今年も札響で聴こう、シベリウス。 楽団員が語る指揮者・尾高忠明さん

来たる2月17日の「ホクレン クラシック スペシャル 札幌交響楽団東京公演2015」は、今年生誕150年を迎えるシベリウスの交響曲を存分に聴かせるコンサート。札響のシベリウス交響曲シリーズとしては第3弾、いよいよ最終章です(コンサート情報は、こちら)。
 
このシリーズに取り組む指揮者の尾高忠明さんは、2004年から務めてきた札響の音楽監督を3月末で退任します。今回のコンサートは、札響の音楽監督として指揮をする最後の国内公演です。札響の楽団員のみなさんに尾高さんとの関わりや思い出、東京公演で演奏するシベリウスについて語ってもらいました。
 


 

コンサートマスター・田島高宏さん

田島さんは、2001年、尾高忠明さんの招聘で国内最年少のコンサートマスター(首席演奏者)として札響に入団。3年間の在籍後、ドイツ留学のために札響を離れますが、2014年9月に復帰しました。
 
最初の入団時に、コンサートマスターを務めるのが初めてであるばかりか、オーケストラでの演奏経験も少なかった僕を育ててくれたのが、尾高さん。月並みな言い方ですが、厳しいけれども暖かい人です。
 
よく覚えていることがあります。あるコンサートで最初の曲に、ヴァイオリンのソロから始まるものがありました。高く、弱い音を聴かせなくてはならないので、やや難しい出だしです。まったく1人で弾くことになっていた僕が緊張しながら本番を待っていると、尾高さんが楽屋にいらして励ましてくれました。「君の音はとてもいいから、ホールに音を飛ばすように弾けば大丈夫」と。ふっと緊張が解けて、いい演奏ができました。
 
ちょっと遠回しに注意をされることも幾度かあって、あとで他の楽団員に指摘されて初めて分かったり、3日ほど経ってから「もしかして、こういう意味?」と自分で気づいたり(笑)。でもやっぱり、楽団員の前でヴァイオリンの音色や技量をほめていただいたことが、うれしく、ありがたい記憶として残っていますし、これからも残り続けるでしょうね。
 


 

ヴィオラ首席奏者・廣狩亮さん

廣狩さんは日本でも傑出したヴィオラ奏者のひとり。尾高忠明さんの信頼も厚く、札響の定期演奏会でも、その指揮のもと、たびたびヴィオラ協奏曲のソリストを務めてきました。
 
学生の頃、紀尾井シンフォニエッタ東京という楽団からお誘いを受けたことがあります。当時この楽団を監督していたのが尾高さんでした。でも僕は、まず広島、次いで大阪と、他のオーケストラに入り、ご一緒する機会を逸してきました。札響に入団し、ここで尾高さんの指揮のもとに演奏することになって、やっぱりご縁があったんだな、と思いました。
 
それでも尾高さんの指揮には触れていたんですよ。大阪にいた頃、紀尾井シンフォニエッタ東京の大阪公演に行きました。尾高さんの振る(=指揮する)「フィガロの結婚」序曲を聴きましたが、とても統一感のある新鮮な演奏で、指揮ひとつでこんなにも変わるものか、と強く感銘を受けたことを覚えています。
 
札響に入ってからは、尾高さん指揮のドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」が大きな思い出です。なにより演奏をした僕自身が感激しました。いままで自分がやってきた曲への取り組みとは異なるだけでなく、それが本当に印象深い仕上がりになったことにも驚きました。そして、演奏していて実に楽しかった。そのことを是非とも伝えたくて、尾高さんの楽屋へ公演後、真っ先にあいさつにうかがったくらいです。
 
 

 

オーボエ首席奏者・金子亜未さん

金子さんは日本を代表する若手オーボエ奏者で、札響新世代の代表的存在。大学卒業後すぐに札響に首席奏者として入団しました。昨年すでに尾高忠明さんの指揮で協奏曲のソリストも務めています。
 
学生時代に尾高先生の指揮で演奏したことがあります。あるコンクールの受賞者演奏会でした。曲はモーツァルトのコンチェルト。札響入団後に、その同じ曲を、また尾高先生の指揮で演奏する機会があって、そんな巡りあわせの面白さが心に残っています。
 
札響の演奏者として特に魅力を感じているは、尾高先生の指揮による弱音表現です。オーボエをはじめ、管楽器での弱音表現はなかなか難しいことも多いのですが、みんなでアンサンブルしたときに生まれる素晴らしく繊細で、ニュアンスに富んだ音は、演奏者にとって大きなやりがいですね。
 
シベリウスの交響曲で最も好きなのは第5番。冒頭から管楽器が華やかに鳴り出す曲なので。2月の東京公演、演奏者の私も楽しみにしています。
 
 

 

ヴァイオリン奏者・高木優樹さん

高木さんは札幌出身。札響のヴァイオリン奏者に手ほどきを受け、東京の大学で学んだのち、札響に今年入団しました。札響メンバーとしては東京公演初出演となります。
 
尾高さんの指揮で初めて演奏したのは学生時代。ラフマニノフの交響曲第2番でした。静謐さ、高貴さが印象に残る指揮で、なかでも表情あるピアニッシモは、他の人ではなかなか表現できないのではないでしょうか。
 
札響の東京公演には、入団前からエキストラとして参加していました。尾高さん指揮のシベリウスの演奏も経験しています。札響のメンバーとなって改めて感じたのは、道外のオーケストラとは性格がきわだって異なること。これは北海道という生活環境そのものから来るような気がします。
 
たとえば、冬といっても青空が続く東京にいると、シベリウスやグリーグといった北欧の作曲家の作品を演奏する気分には、なりにくいのではないか。僕自身、東京暮らしをしていたときに、ずっとそう思っていました。北海道・札幌だと、その気分が、ごく自然に湧いてきます。ほんとうに呼吸と同じくらいに。
 
 
 
(札幌コンサートホールKitaraにて 取材:読売新聞北海道支社)
 

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ホクレン クラシック スペシャル 札幌交響楽団東京公演2015

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札幌コンサートホールKitaraで、ひと足先に札響のシベリウスを堪能しませんか?「第577回定期演奏会 シベリウス交響曲シリーズvol. 3」は、2015年2月13日・14日に開催。