2015年06月05日 | 孫田 二規子

3軒共同経営で大規模酪農。休みも自在に。北海道の酪農の今(2)

最近の酪農はロボットや優秀な機械のおかげで未来化、省力化が進んでいます。今回はそんな機械の角度から、酪農の仕事を見てみましょう。「酪農は3K」というみなさん、イメージが変わりますよ!シリーズで紹介します。


オーシャンリンクの牛

 

3軒の酪農家が共同経営で規模拡大

「両親が引退した後、ひとりで続けられるのか不安を感じていた」「父が病気で倒れて母とふたりで仕事をすることになり、労働力の必要性を強く感じた」「施設の老朽化が進み投資を考えたが、それなりにお金がかかるので悩んでいた」。
 
そんな以前に抱いていた悩みを語ってくれたのは十勝の酪農家、阿部克志さん、山森康隆さん、白木耕二さんの3人です。
 
みなさん3代目。元々知り合いではありませんでしたが、JAの紹介で顔を合わせます。そして、各々が抱える問題を解決する手段を見つけました。それが、共同経営。海風が吹き渡る風光明媚な大樹(たいき)町で、オーシャンリンクという名の農事組合法人を立ち上げました。
 
「せっかくの共同経営なので、規模拡大を考えた」と3人は口を揃えます。600頭の牛を飼うことに決め、60頭サイズの搾乳施設、ロータリーパーラーを導入。
 

多頭数を搾乳するためのロータリーパーラー▲多頭数を搾乳するためのロータリーパーラー


写真から伝わりますでしょうか、このパーラーの大きさたるや圧巻! 直径は19m。メリーゴーランドのようにゆったりとまわります。
 

シリンダーはずしたロータリーパーラーの牛

 

効率が段違い!ロータリーパーラーでの搾乳

 搾乳の流れはこうです。まず牛舎にいる牛をパーラーに誘導し、乳頭を消毒して搾乳用のミルカーを装着。搾乳が終わったらはずし、消毒してまた牛舎へ誘導。パーラーがひと回りするまでに、この一連の作業を終わらせます。
 
 
シリンダーを設置した状態です。牛は餌を食べています▲ミルカーを装着した状態。牛は餌を食べています


搾乳はミルカーを装着すると自動で開始され、搾りきった乳頭から自動で止まります。ですから、4つの乳房の乳量が違っていても過搾乳を防ぐことでき、また搾乳時間が短いため、乳頭へのダメージが少ないといいます。
 
これまでの搾乳に比べると、「作業効率が段違いにいい。ロータリーパーラーのおかげで、少ない人数で多頭数の搾乳が可能になりました」。最大のメリットは人が動かなくていいところ。「乳頭の消毒やミルカーの装着、牛を誘導する係など、それぞれの担当が1ヶ所にとどまり自分の仕事をすればいいんです。搾乳機をかついで広い牛舎を歩いていた頃に比べると、ものすごい効率化です」と阿部さん。
 

この日は、搾乳のあとの消毒を担当していた阿部さん▲この日は、搾乳のあとの消毒を担当していた阿部さん
 
 
牛の誘導をしていた白木さん▲牛の誘導をする白木さん

 

牛は個体別にパソコンで管理

また「パソコンの前にいる時間が増えました」と山森さん。牛の首に付けたタグと飼養管理ソフトが連動し、搾った乳量や乳成分など乳に関することからメディカルなデータまで、個体別にパソコンで管理できるのです。
 

パソコンはおまかせ!の山森さん▲パソコンはおまかせ!の山森さん


具合の悪い牛もPCの画面で確認できるため、以前よりも早く対処ができるようになりました。発情期も知らせてくれるといいます。「乳牛を飼う上で授精の仕事がいちばん大切。機械の導入でやりやすくなりましたね」と白木さん。
 
 
300頭牛舎を連結▲300頭牛舎を連結して使用。ロータリーパーラーまで繫がっているので、牛も人も外に出ずに搾乳場所との移動が可能。こちらも搾乳も給餌もスマホとPCで管理。北海道の酪農の今(1)で紹介した給餌ロボットを入れています
 
 
毎朝5時から搾乳をスタートし、休憩をはさみつつ終業は19時30分頃。3人の親も一緒に働いており、「毎週きちんと休みが取れ、子供の運動会などイベントごとに参加できるのがうれしい」とみなさん口を揃えます。今の時代に合った、あたらしい酪農のスタイルを築いています。

 

関連リンク

コーンズ・エージー(取材協力)
 

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