情熱の仕事人。街の魅力を伝え続け30年。札幌発情報誌O.tone編集長「平野たまみ」

 
 
札幌の出版社・あるた出版代表で、人気の月刊情報誌「O.tone(オトン)」を生んだ平野たまみさん。雑誌のテーマは「札幌のおやぢたちがナビゲーター」。盛り場とおやぢたちに愛を込めた眼差しを向け、札幌の魅力を発信し続けています。
 
 

27歳で独立。すすきの情報誌の編集長に

毎月15日、道内の書店にお目見えする、札幌発の“おやぢ”向け情報誌「O.tone」。記事は40代以上の“おやぢ世代”からの情報をもとに編集され、誌面にもおやぢたちが登場。食の巻頭特集をはじめ、趣味、遊び、仕事…と、記事内容もページ数においても読み応えがあり、男性ばかりか女性からも支持を得ています。
 
創刊は2006年10月。「O.tone」を生み育てている平野さんは、長く札幌の街、そして、北の歓楽街すすきのを見続けてきました。
 
 
 
 
「記事の作り手に回りたい」と広告代理店の営業から雑誌の世界へ。編集者、また、書き手としての振り出しは、「旅と味」という無料配布誌からでした。その後、タウン情報誌「ステージガイド札幌」編集部に勤めていたとき、当時「すすきのTOWN情報」の編集長であった山崎巌さん(現・あるた出版顧問)の誘いを受け、その「すきタン」編集部へと移ることになります。そこでは大きな挑戦が待ち構えていました。
 
入社から2年が経った頃、出版元の会社の経営は傾いていました。平野さんは、販売部数が伸び始め、これからという時期にあった「すきタン」を「ここで終わらせたくない」思いから、雑誌を引き継ぎ山崎さんとともに独立。27歳のときの決断でした。
「お金はなかったけれど、周りの応援があって」と平野さん。「怖いもの知らずの勢いだよね」と笑い、「スタートできたのは奇跡だった」と言葉を重ねます。
 
「編集だけではなく、広告集めも集金も、とにかく何でもやりました。大変と思えば何でも大変だけれど、…でもやっぱり大変だったかな(笑)」。
平野さんは20年以上にわたって「すすきのTOWN情報」編集長を務め、山崎さんと立ち上げたあるた出版は今年で30年目を迎えました。
 
 

人とつながり、人と人をつなぐ。「O.tone」に込めた思い

すすきのの特徴に、「多種多様な店舗が混在したコンパクトな街」であることと「治安の良さ」を挙げる平野さんは、1軒のビルの中に様々な業種・業態の店が同居するすすきのを「垂直の街」と呼びます。そして、盛り場の魅力を「何かに出会えること」だと教えてくれました。
 
「反面教師の部分もあるけれど(笑)、仕事、礼儀、立ち居振る舞い、お酒の飲み方、お金の使い方とか、そういった大事なことは全部、私はすすきのでおやぢたちから教えてもらってきました。本当にいろんな人やコトに出会わせてもらったんですよね」。
このことが、「O.tone」の構想と創刊の実現につながっていったのです。
 
平野さんのいうおやぢとは、「脇が甘くても、決して背中は甘くないおやぢ」を指します。そんな人たちが“おやじ”ではない平野さんの愛すべき“おやぢたち”なのです。
 
 
 
 
実は若い世代にこそ、「O.tone」を読んでもらいたいのだと平野さんは言います。
「街の魅力は人。札幌にはこんなかっこいい、おもしろい大人がたくさんいる。そこが伝われば、若い人たちが『札幌っていいじゃん』って思えるんじゃないかなって。だから私たち編集者が選ぶ情報ではなく、40代以上の男たちの声をもとにした雑誌にしようと考えたんです。おもしろい大人が集まる盛り場でたくさん議論してほしいですね」。誌面の裏側に込めた思いをそう語ります。
 
 
 
 

誰よりも出会いを楽しみ、次へのチカラに

平野さんにはもうひとつ、作りたい本があるのだとか。インタビュー取材で出会った方の話に心を動かされ、編集者魂に火がついたようです。それは、札幌の歴史・文化に関するもので、「札幌市民皆が1冊もつくらいの本にしたい」と意気込みます。
「思いがあればできる。できないのは思いが足りないから」。さらりと発する言葉の重みが、ズシリと伝わってきます。
 
 
 
 
そんな平野さんのエネルギーはどこから?
「お酒の場かな。ほろ酔いになって、人と話をするのが大好き(笑)。出会いがおもしろいよね。相手の顔を見て声を聞いて、体温を感じて話すって最高だと思うんです」。また、「盛り場は大人の街であってほしい。そのためにおやぢはかっこよく、オンナは粋であってほしい」とも。
 
「街の魅力は人」。この日インタビューを通して、平野たまみさんという素敵な大人に出会えました。
 
札幌を訪れる機会には、「O.tone」を手に取り盛り場をのぞいてみませんか。予期せぬ出会いや発見があるかも知れません。
 
 

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