2016年03月27日 | うずらはしちあき

情熱の仕事人。旭川に根ざして家具をつくり、世界に挑み続ける。カンディハウス代表取締役社長「藤田哲也」

旭川の家具メーカー、カンディハウス藤田哲也社長

上質な木材を生かし、デザイン性、品質の高い家具づくりを追求。“メイドイン・旭川”を国内のみならず世界へと送り出す、株式会社カンディハウス。「情熱の仕事人」今回の主人公は、同社トップの藤田哲也さんです。

 

旭川家具とカンディハウス

豊富な木材資源に恵まれた旭川は、古くから木工業が発達。高い技術が集積するこの日本有数の家具産地において、1968年にインテリアセンターの社名で立ち上がったのが、現カンディハウスです(2005年社名変更)。家具職人だった故・長原實さんが、家具の本場ドイツでの修業後に世界を目指して創業しました。


カンディハウスの椅子たち

かつて旭川家具は、婚礼家具に代表されるタンスを主力製品としてきました。その中にあって、カンディハウスはいち早くデザインの重要性に着目し、脚(あし)物と呼ばれるテーブルや椅子などを開発・生産。国内主要都市に営業拠点を設け、早くからアメリカ、そしてドイツに進出し、国内外から高い評価を得る家具メーカーとして地位を築いてきました。
 
技術とデザインを掛け合わせた家具づくり。その取り組みは、タンスの需要低迷の影響を受けた旭川地域のものづくりを再び照らし、デザイン性を重視する旭川家具シーンを現在の姿へとけん引してきています。

 

家具の営業という仕事

藤田さんは2013年、カンディハウスの3代目社長に就き、経営の舵を取っています。
専門学校でインテリアデザインを学び、1982年にインテリアセンターに入社。札幌営業所(現道央支店/ショップ)を皮切りに一貫して営業畑を歩み、成果を積み上げてきました。


旭川の家具メーカー、カンディハウスの藤田哲也社長▲株式会社カンディハウス 代表取締役社長 藤田哲也さん:1960年、渡島管内・七飯町生まれ。北海道造形デザイン専門学校(1982年)、産業能率大学(2009年)卒業。1982年、株式会社インテリアセンター入社。カンディハウス非常勤取締役、取締営業本部長、専務取締役営業本部長を歴任、2013年より現職。インテリアプランナー、インテリアコーディネーターでもある


札幌で課長として全国トップの成績を上げ、その後、業績不振だった横浜営業所へ。ショールームを全面改装して集客強化を図ることから始め、営業所長として着任3年目で、同営業所の一人当たりの平均売り上げを全国トップに導きました。


カンディハウス旭川ショップでのインタビュー風景▲インタビューは本社に併設され、昨年リニューアルした旭川ショップで実施。改装は藤田さん自らが陣頭指揮を


その頃、一人のお客さまとの出会いから大きな刺激を受けます。
「道を切り開き、社会に誇れる仕事で大成功をおさめ、第2の人生を過ごす家を整えようとされている方でした。私はその方に、“自分の意思が環境を変え、人生を変える”ということを教わりました」。
その後、藤田さんはインテリアセンターを退社して、98年横浜にグループ販売会社を設立します。いつか経営者になるという目標を36歳のときに実現し、事業を軌道にのせていきました。現在もこのカンディハウス横浜の社長を務めています。


カンディハウス旭川ショップのダイニング展示

「ダイニングテーブルがあり、チェアがある。そこに家族が集まって食事をする。家具の営業というのは物販ではなく、生活そのものの場を提案すること。自分の仕事が暮らしに潤いをもたらし、少しでも日本の住文化を上げることにつながるんだという思いでやってきました」。
 
長く使い継ぐことのできる家具を揃えるのは、家を新築したりマンションを購入したり、あるいは別荘をもつときが、最も多いタイミングになるといいます。真新しい空間に選んだ家具が入り、新しい生活が始まる。そうした数多くの人生の幸せな場面に出会えたことが、営業の仕事をしてきて得た「一番の財産」になっているそうです。


カンディハウス旭川ショップフロア▲本社3階ワンフロアをショップとし、ライフスタイルを提案

 

