス。海峡に変わってからは、小舟、北前船、青函連絡船でこの海峡を渡った人たちはどんな思いで、この“しょっぱい川(青森の人は津軽海峡のことをこのように呼んでいました)”を渡ったのだろう?なんて思いをはせたり。
それがこの日から、1時間で新幹線で行き来できるようになりました。
思い立ったら、北海道新幹線に乗って、「北海道・北東北の縄文遺跡群」や「松前藩ゆかりの史跡」を訪ねる旅に出てみるのも良さそうですね。なにせ、新青森から新函館北斗まで1時間でつながったのですから。
新幹線を降りると、心温まるおもてなしが待っていました
沿線に集まった人たちの歓迎を受けながら、定刻通りの7時38分に新函館北斗駅に到着しました。
やっと会えた!H5系
私が乗車してきた下り一番列車はE5系車両。まだ実際に「彩香(さいか)パープル」ラインの新車両を観ていません。そこで、10時7分新函館北斗駅着の仙台駅発一番列車がH5系とのことで、それまで待つことに…。そして、ついに!生「H5系新車両」がやってきました!!

(後半動画提供:RicoLa Nana)
せっかくですから、ここで車内デザインも紹介しましょう。
先頭のグランクラスには、大柄の青色の絨毯を採り入れ、沿線の湖沼(十三湖・大沼など)や海(津軽海峡・陸奥湾・函館湾)の水面が輝く様子を表現しました。

2両目グリーン車は、オホーツクに春を告げる、流氷の海明けをヒントにデザインした柄を通路に配したカーペット、ナチュラルな北海道の豊かな乳製品をヒントにしたクリーム色の壁となっています。

そして、3両目以降の普通車は、木目を基調に、床は北国に舞う淡い雪や函館の夜景をイメージしています。

通路には、アクセントとして雪の結晶をモチーフにした模様もあって遊び心いっぱいです。

新函館北斗駅では、駅前広場でイベントが開催されるなど賑わいをみせていましたが、函館駅でもイベントの開催などもあり、たくさんの人出で盛り上がりを見せていました。


2016年3月26日、本州と北の大地が新幹線でつながり、日本列島の南北2,150kmが新幹線で結ばれました。北海道新幹線は今後、2031年春ごろに、札幌までの延伸を予定しています。
新函館北斗駅から、2次交通を組み合わせて、道南はもちろん、道央、道東、道北など北海道各地へオリジナルルートの旅をお楽しみくださいね!!
※青函トンネルクイズの正解:入り口
入り口は青森県側で、青森県東津軽郡今別町浜名、出口は北海道側で、北海道上磯郡知内町湯の里です。
関連ページ
・北海道庁 北海道新幹線ページ・北海道新幹線スペシャルサイト
写真提供/北斗市
江澤香織「青森・函館めぐり」
動画提供/RicoLa Nana
取材・撮影・文/北海道Likers フォトライター Akiko