小樽の旧くて新しいまちの縁側「(旧)岡川薬局」

小樽の歴史的建造物「旧岡川薬局」は、地域の薬局としての役目を終えた後、地元の建築家によって改装され、現在はカフェ、レンタルスペース、ゲストハウスとして活用されています。小樽のまちの縁側をめざす、旧くて新しい「(旧)岡川薬局」。装いを新たにした内部と、そこで繰り広げられている取組みとは?

 



1930(昭和5)年に建てられ、かつて地域の中心地として栄えた南小樽の老舗薬局として地元の人々に親しまれてきた「岡川薬局」は、屋根窓や石造り風のモルタル壁などこだわりのデザインを贅沢に取り入れた外観が印象的で、小樽市指定歴史的建造物としてもよく知られています。
薬局を閉める際にやむなく解体されそうになりましたが、昔から補修に関わっていた地元工務店所属の建築家が「待った!」をかけ、愛着のあった建物を活用しながら保存していく新しい取り組みを実現。気軽に利用できるカフェを呼び水に、イベントやライブ向けにスペースの貸し出しや、ゲストハウスを運営するなど、たくさんの人が使いやすく、心地よく集まることができる「場」づくりを実践しています。

 


 



白を基調としたシンプルな内装に、一瞬、かつての薬局の様子はなくなってしまったかのような印象を受けますが、カフェのカウンターになっているのは調剤室の渡し口。2階の天井に残る吊金具の跡やさりげなく置かれている薬瓶など、建物の中にこっそり隠れている薬局グッズにその名残を見つけることができます。

 


 


 



建物奥のかつての居住エリアにある和室は、日本の伝統的な住空間を楽しみながら宿泊できるゲストハウスとして活用されています。畳、屏風、掛け軸、ふすま…和の雰囲気は、海外からの観光客にも人気とのこと。
 



宿泊施設を利用するのは、観光客だけではありません。(旧)岡川薬局では、カフェ手伝いの労働力と宿泊費を等価交換する「ワーキングステイ」というユニークなシステムを採用していて、旅費が負担になりがちな学生にもよく利用されています。取材時にもワーキングステイを利用して本州から来た学生さんにお会いしました。カフェスタッフとして働きながら、以前から来たいと思っていた小樽の滞在を楽しむそうです。
 



懐かしい街並みが残る南小樽にある(旧)岡川薬局の取り組みは、歴史的建造物のあたらしい活用事例として注目され、小樽のまちの担い手を増やすきっかけをつくっています。

人と人とが緩やかに交流する、まちの縁側のような(旧)岡川薬局。小樽を訪れたときは、(旧)岡川薬局でひと休みしながら、旧くて新しい小樽のまちの未来を想像してみては。
 


 

関連リンク

(旧)岡川薬局
小樽市HP(市指定歴史的建造物)