淡水魚を増強!「サケのふるさと千歳水族館」が新しくなりました



ハブ空港を擁する千歳市から道内各地に移動する、その前に!千歳に見どころがあります。20年親しまれた千歳サケのふるさと館が2015(平成27)年7月、多くの淡水魚と親しむ水族館に一新しました!涼を呼ぶ千歳川の河畔に、サケのふるさと千歳水族館を訪ねました。

 

支笏湖ブルーを再現

千歳川の河川敷に国が建設し、公益財団法人千歳青少年教育財団が運営する千歳水族館は、年間およそ13万人が来館し、飼育スタッフ4名と受付や事務を合わせて20名で運営しています。一般的な水族館との違いとして、春の連休や夏休みの入りよりも、サケが産卵で遡上する9月と10月の入館者が多いとのこと。サケが展示の目玉ゆえの傾向です。

館長の菊池基弘(きくちもとひろ)さんに話を伺いました。「今回のリニューアルで、サケの遡上時期だけではない、春夏時期の底上げを意図し、淡水魚の魅力を通年で楽しんで頂けるような展示に改修しました」とのこと。どんな魅力ある生き物に会えるか、菊池さんに続いて水族館を進みます。

 



エントランスは照度が低く、青い光に目を慣らしてから展示室へ。「この大水槽は高さ約5m、幅12m、266tの水に計9種の淡水魚を飼育しています」。館内でイメージした青、それは日本屈指の透明度を誇る千歳川の源流、支笏湖(しこつこ)の色です。支笏湖は千歳市街地から約30km西、最大水深360m、透明度約18mの日本で有数の美しい湖です。湖の青をイメージした「支笏湖大水槽」や、通路の傾斜を活かして源流から中・下流に棲む魚を紹介する「千歳川ロード」など、工夫を凝らした展示が目白押しです。

 



決まった順路はないので、館内のゾーン構成を参考に自由に観賞を。子どもたちは触って満足、大人は支笏湖ブルーと魚の美しさをいろんな角度で見てうっとりできます。

 



視力に頼らずエサをとるチョウザメの幼魚は、エサと確認するため指先に寄ってきます。歯はないのでご安心を。水族館として大規模な施設ではないものの、淡水魚好きにはじっくり見たい充実した内容です。

 

千歳の秋の風物詩「インディアン水車」 




川を遡上するサケを捕獲して、メスの腹を割き精子と混ぜて人工授精する光景は、北海道のふ化場で見られる光景。実はここ千歳市で、日本で最初のサケの人工孵化・放魚による増殖事業が1888(明治21)年に開始。設備を整え事業着手の8年後から始まりました。魚を川で捕らえる装置が、アメリカから導入した捕魚車(ほぎょしゃ)、通称インディアン水車です。

インディアン水車の模型は回るので、サケを実際に捕獲する仕組みがわかります。円形流水水槽で捕獲の構造を知ったら、千歳川で回る実物のインディアン水車の働きにも納得。水槽の水車は実物の1/3サイズなので、サケではなくウグイが泳ぎます。たまに水車に捕獲される魚もいますが、カゴから出るとまた元の水槽に戻れます。

館内どの水槽も、循環濾過に加え千歳川の河川水と2本の井戸からの水を豊富に使ったかけ流しを併用。「井戸水は通年10度くらいで一定しています。川の水は冬で1度、夏には25度になることもあり、温度に幅があります。飼育するサケは特に低温で美しい水が必要ですので、河川水に井戸水をブレンドして使っています」(菊池さん談)。千歳川が清流であることと、豊富な井戸水があってできる飼育環境です。さらに水中観察室の外は、一級河川千歳川そのもの!この点が全国から秋に多くの人を惹きつける水族館最大の特長です。

 


 



目の前は本物の千歳川で、サケのペアが観察窓のすぐ前で産卵行動をとる様子が見られることも。「観察窓の前に産卵の位置を決めたサケは、4年前にこの場所で生まれたからこの場所に戻り、自分が生まれた時期に産卵するのです。サケは川の水のにおいを識別するうえ、生まれた場所までわかるようです。研究する側は、なかなかサケの謎がつかめない。そこがサケの飽きない魅力です」(菊池さん談)。
訪れる時、サケを始めどんな魚が観察できるかは、水族館サイトの「観察窓図鑑」も参考に。

 

新たな淡水の生き物登場!

