どこまでも続く広大な湿原、サロベツ湿原を散策



北海道北部に、JR山手線の内側の面積よりも広い湿原があります。ラムサール条約にも登録されているサロベツ湿原です。この中の一部には木道の散策路があり、散策することができます。ネイチャーガイドの山元さんと歩いてみました。
※2015年7月中旬頃の様子です。





サロベツ湿原は、東西約5~8㎞・南北約27㎞のサロベツ原野の中にある湿原。日本で3番目に広い湿原で、面積は約6,700ヘクタールあります。ちなみに、山手線の内側の面積は約6,400ヘクタール。首都圏の皆さんなら、いかにここが広いかが伝わるのでは?

 

まずは農地化や泥炭採掘が続いてきた歴史をちょっと勉強

サロベツ湿原は、1940年代ごろまでは倍近い面積、約1万4,600ヘクタールもありました。戦後の大規模農地の開拓や、近年まで行われていた泥炭(ピート)の採掘のため、湿原の規模はだいぶ小さくなりました。





散策路のスタート地点には、サロベツ湿原周辺の歴史や環境を紹介する施設「サロベツ湿原センター」があります。散策路沿いには、泥炭採掘していた設備や採掘した跡もあります。現在は自然保護と再生の取り組みが行われていますが、一部の跡をあえて残して歴史を伝えるようにしているそうです。

 

山元さんと楽しみながら木道散策

散策路の奥へと歩みを進めます。
今までかなり真面目な解説をしていた山元さん、突然クイズを出題されました。
「この木はタラノキ。この芽は、天ぷらでおなじみ、タラの芽です。これを好んで食べる動物は何でしょう?」
うーん、と考えていると、
「正解は、コチラ!」
と、鞄の中から、大きなぬいぐるみを出してきました。
正解は、エゾユキウサギ。この周囲にもよく現れるウサギで、春先が一番目にすることが多いそうです。





歩き始めの頃は低木が周囲に茂っていましたが、奥へ進んでいくと、低木すらほとんど生えていない、平原のような景色になります。
サロベツ湿原は、釧路湿原のような水辺近くにできる低層湿原という湿地のタイプと、尾瀬など山岳地帯で見られる高層湿原という湿地のタイプの双方があり、特に高層湿原の面積が広いのが特徴だそうです。





散策路の脇には、指先ほどの大きさしかない蘭の花など、可愛らしい草花も。自分1人で歩いていると、きっと見過ごしていたかも…。





さらに、クランベリーの実も発見!





北欧ではハーブとして使われている、ヤチヤナギという植物もありました。スイートゲールと呼ばれ、ホップが栽培されていない時代には、ビールの香りづけにも使われていた植物だそうです。





よく見つけられるな、と感心してしまうほど、小さな草花が足元にたくさんありました。もちろん指先ほどの大きさの花ばかりではなく、季節によっては、エゾカンゾウ、ノハナショウブ、カキツバタなど、彩があり目立つ花々が一面に咲きます。





サロベツ湿原の見どころは、歴史や草花だけではありません。
春や秋になるとマガンやヒシクイなど、渡り鳥も数万羽やってきます。また、天気がよい日は、遠く海の向こうにある利尻島の利尻富士も眺めることができます。特に夕暮れ時の景色は絶景!

季節によって違う表情を見せる、サロベツ湿原と利尻富士の綺麗な写真を山元さんにお借りしました。











広々した風景を眺めて歩くだけでも、気分は爽快。嫌なことがあってもすっかり忘れてしまいそうな、心が洗われる雄大な光景が続きます。さらに、今回ガイドさんと一緒に歩いたので、歴史や自然のことなど興味深く知ることもできました。
皆さんも機会がありましたら、サロベツ湿原を歩いてみませんか?


▲ずーっと遠くまで見渡せる、広々したサロベツ湿原