アナタの知らない「さっぽろ雪まつり」の舞台裏(2)大雪像を舞台に人形劇オペラ!?

アナタの知らない「さっぽろ雪まつり」の舞台裏(1)では、大通公園5丁目会場『雪の国のアリス』の大雪像制作の模様をお届けしましたが、この大雪像を舞台にした巨大人形劇&オペレッタ(オペラの一種、軽歌劇)を、毎晩“無料”で上演する予定です。後編では、雪まつり史上初の壮大なアートプロジェクトについてお伝えします。
 
 
 
 

札幌育ちで世界的人形劇師の沢則行さんによる新たな挑戦

「さっぽろ雪まつりに新たな魅力を」と、動き出したアートプロジェクトは、大雪像と巨大人形劇、オペレッタ、さらに影絵が融合するという壮大な野外劇です。その芸術監督に選ばれ、作・演出を手がけるのが、小樽生まれ札幌育ちの人形劇師・沢則行さんです。
 
 
 
 
沢さんは20年前から人形劇の本場、ヨーロッパのチェコに移り住み、自らの活動拠点としています。人間も人形も同等に舞台に立つ欧州の新しい人形劇『フィギュア・シアター』の手法をチェコ国立芸術アカデミーで学び、その後、人形劇師としても教壇に立ち、多くのアーティストを育てています。また、世界20か国以上で公演を行っており、世界中から注目される人形劇師なのです。
 
「人形劇というと、日本では子どもが観るものというイメージが強いと思いますが、ヨーロッパでは大人向けのステージもあり、幅広い世代に親しまれています。また、作品によっては何メートルもの巨大な人形で上演することもあります」。
 
 

6mのクリオネが登場?!北海道版のオリジナルストーリーでアリスを

『雪の国のアリス』の物語のベースは、『不思議の国のアリス』。雪が嫌いな現代っ子のアリスが、冬の女王の国に迷い込み、さまざまなキャラクターと出会い、冬のすばらしさに気づくという北海道版のオリジナルストーリーです。
北海道らしさを演出するため、ユキウサギ、クリオネ、エゾリス、シマフクロウなど北の動物がモチーフに。特にクリオネは6mにもなる巨大な人形で、かなりの迫力がありそうです。
 
 
 
 
 
 
オペレッタと巨大人形劇の融合というのは、少しわかりにくいかもしれませんが、例えばこういうことです。最初のシーンでは、役者が演じるアリスが登場し、冬の女王の国に迷い込むと、ある理由から人形のアリスがストーリーを展開していきます。
さらに、砂絵や影絵が巨大なOHPで投影され、真っ白な雪の舞台でさまざまなアートの要素が重なります。
 
 
 
 
「“舞台に登場するものにはすべて、存在理由がなければならない”という考え『ドラマツルグ』がベースにあります。人間のアリスよりも人形のアリスが演じる方が必然であれば人形が出るし、人形のアリスよりも人間のアリスが出るべきシーンでは人間が演じる。当然、大雪像(冬の女王)も演出上、存在理由がある訳です。
ストーリーに加え、雪は“水の循環”といったメッセージも盛り込んでいます。約8分間の上演ですが、かなり情報量の多い作品になると思います」。
 
 

氷点下20度の世界で過酷な実験

それにしても、氷点下にもなる真冬の夜、野外での上演は大きなチャレンジです。
 
「これまで挑戦したことのない環境ですから、そこは大きな課題でした。が、北海道大学には寒冷圏の環境を研究する『低温科学研究所』があるんです。低温研に多大なるご協力をいただき、氷点下20度になる施設で、どれだけ人形や楽器が耐えられるかという実験をさせてもらいました。人形の操作も楽器も歌も、問題なくできたのでひと安心です(笑)」。
 
 
 
 
「氷点下20度では髪の毛がバリバリになりましたが、声は出ました(笑)」と、女王役の松田久美さん。アリス役の窪田晶子さんは「練習帰りの夜道で、冷たい外気を吸い込んで喉が慣れるように鍛えています(笑)。まったく経験のしたことがない環境での舞台なので、とても楽しみです」と、話します。
 
 

人形劇の懐かしさと、初めて体感する世界の新鮮さを

作・演出の沢さんはもちろん、作曲家、役者、人形遣い、演奏、人形造形、映像など、出演者もスタッフもすべて札幌、北海道で活躍している方々ばかり。子どもの役者も含め、総勢100人が関わっています。
 
「札幌には子どもための公立の人形劇場『こぐま座』と劇場『やまびこ座』があります。子どものための公立劇場が2つもある街は日本で唯一です。また、『札幌室内歌劇場』や『さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座』のメンバーも出演しますが、札幌にはアートの土壌がしっかりと根づいています。特殊美術にしても、メロン熊の着ぐるみ制作で有名な吉田ひでおさんが全面的に協力をしてくれました。札幌ならでは、北海道ならではの作品を発信できると思います」。
 
 
 
 
子どもの頃にはよく出かけた雪まつりですが、札幌市民でさえ、大人になると足が遠のいてしまって…。
 
「今回の『雪の国のアリス』は、子ども時代に見た人形劇の懐かしさと、初めて体感する世界の新しさ、両方を楽しんでもらえると思います。“また雪まつりに行きたい”。そういってもらえると嬉しいですし、観光資源としてのアートの可能性を見ていただけたら、と思っています」。
 
 
 
 
どんな作品に創り上げられるのか、とても楽しみです。札幌から生まれる壮大なアートプロジェクトを、みなさんもぜひご覧ください!
 
 

第66回さっぽろ雪まつり「雪の国のアリス」

http://www.snowfes.com/
 
●開催日時/ 2015年2月5日(木)~2月11日(水・祝)
      (1)18:15~、(2)19:00~、(3)19:45~
●会場 /大通公園西5丁目「雪の国のアリス」特設ステージ
※当日の天候や混雑状況などにより、予告なしに中止または上演時間が変更になる場合があります。
 
 

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