れきけんに学ぶ、まちのたからもの

 
 
わたしたちに懐かしい風景を思い出させてくれる古い建物は、先人の技術や昔の街並みを今に伝える大切な存在。しかしながら建物の保存は難しく、少しずつ失われていきつつあります。北海道の歴史的建造物の保存活用に関する活動を展開している団体、「NPO法人歴史的地域資産研究機構」(通称:れきけん)が行ったイベント「れきまち・ひろば in チカホ」から、私たちのまちのたからものについて学びました。
 

 
 

まちのたからものを守り活かす「れきけん」の活動とは?

2月28日、札幌駅前通地下歩行空間イベントスペースにて開催された市民向けイベント「れきまち・ひろば in チカホ」。会場にはれきけんが携わってきた活動を紹介するパネルが掲示され、地域のひとに愛され今も活躍している歴史的建造物の数々を紹介しています。きれいに修繕された建物が、地域の風景・人々の暮らしによみがえっている様子が写真と解説文から伝わってきます。参加者の方々はひとつひとつを丁寧に眺めながら、建物の魅力と修繕技術のすばらしさに関心を寄せていました。
 

 
 
イベントは、れきけん代表理事で北海道大学名誉教授の角幸博先生の講演から始まりました。建物のもつ歴史・価値と保存する意味などを、角先生が研究資料として撮りためていた写真を使ったスライドで分かりやすく解説。特に興味深かったのが、十分保存する価値を持ちながらやむを得ず取り壊されてしまった貴重な建物の写真の数々。札幌市東区の灰野邸、中央区にあった日本通運クラブ…。懐かしい記憶がよみがえるのと同時に、思い出が失われたような残念な気持ちが残ります。角先生のお話しから、わたしたちのすぐ身近なところにも歴史的価値がある建物がたくさん存在しているという事に気付いた人も多かったのでは。
 

 
 
このイベントでは、参加者全員に「れきけん活用ガイド」という冊子が配布されました。「地域の資産をどう使ったら良いか?その方法をまとめたガイドをつくりました」と、活用ブックの使い方についてれきけんの東田秀美さんが案内してくれました。
 

 
 
「古い建物の所有者はお年寄りばかりではなく、それを相続した若い世代の方もいらっしゃるので、保存・活用についての悩みは色々です」と東田さん。冊子には、歴史的地域資産についてノウハウを持つ団体の紹介や、道内での保存活用の事例、価値評価の視点がわかりやすくまとめられています。注目すべきは「歴史的地域資産チェックシート」。「特殊な工法、材料が用いられている」「まちの成り立ちやくらし文化を物語っている」「地域のランドマークとして親しまれている」など、案件ごとにチェックを入れる方式で価値評価の確認が行え、その高さを推し量ることができます。
 

 
 
気になるのは冊子のとびらのことば。「歴史は生きる『ちから』」とは?
「『歴史』と『生きる』は繋がらないような気がしますが、古い建物は地域の原風景の一部であり、こころのよりどころ。生きる力を呼び起こす復興のシンボルになるものです」と、その土地ならではの風景を守ることが地域を元気にするきっかけを与えてくれるとのことでした。
 

 
 
続いてのパネルディスカッションでは、角先生、東田さんに加え、ニセコ町の旧でんぷん工場の保存活用に尽力された北海道ヘリテージ・マネージャーの向田薫さん、歴史的建造物の修繕技術と実績をもつ匠集団のネットワーク・北海道建築ヘリテージサロンの亀田宏さん(亀田工業株式会社)がパネラーに。進行役に札幌人図鑑インタビュアーとして活躍されている福津京子さんを迎え、各団体の活動紹介から現在の取り組み、課題について意見交換を行いました。
 

 
 
ディスカッションでは、「協力者や仲間を増やす」「若い世代の技術者の育成」が課題となっているという話題に。「人と人とのつながり、地域の魅力の継承、建物の維持管理のサイクルを考え、それらがまわるシステムを創っていけば、建物も技術ももっと長く残せる資産になる」と角先生。東田さんからは「職人さんの技術伝承の場もイベント化すれば、市民のみなさんに知られやすくなって有効」とアドバイスが。「ここに参加されているみなさんも、れきけんの仲間ですよ!」
 

 
 

見つけてみよう!まちのたからもの

近年、札幌でも次々に建物が新しくなり、まちの風景はどんどん変化しています。建物は一度取り壊されてしまうと、容易に復元することは出来ません。その地域の人の思いがつまった「たからもの」を守っていくには、「なおす人」はもちろん、新たな価値を「見つける人」、大切に使いながら「育む人」、保存活用を「見守る人」など、たくさんの人の協力が必要です。
 
平成27年2月に記念すべき第1期生を輩出した「北海道ヘリテージ・マネージャー」は、地域の歴史的建造物など“資産”を見出し保存活用に向けたアドバイスができる強い味方。専門家のネットワークや地域の人とのつながりを築き、「大切にしたい」「遺したい」という思いを実現するお手伝いをしてくれます。
 
身近にあるものの良さや価値は意外と気づきにくいもの。しかしそれに気がついたとき、きっとわたしたちのまちがもっと好きになるはず。もう少し暖かくなったら、自分の「まちのたからもの」さがしに出かけてみては。
 
 

関連リンク

NPO法人歴史的地域資産研究機構(れきけん)HP
文化財を見に行こう!(札幌市HP)
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