北海道の魚を中心に淡水魚の興味・関心がひろがる千歳水族館。今回は全国から新たな生き物が持ち寄られました。例えばオオウナギ。千歳市の姉妹都市は鹿児島県指宿(いぶすき)市で、姉妹都市提携20周年と、サケのふるさと館開館20周年の2014(平成26)年、指宿から水族館に贈られました。それがこちら。

 



「展示する生物は通常、体が小さな状態で専門業者からの購入や、施設同士の交換等で得ます。ここまで立派に育ったオオウナギを頂けたのも、2市で交流を長く続けてきたことの証であり、ありがたいことだと思います」(菊池さん談)。オオウナギは四国以南の南西諸島や沖縄、東南アジアに分布し、身は脂が多いためウナギですが美味ではないようです。
こちらには、鳥もいました。

 



カイくんは目下お嫁さん募集中とのこと。「今回の開館で新たに増えた“大物”は神戸の須磨区、東京の池袋、秋田県男鹿市などから、余裕のある個体を頂きに2t車を走らせて譲り受けたものです。全国の水族館や動物園の連携と、地元のさけ・ます増殖事業協会や北海道区水産研究所などの研究機関ほか、多くの協力があってこそリニューアルできました」(菊池さん談)。
新たに登場した小さなトビハゼの水槽も、表情の可愛さに好評で、水族館は大水槽だけが目玉ではないことがわかります。

 


 

豊かな水のまち千歳市へ

水族館を堪能したら、屋外も散策することをお奨めします。まちを流れる千歳川を河畔や橋から見れば、きっと水の美しさに気づくことでしょう。

 



12月初旬までは実物のインディアン水車も見られます。ちなみに名の由来について尋ねると「アメリカ先住民の居住地を流れるコロンビア川にあった水車を、明治時代に見た伊藤一隆が、サケの人工孵化のために千歳川に導入しました。当時は『捕魚車』と呼ばれていたましたが、昭和40年代に起きた北海道観光ブームの頃から、インディアン水車と呼ばれるようになったようです」とのこと。約半世紀、この名で親しまれている水車なのです。

 



水族館に隣接する道の駅「サーモンパーク千歳」は、レストランや土産物店、農産物の直売所が分散していたため2015(平成27)年に1点に集約。休憩と食事、買物や散策ができる道の駅として8月にオープンしました。新千歳空港に降りた旅行者はJRやバス、レンタカーに乗り換えて、これまでは千歳市を通過しがちでしたが、今後は、足元にあるまちの魅力が発信されることでしょう。

千歳市の風物詩は、インディアン水車とサケにまつわる固有の文化。この夏、新装お目見えした千歳市の見どころ、サケのふるさと千歳水族館をぜひ訪れてみてはいかがでしょう。

 


    

交通アクセス

(1)JR駅から徒歩で
JR千歳駅で下車。駅南口東側から街なかの川北通りを歩いて約900m、約10分で到着。または、駅南口東側の鉄北通りを右折し、千歳川沿いの遊歩道を歩いて約15分で到着

(2)JR駅から路線バスで
運行本数と距離の観点で、徒歩とさほど時間は変わりません。ご利用の際はホームページを参照ください
千歳相互バス株式会社

(3)マイカーで
札幌市中心部から約46km、新千歳空港から約7km、道央自動車道「千歳IC」から約5km。国道337号線「道の駅サーモンパーク千歳」に隣接。無料駐車場完備。

 

関連記事

港街に暮らす生き物に出会う、おたる水族館への旅
冬こそ道東!標津サーモン科学館へ
新札幌の小さなオアシス。サンピアザ水族館