大地を創る人。30代でゼロから養豚を。大樹町ころころ牧場の六郎田一馬さん

 
 
十勝産じゃがいもを与えて育てた大樹(たいき)じゃがポークは、2008年に誕生したブランド豚。生産者は、大樹町ころころ牧場の六郎田一馬(ろくろうだかずま)さん。30代でゼロから養豚を始めたチャレンジャーです。
 
 

自分が食べるなら。そんな理想の養豚を目指して

野生に近い環境で放牧され、おいしい飼料を食べて、自由気ままにたくましく育っている豚。海にほど近い大樹(たいき)町の牧場で養豚を営む六郎田一馬(ろくろうだかずま)さんは、「自分が食べる側なら」と考えた理想の養豚に挑戦しています。
完全放牧で、豚舎を使うのは1年で数ヶ月。「それも12月~2月に仕入れた子豚だけ。放牧地に置いてある寝わらもこまめに取り替えているので、豚舎の換気の悪さや糞尿汚染が原因の病気になりづらく、うちの豚には、抗生物質などの薬を1度も投与したことがないんですよ」。
 
 
▲実は豚は寒さに強く、夏もあまり暑くならないこの環境が合っているそう
 
 
餌には、近隣の幕別(まくべつ)町産のじゃがいも、インカのめざめを粉砕して混ぜています。子どもの頃、近所の農家で余ったじゃがいもを豚にあげていたことを思い出し、また、十勝の特産で手に入りやすいからと、当初からじゃがいもを食べさせようと決めていたといいます。
豚は競って餌を食べる習性があり、与える餌は、1~2頭分足りないくらいが適量。食事中は「豚の上に豚がのる迫力満点の光景」。豚は太るのが仕事ですから、これはとてもよい働きのようです。
 
 
▲このじゃがいものおかげで、臭みがなく、脂まで甘くておいしい豚肉が生まれます
 
 

先祖代々の開拓者スピリットを動力源に

六郎田さんは、大樹町でサラブレッドの育成牧場を家業にしていた六郎田家の長男として生まれました。後に牧場を大樹ファームに譲渡し、家畜商を営む両親と一緒に北海道を離れましたが、30代になって、農業をやりたいという思いが芽生えます。
奇しくも、世間は安全な食に関しての意識が高まりつつあった頃。それなら自分も安全な食づくりに携わろうと、養豚を決意。山を買い、伐採後は豚を放して大地を耕してもらいました。
はじめての養豚です。ゼロからの挑戦です。「自分の中に先祖代々の開拓スピリットがあるのかも」。実は六郎田さんは、帯広を開拓した依田勉三の子孫なのだといいます。
 
 
▲六郎田さん。1973年生まれ
 
 
養豚に必要な知識は畜産試験場に問い合わせたり、インターネットで調べたりしながら収集し、そこから自分の土地にあった養豚のやり方を模索していきました。「苦労の連続」だったといいますが、それが自分のプラスになったとも。「牧場をつくるためには土木作業も必要だったんですが、人に頼まず、時間がかかっても自分で取り組んでいくと、ちゃんとスキルとして身に付いていくんですよね。これはよろこびでした」。
最もやきもきしたのは、餌となるじゃがいもの仕入れ先が決まるまでの間でした。今は農協と契約して規格外を分けてもらっていますが、その前は、農家や加工工場をあたっても、なかなか条件が合わなかったのです。
インカのめざめになったのは農協の都合でしたが、「甘くておいしいいもなので、むしろよかったです」。週に1回は丸ごと与えています。
 
 
▲六郎田さんの愛情をたっぷりと受け、元気いっぱいに育っている豚たち。かわいらしい姿です
 
 

農業がいちばんいい職業だと思っています

豚が育ってからは、売り先を探すのに骨を折りました。現在は姉が担当し、全国の肉屋やレストラン、スーパーマーケットに卸していますが、最初は自分で肉屋を回るなどしました。大して成果が上がらず、挫けそうなタイミングで姉が来てくれたといいます。
農業は結果が出るまで時間がかかるため、今でも、焦りの気持ちがないといえばうそになります。「ただ、なるようにしかならないですから、自分は恵まれていると信じ、余計に心配しすぎず、問題には都度対応しています」。
これまでの経験を踏まえ、これから農業をやりたい人にアドバイスをもらいました。「過剰に投資しないこと。理想は捨てず、だけど一気にやろうと思わないで、腰を据えてじっくりと」。
3Kのイメージの強い農業の仕事ですが、六郎田さんはこう語ります。「私は、農業がいちばんいい職業だと思っているんですよ」。
 
 
▲「どこの牧場の方も、休みなく、少しでもよいものをつくろうと頑張っていると思います。私もおいしく食べてもらえるよう、同じようにやっています」
 
 

「大地を創る人」とは

さまざまなおいしい食を生み出す北海道を「大地」と表現。農業や漁業、酪農業を通し、「新しい北海道を創りたい」「北海道を支えたい」「未来の北海道をデザインしたい」。そんな思いを胸に抱く北海道の生産者を、「大地を創る人」としてご紹介します。
 
 
 
 

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