冬こそ道東!標津サーモン科学館へ

 
 
北海道の知床半島、東岸の付け根にあたる道東の標津(しべつ)町。ここは日本有数のサケ水揚を誇る漁業と酪農のまち。大海で育ち、生まれた川に帰るサケ・マスの仲間達、皆さんどのくらいご存じでしょう?標津サーモン科学館を、山真雅之(やましんまさゆき)さんに案内していただきました。
 
知床半島の東の付け根にあるのが、人口およそ5,500人の標津町。標高1,061mの標津岳を源に、根釧台地(こんせんだいち)を南東に流れ、オホーツク海に注ぐ標津川の河口約2kmに標津サーモン科学館はあります。町の市街地からも程近く、周辺は「サーモンパーク」として整備された公園エリア。ランドマークである36mのタワーが、遠くから確認できます。
 
 
 
 
札幌育ちの山真さんは、標津で仕事を得て現在半年、担当業務を増やしている最中です。「当館は急ぎ足で見て約40分、魚好きな方なら、さらに長く過ごして満足いただける施設です。『海水大水槽』ではサケの仲間をはじめ根室海峡の魚を飼育します。9~10月には標津川と水路でつながる『魚道水槽』で、サケが遡上する様子をガラス越しに見ることができます。標津川を使った当館ならではの見せ方だと思います」(山真さん談)。

 
 
 
おすすめはこんなところにも。「シアターでサケの一生を映像で見ると感動しますよ。『川の広場』では、エサ入りカプセルをガチャガチャ販売機で購入し、イトウやニジマスなどに直接与えることができます」。活動が鈍る冬期とは思えない、イトウのワイルドな食いつきが見られます!
 
 
 
 
 
 

世界中のサケを飼育!

建物に入ると吹抜のドームから光が差し込む開放的な空間で、多様な魚を観察できます。1番の目玉は、飼育・展示するサケ科魚類の種類数が日本一、つまりサケ専門の水族館なのです!世界のサケ科魚類66種のうち、18種30種類以上が飼育されています。
 
 
 
 
サケ・マスの暮らしは陸封型や降海型など多彩で、解説を読むだけではわかりにくいもの。そんなときは、館内のスタッフに気軽に聞いてみましょう。きっと専門的でありつつ、わかりやすい解説が聞けることでしょう。
 
 
 
 
番外編として、ロシアなどに棲息するチョウザメも若い個体から2mに達する大きなものまでいます。指を水に入れて歯のないチョウザメに“指パク”される体験は、他ではできないため、みんな大興奮です。このチョウザメも、人工的に養殖して安定的にキャビアを生産できないか可能性を試すためのもの。軌道に乗れば野生種の乱獲が減り、自然界に種が残る可能性が高まります。ほかにも体長約4cmの“ドクターフィッシュ”の愛称をもつガラ・ルファも多数飼育。無数の魚に手指をハミハミされる快感に浸れます。
 
 
 
 

サケ研究の拠点として

標津サーモン科学館の強み、それは大学や研究機関と協働し、研究拠点として広く受け入れていること。館内は展示ゾーンとは別に、研究や作業ができるスペースがあり、寝泊まりができる「研修研究センター」も完備。魚の研究に特化した一流の環境で、大学関係者や学芸員を目指す学生の実習受入や職業体験実習を行い、次世代を育てているのです。
 
 
 
 
「研究者や当館職員は、何時間も冷たい川底をのぞき込んだり、魚に発信器をつけたり、様々な手法でサケの生態を調べています。そんな地道な努力で、まだ解明されていないサケの不思議を探っています」と話す山真さん。研究者の日常は、こうしたお話があって初めて知ることです。
 
 
 
 
「秋には、お客様がシロザケの人工授精を体験できる実習を行います。人工授精した卵は稚魚になるまで施設で大切に育て、春の大型連休に来館したかたが、敷地の小川から放流体験します。川は標津川につながり、稚魚は海へと旅立っていきます」(山真さん)。
 
 
 
 
ちなみに稚魚500匹のうち、再び川に遡上するサケはどのくらいでしょう。その数、わずか1匹程度といいます。多くがほかの動物に捕食されることで、別の命をつなぐ使命を果たします。
 
 
 
 

豊かな海のある標津

標津サーモン科学館が運営できるのは、地元漁師さんの協力があってこそ。山真さんの普段の仕事は、飼育管理や見学者の対応ですが、時には漁船に同乗して展示する魚を分けてもらう「活魚」と呼ぶ作業もあり重要な仕事です。
 
 
 
 
春から秋にかけて標津川河畔のサーモンパークでは、ドライブの休憩に人びとが訪れ、冬もサケの小さな命が育まれています。「当館では冬も多くの魅力があります。2月には約3cmに成長したシロザケの稚魚約1万尾の群泳を展示しています。また2~3月には、標津の沿岸にも流氷がやってきます。ぜひお越しください」(山真さん)。
 
サケを通じて多くの恵みを知る、標津サーモン科学館にぜひ1度足を運んでみませんか。厳冬の道東を訪ねるに値する思い出となることでしょう。
 
 
 
 

交通アクセス

(1)飛行機から車・バスで
羽田空港から根室中標津空港行きで約1時間40分。新千歳空港から根室中標津空港行きは約50分。空港から車で約25分。バスの場合、空港連絡バス(運行:根室交通)に乗車し、中標津バスターミナルにて下車。路線バス(運行:阿寒バス)に乗継ぎ標津町「サーモンパーク前」バス停で下車。所要約60分(待合時間含まず)。阿寒バスは平日1日6本、土日は1日5本運行。
 
(2)標津町の市街地からタクシー・路線バスで
標津バスセンターからタクシーで約1.6km、タクシー会社は標津町に1社あります(日東ハイヤー TEL:0153-82-4001)。路線バス利用の場合は、標津バスセンターから10番「標津標茶線」に乗車。所要約8分「サーモンパーク前」バス停にて下車。阿寒バスは平日1日6本、土日は1日5本運行。
 
★標津町にはJR駅はありませんので、最寄り空港やバス会社のホームページで、交通アクセス情報をご確認ください。