「江別のれんが」江別市:北海道遺産シリーズ(23)



 

開拓時代の厳しい環境で北海道の暮らしと産業を支えた「れんが」

北海道庁赤れんが庁舎、サッポロファクトリーのレンガ館など、札幌市内だけでもれんが造りの古い建物がたくさん残っています。最近では、道庁赤れんが庁舎前にれんが敷きの北3条広場がオープンしました。サイロや倉庫にも使われ、北海道の自然にうまくなじむ赤れんが。その多くが江別でつくられたのはご存知でしょうか?
 


 

開拓使は大規模工場と倉庫の建設用として、また、寒冷地の建物として企業にれんが建築を勧めました。これにより、明治初期から函館に始まり、旭川、空知、網走、十勝、名寄、小樽、岩内、根室、札幌、江別など道内各地の工場でれんがが造られるようになります。
明治期のれんがは陶器焼きのようなもので、一つひとつ手づくりで行われていました。れんがの成形や仕上げの作業は女性の仕事。れんが工場は「れんが場」と呼ばれ、男性より女性が多く働いていたそうです。
 


 

それらのれんがは、開拓使倉庫やニシン場倉庫に、大規模なものでは北海道庁舎や開拓使麦酒醸造所、旧国鉄旭川車両工場、小樽手宮機関庫、函館郵便局庁舎などに使われ、道内に数々の名れんが建築が生まれました。これらの建物は北海道の厳しい環境にさらされながらも現存しており、れんがが優秀な建材ということが良くわかります。
 


 

江別でのれんが生産は、1891(明治24)年に始まったといわれ、原料となる質の高い粘土に恵まれていた江別市の野幌(のっぽろ)周辺に次々とれんが工場が誕生し、最盛期の1958(昭和33)年には15社ものれんが工場が建ち並ぶ道内最大のれんが生産地になりました。
野幌周辺の工場では、商店、民家向けの建材用れんがのほか、土管、煙突も生産し、長きにわたって北海道開拓の土木インフラ建設を素材面で支えてきました。
 


 

れんが建築は、イギリス積み、フランス積み、ドイツ積みといわれるようなれんがの積み方でデザイン性を高められるのも特徴で、意匠的に複雑な技法を職人が競ったことから、れんが建築は歴史的で芸術作品として高い評価を得ています。しかし、大型の建築は壁を厚く積み上げなくてはならず、また、大量のれんが素材を用意する必要があるなど、多数の建物を短期間で建設するのには不向きでした。
やがて戦後急速に普及した薄く丈夫な鉄筋コンクリ―建設の発達に押されて、れんが建築は徐々に減っていきます。
 


 
 

時代の波にもまれながらも全国トップシェアを誇る「江別のれんが」

1975(昭和50)年以降急減した江別のれんが工場ですが、最盛期の15工場のうち3工場が残り、現在も丈夫なれんがを製造。道内に新しいれんが文化を構築する担い手として活躍しています。昨年オープンした北海道赤れんが庁舎前の北3条広場(アカプラ)のれんが敷きインターロッキングにも「江別のれんが」が使用され話題になりました。
江別産のれんがは現在、全国の25%のシェアを誇り、市内には小学校や倉庫、サイロ、民家など、400棟以上の歴史的れんが建築が見られます。また、電話ボックスやバス待合所など、れんがの建物が江別市内にたくさんあり、今も「江別のれんが」は地域を特徴づける風景の1つとして愛されています。
 


 


 

毎年7月上旬に開催される「えべつやきもの市」には、道内の陶芸家や金属・ガラス作家を中心に、「やきもの」にこだわった飲食店など約300店以上が出店します。恒例の「れんがドミノ」のほか、参加・体験型イベントなども盛り込まれ、つくり手と使い手の交流を楽しむイベントになっています。
 


 


 

今年の「えべつやきもの市」は7月11日(土)・12日(日)に開催。
やきもの好きだけでなく、ものづくりの文化を身近に感じられるイベントで、北海道開拓時代の産業を支えた「江別のれんが」の歴史に触れてみては。

 

関連リンク

北海道遺産HP「江別のれんが」
江別市
江別市セラミックアートセンター
えべつやきもの市(NPO法人やきもの21)
札幌市北3条広場「アカプラ」HP
 

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