北のやきものを知る!れんがのまち「江別市セラミックアートセンター」

 
 
江別市は明治期にれんが工場ができ、窯業(ようぎょう)が発展したまち。この地では釉薬(ゆうやく)の研究も進み、道内のやきものが発展しました。開館20周年の江別市セラミックアートセンターを、学芸員の佐藤一志さんに案内していただきました。
 
 

れんがのまち江別

江別市は札幌市の西隣にあり、江別市セラミックアートセンター(以下:センター)は1994(平成6)年の開館以来、年間約2万人が訪れる北のやきものを知るスポットです。千歳川が石狩川に合流する地点で、水運に恵まれた江別では、れんが製造が1891(明治24)年頃に始まりました。
 
 
 
 
空知地方から石炭積み出しのため、野幌周辺には早くから鉄道が敷設され、原料や燃料の調達と製品の輸送に適していました。江別は消費地の小樽や札幌に近く、れんがづくりが産業に発展。最盛期には野幌で14の工場があり、現在も3社が操業しています。
館内は、美術やアートとして楽しむ「北のやきもの展示室」と、れんが製造の歴史と工程がわかる「れんが資料展示室」の2つのゾーンに分けて展示しています。
 
 

北の現窯で多彩な美にふれる

まずは佐藤さんと共に、北のやきもの展示室から巡ります。ここは現在活躍中の「現窯(げんよう)」と呼ばれる北海道内の陶芸作家60名の作品を展示しています。
 
 
 
 
 
 
北海道ではやきものがさかんにつくられています。江別には多くの陶芸家が暮らし、窯を開いています。「北海道には、道産原料を50%以上使用した作品を制作している陶芸家で構成された『陶土会』があります。会員は現在13名で、道内産の土の可能性を追求しています」(佐藤さん談)。
 
 

小森忍の足跡を知る

ここには北海道における窯業と陶芸の発展に寄与した小森忍(1889-1962)の生涯を知るコーナーがあります。器の表面を見ただけで、釉薬にどんな成分が入っているかわかった小森忍、どんな人だったのでしょう。
 
 
 
 
ゆったりした空間に、小森忍の生涯を作品とパネルで展示。旅するように各地に暮らした彼が目指したやきものを見ることができます。
 
 
 
 
1949(昭和24)年、小森忍は江別にあった北海道開発株式会社の製陶部門に請われ来道。釉薬の研究に着手するも翌年、部門が閉鎖。その後北海道窯業株式会社の嘱託に就任するも、翌年また部門閉鎖の憂き目に遭いました。その時の施設を借用して開いたのが、北斗窯の始まりです。小森は江別市で北海道の風土に根ざした作品を生み出しました。
 
 
 
 
 
 
「小森忍は研究者肌の人でした。それと共に、多数のつくり手と共に目指す作品を組織的に生産する、プロデュース能力に長けていたようです。壮年期に中国の名陶に学び、多くの人が使えるやきものを目指しました」(佐藤さん談)。
 
 

れんがづくりの変遷を知る

続いて訪れたゾーンが、れんが資料展示室。ここでは野幌に興ったれんが産業を、時代を追って知ることができます。ものづくりが好きな人は、こちらのほうが楽しいかも。
 
 
 
 
 
 
「江別では、れんがづくりに適した土が容易に手に入ります。野幌の土取り場では表土を50cmほど掘れば、原料の元野幌(もとのっぽろ)粘土層が出ます。これは火山の噴火により支笏湖(しこつこ)ができた約4万年前に積った噴出物なんですよ」とのこと。土取りを始め昔のれんが製造は、多くの工程が手作業によるものでした。
 
 
 
 
「かつては汽車に乗っていると、聞こえてくるシッペの音で野幌駅に近づいたことを知ったようです。れんがづくりは多くの人手が必要で、シッペの作業は主に女性が担当し、野幌の春の風物詩でした」(佐藤さん談)。
 
 

創作工房でやきものづくり

センターでは、利用者が気軽に陶芸を楽しめる設備も充実しています。工房では指導員がいて、ロクロ形成から素焼、絵付、本焼まで対応できます。毎月行う陶芸体験は江別市内や近郊の人に人気だそうです。
 
 
 
 
 
 
「センターが開設した頃から20年間通い、陶芸を趣味で続ける方もおられます」(佐藤さん)。午後の日差しが差し込む教室工房での、楽しげなひとときでした。やきものづくりの環境と手ほどきが受けられる江別の人は、うらやましい限り。
北のやきものとれんが製造の歴史を知る、江別市セラミックアートセンターに、足を伸ばしてみてはいかがでしょう!
 
 
 
 

交通アクセス

(1)列車とバスで
JR野幌駅南口からJRバスに乗換。「新29:野幌総合運動公園」行きに乗車、約15分。「セラミックアートセンター前」バス停で下車。
※バスの本数が少ないので、タクシーとの併用をお薦めします
※バス路線は次の2系統があります。「新29(新札幌駅~野幌総合運動公園)」「広92(北広島駅~江別駅)」、後者は乗り場は野幌駅北口となり、1日3本と運行本数が少ないのでご注意下さい
 
(2)自動車で
札幌市街地から国道12号経由、約40分。無料駐車場完備。
 
 

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