小樽の老舗蒲鉾店「大八栗原蒲鉾店」を訪ねて

 
 
小樽で愛され続ける老舗の蒲鉾店「大八栗原蒲鉾店」を訪ねました。添加物などを使わず素材にこだわる蒲鉾、伝統の味と、イタリアンを取り入れた斬新な味を楽しめます。
 
 

地元の方々が気軽に買いに訪れる店

創業は1914(大正3)年、以来ずっと小樽市入船にお店を構えています。開業当初は地方への発送を中心とした製造業でしたが、1975(昭和50)年から店頭での小売りも始めました。それ以来、気軽に立ち寄り買い求める蒲鉾店として小樽市民に支持され続けています。
 
 
 
 
お店に入ると「いらっしゃいませ~!」と明るい声。目の前にはずらりと揚げ蒲鉾が並んでいます。昔ながらの商店や市場で買い物をするような対面式のお店で、よい意味で「昭和の香り」を感じるとともに、風情と人の温かさが伝わってきました。
 
 
 
 
「夕ご飯おでんに入れるネタにするのよ~」
「今日親戚が来るからちょっと多めに、つまみにもしたいし」
平日のお昼すぎ取材で15分少々お店の中にいる間、ひっきりなしにお客さんがやって来て買っていきました。
午前中から開店して昼過ぎ位に商品が出揃うそうですが、その後一気に売れて夕方には商品がほとんどなくなってしまうそうです。市街地にあるお店とはいえ駅からは少々距離がある立地にも関わらず、この集客力はただものではないです。近隣の方々に長年支えられている証を垣間見た気分でした。
 
 

素材にこだわり作り続ける店主栗原さん

このお店を支えるのは、三代目の栗原康さん。
 
 
 
 
「1人でも好きと言ってくれる人を増やしたい、大手でもないので、この地域でナンバー1と言われたい」と語る栗原さん。そのために素材にこだわり、技術力で勝負しているそうです。
ここで作る蒲鉾には人工甘味料や保存料を一切使っていません。板蒲鉾にはグチ、揚げ蒲鉾にはイトヨリダイやキントキダイなど味の濃い魚を使っていて、それぞれ魚そのものの繊細な味わいが楽しめます。
 
中でもこだわりの蒲鉾がこちら、「角焼」です。
 
 
 
 
食べごたえある食感となるグチを50%、旨味を強く感じるソウハチガレイを50%使用した蒲鉾です。つなぎのでんぷんなどは不使用、調味料は塩と砂糖とみりんに酒粕だけ。シンプルな分、魚本来の旨味と弾力が伝わってきます。
創業当初に作っていましたが原材料費がかなり高くつくため長年製造を中止していたものを、近年になり当時の味を5年がかりで研究して復活させたそうです。
 
 

たこやき!?イタリアン!?独創的な蒲鉾が店頭に

ここのお店の特徴の1つは、ひと口サイズの独創的な揚げ蒲鉾の数々です。
 
 
 
 
一番人気は、すり身に刻んだイカの耳を入れた「いかつまみ」。おかずにもお酒のつまみにも合います。
ほかにもたとえばこんな品々があります。
「たこはち」…タコと紅ショウガとキャベツを入れたタコ焼き風の蒲鉾
「イカしゅう」…刻んだ玉ねぎとイカに、卵黄と黒こしょうを混ぜたすり身を焼売の皮で包み揚げた蒲鉾
「えびメンチ」…すり身にエビを混ぜ丸めてパン粉をまぶして揚げた蒲鉾
 
中でも特異な蒲鉾が、「パセリーノ ジェノベーゼ」。名前のとおり、イタリアン風の蒲鉾です。
 
 
 
 
バジルにオリーブオイルやカシューナッツ、バルサミコ酢などを加えた独自のジェノベーゼソースをすり身に混ぜパンで巻いて揚げています。2011年全国蒲鉾品評会で水産庁長官賞を受賞したという逸品です。
 
「イタリアンを食べても、お好み焼きを食べても、これゼッタイ蒲鉾に合う、って感じる時があるんです。もはや趣味の料理の世界ですかね」と語る栗原さん。美味しいものを食べて、素材を見極め編み出す技の数々が店頭に並びます。
 
 
 
 
商品へのこだわりは素材や独自性だけではありません。毎年開催される全国の蒲鉾の品評会には必ず部下も同行させ、全国の逸品の味や形、デザインまで、見て食べて感じさせて自社製品のレベルアップに心掛けているそうです。
 
伝統の味と斬新な味が入り混じる蒲鉾店、街の蒲鉾店が長年地元で愛されてきた理由の一端を垣間見ました。一度買ったらリピートしたくなること間違いなしです。小樽市民はもちろん、小樽を訪ねる方々にもオススメです。