2015年07月02日 | 孫田 二規子

大地を創る人。ふたりで紡ぐ新しい農業のかたち。夢想農園の堀田隆一さん、悠希さん夫妻

夢想農園の堀田隆一さん、悠希さん夫妻
 
 
イベントで野菜を販売したり〝農業女子〟のネットワークをつくったり。士幌(しほろ)町・夢想農園の堀田隆一さん、悠希さん夫妻は、祖父母や両親、先ゆく人へのリスペクトの思いを胸に、自分たちらしい農業に挑戦しています。
 
 

父との衝突も乗り越えて

夢想農園のビニールハウスのなかの水菜 ▲取材時、ビニールハウスのなかの水菜が収穫を迎えていました
 
 
パクチー、水菜、わかもろこし、チコリー、長いも、白かぶ…。士幌(しほろ)町で農家を継ぎ、さまざまな野菜をつくっている夢想農園の堀田隆一(ほったりゅういち)さん、悠希(ゆき)さん夫妻は、つくった野菜をJAにおろすほか、札幌のレストランなどに個別販売もしています。
 
 
水菜の選果風景 ▲収穫した水菜は選果し…
 
 
少量ずつの販売は手間がかかりますが、「お客さんとの距離を縮めて信頼関係を築いていくことが、僕たちがいま取り組む農業だと感じているんです」と隆一さん。はじめたのは2年前ですが、個別販売の経験がほとんどなかった隆一さんの父は、最初は反対します。少額の販売伝票ばかりが増える様子を見て、「無駄の多い個別販売なんてやめなさい」とふたりに強く言ったことがありました。
「でも私はどうしてもやりたくて」と悠希さん。「そのあと1年間、義父とはひとことも口をきかなかったんです(笑)。どうしてもダメというなら、実家の焼き肉店を継ぎに戻るか新規就農するかという別の道も考え、腹をくくっていた時期もあったんですよ」。隆一さんも「それくらいの強い意志や覚悟がないと、なかなか道は開けませんよね」と当時を振り返ります。

さまざまな挑戦を重ねるなかで、思ったように事が進まず心が弱ったときには、従業員の存在が支えになりました。ふたりの活動が紹介された新聞の切り抜きを黙って事務所にはってくれるなど、ふたりのことを、希望を持って応援してくれているといいます。
 
 
夢想農園の水菜のパッケージ ▲袋に詰めて売られます
 
 

女性農業者のあたらしい生き方、働き方も模索

堀田隆一さん ▲隆一さん。昭和58年生まれ
 
 
農業系の専門学校を卒業した隆一さんは、一度は札幌のイタリアンレストランに就職しましたが、Uターンして就農。西洋野菜の栽培に挑戦し、「crops(クラップス)」という名前でイベントに参加するなどして販売を行っていました。売り方にもひと工夫。ヨーロッパのマルシェを参考に、木箱に入れて並べ、その野菜を使ったレシピの提案もしていました。
 
 
堀田悠希さん ▲悠希さん。昭和62年生まれ
 
 
一方、悠希さんは十勝・中札内村の出身。前述の家業を継ぐつもりでいましたが、短大を卒業して地元のJAに就職すると、農業への興味や十勝の食材を広めたいという気持ちが芽生えます。そんなとき、隆一さんと出会い、思いを同じくして結婚。
ですがいざ農業の現場に入ってみると、つくった野菜がどこの誰に届いているのかまったくわかりません。そんな現状に物足りなさを覚え、お客さんの顔が見える仕事をしようと、個別販売に力を入れてきます。インターネットで東京や札幌のイベントを調べて実際に売りに行くほか、野菜だけを送って売ってもらうこともありました。そうして「夢想農園」の名前を広めるとともに、販路を増やしていきました。
そんななか、違和感もありました。異業種交流会などの集まりにいっても、「〝農家の嫁〟は名刺交換すらしてもらえず、世間では地位が低く思われているんだと感じました」。そこで、女性農業者が出産や育児をしながらも、それぞれの農業の現場で役割や生きがいを見つけていけたらいいなと、「とかち農業女子ネットワーク 農と暮らしの委員会」を立ち上げます。現在メンバーは十勝管内の女性24名、平均年齢は28才。イベントで農業トークをしたり、地元食材を使った家庭料理のレシピを披露したり、ラジオに出演したり。これからの時代に合う、女性農業者の生き方や働き方を楽しみながら模索しています。
 
 

祖父母や両親、JAへのリスペクトの思いを胸に

インタビューにこたえる堀田隆一さん、悠希さん夫妻 ▲新規就農者へのアドバイスは「好きなことをしたらいいと思う」と口を揃えるふたり。加えて「僕は、あたらしいことするときには、謙虚さと向上心を忘れないようにしています」と隆一さん
 
 
こうしたさまざまな活動ができるのは、祖父母や両親のおかげだと、ふたりは彼らへのリスペクトの思いを胸に抱いています。「祖父がこの土地を開墾して、父が農業の土台をつくってくれました。だからこそ、いまの僕らがあるんです」と隆一さん。また、先人であるJAのすばらしさやありがたみも常々感じており、個別販売をするからJAとの取り引きはしないということもなく、おたがいの良さを理解し生かしあう、〝にじみあう〟関係を築いていきたいとのだといいます。
信念を貫きつつも周囲と調和して進んでいこうとする若き農業人の堀田さん夫妻。ふたりの姿をみていると、私たちもなにかをしようとがんばる勇気がでてきませんか。
 
 

「大地を創る人」とは

さまざまなおいしい食を生み出す北海道を「大地」と表現。農業や漁業、酪農業を通し、「新しい北海道を創りたい」「北海道を支えたい」「未来の北海道をデザインしたい」。そんな思いを胸に抱く北海道の生産者を、「大地を創る人」としてご紹介します。
 
 
 

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