湯の川温泉に憩うサル「函館市熱帯植物園」





冬の函館では、温泉に入るニホンザルを見に、アジア各国から旅行者が訪れていることをご存じでしょうか!開館45年を迎えた函館市熱帯植物園の冬の風物詩、温泉に入るサルについて、園長の笠井佳代子さんに話を伺いました。



サルたちも「いい湯だな」

函館山から見て東方約7km先、海沿いを走る漁火通りに面して函館市熱帯植物園があります。湯の川温泉の旅館からすぐ散策でき、函館空港からも約3kmの距離。野球場ほどの広さがある熱帯植物園の敷地には、温室とサル山を始め、夏には子どもたちに人気の「水の広場」やバッテリーカーなど、懐かしい施設や遊具があります。この植物園で冬に人気の風景がずばり、温泉に入るサルです。
まずはどんな光景かご覧ください!





一般的なサル山に、広い温泉プールがあるのが湯の川らしい光景です。ここでは約90頭を飼育しています。日中はこのサル山や温泉で過ごし、寒暖差が大きい季節は閉園後、屋内に移り寝ています。気持ちよさげなサルたち、思わず共感しませんか。









温泉に入るサルが外国人に大人気

豊富な温泉を活用して、函館市が1970(昭和45)年にこの施設を建設。“昭和”の雰囲気を醸す湯の川の定番スポットとなっています。2003(平成15)年から地元のNPO法人函館エコロジークラブがサルを含めて熱帯植物園を運営しています。年間で約9万人が訪れる人びとの多くは8月と7月が中心で、子どもが遊べる「水の広場」がお目当てとのこと。





夏場に次いで意外と入園者が多いのが12月から4月にかけての期間で、温泉に入るサルが外国人旅行者に大きな魅力となっているようです。例年12月1日から春の大型連休の5月初旬まで、プールは温泉で満たされます。


お湯の中ではみんな実にいい表情。ちなみに写真は飼育スタッフが、サルの手が届かない位置にカメラを据えて、リモートで撮影をした2015(平成27)年2月頃の様子とのこと。仲間同士毛づくろいする姿に、見ている側も温まります。「ニホンザルは人に危害を与える可能性のある野生動物で、普通の人が近寄ることは危険です。この表情を捉えるには、彼らの日常を知る当館職員の工夫や撮影機材があって可能なことだと思います」(笠井さん談)





笠井さんにサルの温泉シーズンに向けた準備について伺いました。
「例年12月1日から、函館市にお湯をわけてもらえる時期に入ります。配管のバルブを開けて温泉を溜めると一斉に入ります。源泉は50度くらいなので、職員が外気温を見ながら加水して調整します。サルは温泉に入る前に手を浸し、湯加減を確認してから入ります。自分の適温ではないと、手だけ浸して入らないサルもいます」とのこと。なんて賢い、湯の川のサルたち!





派手さはなくとも地元函館に根ざす植物園では、長年、市内の学校の職業体験先として受け入れを行っています。植物園で近年多いのが中国、台湾などアジア各国から訪れる旅行者で、彼らのお目当てが温泉に入るサルとのこと。温泉ザルが見られる観光地は、ここ函館と長野の地獄谷野猿公園で、日本らしい風景として人気が高いそうです。「サルが温泉に入る様子を見た外国人旅行者は、さかんにカメラやスマホでサルを撮影したりエサを与えたりして、その歓声は大変賑やかです」





気にいったサルが見つかったら、エサやりを体験してみてはいかがでしょう。



湯の川温泉をPRする存在に

地元の函館湯の川温泉旅館協同組合の青年部では、植物園のサルたちに着目し、2015年は温泉ザルをPRモデルに起用。組合の公式ポスターやパンフレットを作成しました。当初の案では温泉街の町並みの風景写真を使ったポスターの予定でしたが、どうも青年部のつくりたいものとしてはしっくりこなかったのです。「湯の川温泉のポスターを刷新しよう」と青年部が組合の役員を説き伏せて実現したのがこの作品。





「3月20日頃に半日、現場にカメラマンが貼り付いて撮影しました。笠井園長のご配慮で開園時間より前に入れて頂き、サルの表情と温泉の湯気が立ちのぼる構図を狙いました。気温が上がる4月以降は、湯気が上がらなくなるのでぎりぎりのタイミングでした」(青年部の部長和泉孝平さん談)。なるほど、朝湯にうっとりしていたとは!サルたちは愛らしいだけでなく、湯の川温泉の観光をPRする重要なキャラクターとなっているようです。





温室の熱帯植物も必見

サルたちを預かる笠井さんたちは重責を担っています。「当園は動植物の命を預かるため1日も休むことはありません。修繕や点検で見学できない時でも、職員は毎日清掃や給餌をして健康管理しています。温室も植物の生長に必要な管理をしています」と、陰の働きを教えてくださいました。冬に訪れた際はサルだけでなく、温室の中も巡ってみてください。





温室の近くには足湯もあるので、サルを見てうらやましくなったら温まってみては。ニホンザルの他にはミニウサギ、温室の池ではコイとキンギョ、水槽は熱帯魚やミドリガメ、さらにインコも飼育しています。身近な動物は地元の子どもに人気です。





温室では多くの花が咲き、南国の色彩が楽しめます。「このリュウゼツランは別名『センチュリー』とも呼ばれ“世紀”に例えられたほど、花を目にすることが困難な珍しい植物です」(笠井さん談)。ちなみに、リュウゼツランはテキーラの原料となるサボテンの仲間ですね。







冬は温室の中で地元の文化サークルが多くイベントを催す季節。クリスマスにかけては、ハンドベルや合唱、管弦楽など多様な催しがあります。







熱帯から亜熱帯に育つ300種・約3,000本の植物と愛嬌のある動物たち。2016年は申年です。湯の川温泉に憩うサルを見に出かけませんか!





交通アクセス

(1)市電から徒歩で 「函館駅前」電停から「湯の川」行きに乗車し約25分、終点「湯の川」電停で下車、約1km、徒歩約10分


(2)路線バスで(函館バス) JR函館駅前バスターミナル6番「日吉営業所前」行き、または96番「函館空港」行きに乗車し約17分、「熱帯植物園前」バス停で下車すぐ
※時刻表やランドマーク検索は「函館バス バスロケーション」をご参照ください

「函館バス バスロケーション」


(3)路線バスで(函館帝産バス) 函館空港とJR函館駅を結ぶシャトルバスもあります。乗車時間約8分「湯の川温泉」バス停で下車すぐ(※JR函館駅発のバスは湯の川温泉での下車はできません)

函館空港-JR函館駅・市内シャトルバス


(4)マイカーで JR函館駅前から約5.5km、約15分。函館空港から約3km。無料駐車場完備