「価値」を広く伝えていく

カンディハウスが原点とするのは、「長く愛されるものをつくること」。国内外のデザイナーとの積極的なコラボレートでデザイン力を高め、旭川での生産にこだわって品質に磨きをかけ、優れた製品を送り出しています。木のにおいに満ちた工場では、先進機械が稼働。加工の高精度・高効率化を図り、微妙なデザインを表わす工程や仕上げは、手技によって成されています。
 
「素材、機能、デザイン。すべて含めて真摯なものづくりをしている」と藤田さん。世界からも評価を受ける「本物」を生み出すそのものづくりの現場に、自身も「刺激をもらっている」と話します。


カンディハウス旭川本社併設工場で作業する技術者▲本社と直結する工場は、世界に通用する家具を送り出すカンディハウスの心臓部 ※撮影のため立ち入り


経営の基本方針においたのは、ブランディングです。
「『ものを見たらわかる』だけではいけない。発信力をもってしっかりと『CONDE HOUSE』のブランドを伝えていくことが、企業価値を高めることにもなる。そのためにもインナーブランディングに力を入れています」。
全社員が自分たちの価値、強みを共有できるようにしようと、各種イベントへの参加報告なども含め、伝えたいことを映像化。朝礼でのデジタルコミュニケーションに取り組んでいるそうです。


カンディハウスの新作椅子カムイ▲プロダクトデザイナー深澤直人さんとのコラボから誕生した新作ダイニングコレクション「KAMUY(カムイ)」。椅子は、座、背の曲線が美しく、やわらかい手触り、木に包まれるような座り心地を体感してきた


ブランディングとともに強化を図っているのが海外戦略。アジア諸国での市場開拓を進め、勢いよく販路を広げています。「自分が現地に行って、ダイレクトにコミュニケーションを取ることが重要」とし、藤田さんは精力的にトップセールスに動いています。
 
「旭川のブランドといって海外へ出ていく。私たちの背景には、北海道がある。特にアジアでは、『あの美しい北海道でつくっている家具』といってもらえる。北海道というブランド力が、私たちのブランディングにもつながっています」。


椅子カムイとカンディハウス藤田哲也社長▲「KAMUY」のチェアは前脚と後ろ脚をつなぐ貫(ぬき)の太さを前後で変えるなど、緻密な計算によって形成されている。グローバル戦略シリーズに位置付けている製品で、1月に開催された「ケルン国際家具見本市2016」にも出品

 

これからも産地・旭川とともに

旭川では1990年から3年ごとに、カンディハウスの創業者である長原さんが立ち上げた、「国際家具デザインフェア旭川(IFDA)」が開催され、2017年に10回目を迎えます。
「『30年経つと世代が変わる。旭川家具全体の地位を上げるために、まずは10回継続することでデザインの大切さを伝え、つないでいく』。それがIFDAをスタートさせた長原の思いです」。
 
IFDAのメインは、木製家具デザインを競うコンペティション。世界各国から約800点もの応募が寄せられるといいます。カンディハウスをはじめ旭川の家具職人の技術によって、これまで入賞入選作品や応募作品から多くを製品化。国際市場で販売されています。


ASAHIKAWA DESIGN WEEK2015のパーティ風景▲業界関係者だけではなく、一般参加者も楽しめる企画が展開される「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」。写真は昨年の「ADW BAR」会場の様子


また、長年にわたり旭川家具産地展も行われています。昨年から「ASAHIKAWA DESIGN WEEK」に改名し、旭川のものづくりを世界へ発信するイベントへとリニューアル。2016年は6月22日(水)〜26日(日)まで、5日間の日程で開かれます。
 
藤田さんは、「この地で家具をつくるメーカーのみなさんとともに、旭川の家具産業を伸ばし、地域を活性化する努力をしていきたい」と語ります。
経営者として抱くのは、「会社を存続発展させ、永続的に社会に貢献していきたい」という思い。地域を見つめながら、世界へと挑戦を続けていくカンディハウス。自社のためだけではなく、「産地・旭川、北海道、日本のために」を、藤田さんは体現していきます。


旭川の家具メーカー、カンディハウスの藤田哲也社長
 

関連リンク

国際家具デザインフェア旭川
ASAHIKAWA DESIGN WEEK
 

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