搾乳も給餌もスマホとPCで管理。北海道の酪農の今(1)

最近の酪農はロボットや優秀な機械のおかげで未来化、省力化が進んでいます。今回はそんな機械の角度から、酪農の仕事を見てみましょう。「酪農は3K」というみなさん、イメージが変わりますよ!シリーズで紹介します。



 

24時間稼働で効率のよい搾乳ロボット

酪農家の仕事として私たちがまず最初に思いつくのは、やっぱり搾乳です。「それが最も大変だったんですよ」と教えてくれたのは、2013年に搾乳ロボットを導入した、音更(おとふけ)町の吉田農場3代目、吉田晃和さんです。
 
吉田さんが使っているのは、「LELY」というオランダ製の搾乳ロボット。きれいな赤と銀の見た目がおしゃれ! これまでの酪農のイメージがくらりと変わってしまいます。
 


 

ロボットは牛舎内に安全に設置され、牛が自ら搾乳されにやってきます。自らとは意外な気もしますが、おっぱいが張っている状態を解消しにくるほか、ロボット内に設置されている餌が動機になるようです。「牛がゲートに入ってその位置にくると、レーザーが乳頭の場所を確認し、ロボットアームが搾乳をはじめます。そして終わるとスチーム洗浄が行われます。24時間体制なので効率がいいですよ」と吉田さん。搾られたい時に搾ってもらえるからなのか、以前よりも1頭ずつの乳量が増加している傾向にあるといいます。
 


 


 


 
 

授乳毎に必要なデータを収集

搾乳を終えたばかりの牛が餌を目当てにゲートに入ってきた場合、さらに搾られたり…なんてことはないのでしょうか。「その場合、搾乳機が動くことはないですね。餌も出ず、すぐにゲートが開いてロボットから出されます」。ゲートに入った牛を搾乳するかしないかは、牛の首につけたタグで判断。このタグが管理ソフトと連動しており、搾乳履歴や回数、乳量、乳成分はもちろん、体重、活動量、発情のタイミング…など必要なデータをすべて記録しているため、短時間のうちに何度も搾乳されてしまうことがないのです。
 
またこのデータはPCやスマホで管理ができ、「本来なら1頭ずつ状態を見て歩かないと行けないのですが、それがデスクワークですみます。健康管理が随分楽にできるようになりました」。牛の異変や搾乳時のトラブルがあった場合も、ちゃんとPCやスマホに知らせてくれるといいます。
 


 

このロボットを導入するまでは、吉田さんも吉田さんの父も、搾乳機を背負い、80頭のつなぎ牛舎(牛を1頭1頭繋いだ牛舎)を歩いて搾乳していました。しゃがんでは乳頭を洗浄して、搾って、立ち上がって…という作業の繰り返し。1回につき1時間30分ほどかかり、それを1日2回行っていましたが、ヒザやヒジがつらく、父は腱鞘炎を患ったこともありました。ロボット導入が提案されたのは、その父から。60歳を過ぎた頃でした。
 
 

自動で牛に餌を与える給餌ロボット

また、吉田農場では、天井に設置したレールに沿って移動しながら餌を配ってくれる、給餌ロボットも使っています。「以前はトラクターで与えていた」けれど、今はストッカーに餌を補充しておけば自動で与えてもらえます。こちらもPCやスマホで管理でき、給餌履歴などの閲覧も可能です。
 
 

 

「おかげさまで給餌にかかる時間が、半分以下に減りました。搾乳ロボットもそうですが、省力化することで、父も私も、とにかく体が楽になりました。高価な買い物でしたが元はとれそうですよ(笑)牛も最初の1~2週間はいつもより鳴いていましたが、その後はすぐに慣れたようですね。いつでも餌が食べられるし、牛舎で繋がれないしで、ストレスが減ったんじゃないかな」。 
 
 
 

 
 
1年で約1,400t〜1,600tの牛乳を出荷している吉田農場。「安心安全な牛乳を世のため人のために提供していくことが私のミッション」と吉田さん。そのためにも、「文句を言わないで働いてくれる(笑)」ロボットは、もはや大事な〝社員〟の一員のようです。
 
 

 

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コーンズ・エージー(取材協力)

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