「北限のブナ林」黒松内町:北海道遺産シリーズ(26)



ブナは温帯を代表する樹種で、日本では東北地方でよく見られる落葉広葉樹です。北海道では渡島半島だけに分布し、黒松内低地がブナの分布北限となっています。繊維が堅いブナの落ち葉は、ゆっくりと分解され、層になって積み重なっていくため、ブナの森の道はクッションのようにふかふか。この落ち葉の層が、水を貯える腐葉土の層が流出するのを防ぎ、多様な生物をはぐくむ役割を担っています。森林の価値と地域住民の保全活動が注目され、黒松内のブナ林は「北限のブナ林」として2004(平成16)年に北海道遺産に選定されました。
 




黒松内市街地の近くにあるブナの自然林「歌才(うたさい)ブナ林」は、ブナ自生北限地帯を代表する森。1923(大正12)年に、天然記念物調査委員としてブナ林を訪れた札幌農学校(現北海道大学)の新島善直博士に価値を見出され、1928(昭和3)年に国の天然記念物に指定されました。

しかしその後、ブナ林は2度の伐採の危機にさらされます。太平洋戦争の末期には、木材として利用されそうになったり、村の赤字解消のために木を切って売ろうという話が持ち上がったり…。そのたびに、新島博士の意思を受け継いだ植物研究者と地元住民たちがブナ林の必要性と価値を熱心にうったえ、今日までブナ林を守り続けてきました。

天然記念物として自然のままに残っているブナ林は、草花や鳥の観察のほかにも森林の四季を感じられる体験ができる場所。春から秋は自然散策が気軽に楽しめ、冬はかんじきをはいてブナ林の中を歩くブナウォッチングが人気です。雪が積もっているので、普段は道がなくていけないところまで散策することも。

 



森林公園内にはレストラン併設の宿泊施設「歌才自然の家」があり、春と秋には宿泊付きのガイドツアーも行われているほか、歌才森林公園近くの「ブナセンター」では、自然に関する本が豊富な「森の図書館」で自然観察の方法や動物・植物に関する資料を閲覧することができます。
 




夏は散策ツアー、冬はかんじきで歩くブナ林で、多様な生物が暮らす自然とふれ合いながら北海道の自然のすばらしさを感じてみては。

 


 

関連リンク

黒松内町ブナセンター
歌才自然の家