2014年12月29日 | うずらはしちあき

情熱の仕事人。函館NO.1人気のハンバーガーショップ。ラッキーピエロ代表「王一郎」

函館ラッキーピエロの代表・王一郎さんと人気のチャイニーズチキンバーガーのオブジェ
 
 
函館の人には馴染み深く、観光客にとっては“函館必食”の超人気ハンバーガー店。地域密着を貫き、函館発のおいしさと訪れる人の笑顔を生み出す「ラッキーピエロ」の生みの親、王一郎さんの情熱に迫ります。
 
 

「ラッキーピエロ」にしかない魅力づくり

千葉で中華料理店を営んでいた26歳のとき、旅行で訪れた函館。生まれ故郷の神戸に似た雰囲気が気に入り、王さんはこの街に移り住みました。
趣向を凝らしたパブ、洋食や中華のレストランを展開。その経営から多くの学びを得ました。「親・子・孫3世代に愛されるような店をつくりたい」。洋食レストランの経験と得意とする中華料理のノウハウを生かし、1987年にラッキーピエロを開業。ベイエリアに構えた11坪の店舗からスタートを切りました。
 
 
函館のハンバーガーショップ、ラッキーピエロ代表の王一郎さん
▲ラッキーピエログループ社長 王一郎さん。1942年、神戸出身。高校を卒業後、千葉の親戚の会社に勤め、21歳で中華料理店を独立開業。27歳のとき函館に移住。1987年、ラッキーピエロを創業。学校・企業などにおいて多数講演。著書に「B級グルメ地域No.1 パワーブランド戦略」(商業界 刊)がある
 
 
開業から四半世紀。“ラッピ”の愛称で呼ばれるラッキーピエロは、人口27万人の函館を中心とする道南エリアで、全国チェーンの出店数を上回る16店舗を展開。地元の人々から支持され、道内外からの来店も多数。ラッピを訪れる人は、年間180万人にのぼります。
 
メニュー、サービス、食べることが目でも楽しくなる空間。王さんの店づくりは、独自性に溢れています。「森の中のメリーゴーランド」、「サンタが函館にやってきた」、「オードリー・ヘプバーンが憧れだった」…。各店にテーマを設け、16店のデザインはすべて異なります。看板商品は鶏肉が主役。甘辛いタレを絡めた鶏のから揚げが3個、レタスとマヨネーズをバンズでサンドした「チャイニーズチキンバーガー」は、手にとるとずっしり重く、味も食べ応えも抜群。年間30万個が出るといいます。
 
各種ハンバーガーだけではなく、カレーライスやオムライスなどのメニューも多彩。基本のバーガーは同じでも、店舗ごとにメニューのラインナップが異なるのもラッピスタイルです。個性は16通り。「お客さまが選ぶ楽しみがある」のです。
 
 

北海道・地元産の食材でお母さんたち手作りのおいしさを

作りたてのおいしさを味わってもらうために、ハンバーガーは注文を受けてから作り始めます。その調理やサービスを担当しているスタッフの多くがお母さんたちです。
「調理師の次に料理が上手なのはお母さんです。私たちにはナショナルチェーンさんのように徹底したマニュアルはありませんし、手作り志向ですから最終的には作り手の勘が重要になるわけです。ですから、毎日食事を作っていらっしゃるお母さんたちが料理をして接客をするハンバーガーショップをつくりたかったのです」と王さん。
当初は「若い人が働くところ」というイメージがあったためか、なかなか応募者が来なかったそうですが、現在はスタッフの約75%が主婦の方々といいます。
 
冷凍物は使わず、肉類のほとんどは道内産。お米は道産米のふっくりんこ、野菜もできるだけ函館近郊産のものを使用。「愛情を込めて生産された最高の食材で、私たちが愛情を込めて最高のものを作り、お客さまに召し上がっていただく。私たちは『地産地食』ということに早くから取り組んできました」。使う食材は最終的にはオール北海道産をめざしているそうです。
 
 
函館ラッキーピエロの鶏のから揚げが入ったチャイニーズチキンバーガー
▲道南の伊達産鶏肉を使った「チャイニーズチキンバーガー」(350円)。甘辛タレのジューシーなチキン、シャキシャキのレタス&マヨネーズの組み合わせがたまらなくおいしい。十分なボリュームで手頃な価格設定が魅力のメニューが揃う
 
 
王さんは、戦後は食事を「胃袋」で食べ、高度成長期は「目」や「舌」で食べ、その後は誰がどうやって作ったものなのか?安全で安心なものなのか?「頭」で食べる時代に変わり、そして今は「心」で食べる時代だといいます。
「作り手の熱意や愛情が物語として語られていなければ、商品を買ってもらうことはできません。どうお客さまの心にふれる表現をしていくのか、私たちは一生懸命にやっています」。
 
ラッキーピエロでは、環境対策に積極的に取り組み、40%のごみの削減を実現。2006年には「北海道ゼロ・エミ大賞」、2007年には「容器包装3R推進環境大臣優秀賞」を受賞しています。また、スタッフや取引先の方々、お客さんから参加者を募り、海岸や公園などの清掃活動も実施。
「安全でおいしいものを作りたい、それをもたらしてくれる自然環境にもお返しをしたい。1つ1つできることにチャレンジしています」。
 
 

出店は函館とその近郊だけ。地元を愛し、愛される「ラッキーピエロ」

王さんは一心に「地域一番」をめざしてきました。「私たちは地域の方たちと一緒に、愛する函館を元気にする一員になりたいのです」。
国内外から多くの出店依頼やコラボ商品開発の依頼が寄せられますが、「すべてNOです」と王さんはきっぱり。「ほかでは私たちの味は出せません。地元の食材を使ったラッキーピエロのハンバーガーを、この場所でこの空間で召し上がっていただきたいのです」と力を込めます。独自の価値を守り続ける王さんの語る言葉からは、函館に根を張り、多方面にアンテナを立てアイデアを発想し、食材の調達や情報・メッセージの発信など地域密着の強みを磨き続け、「ラッキーピエロ」というブランドを築いてきた自信も感じられます。
 
 
函館ラッキーピエロの七飯町にある峠下総本店の店内にはメリーゴーランドがある
▲函館の隣町・七飯町にある「テーマパークレストラン バードウォッチング館 ラッキーピエロ峠下総本店」は、ラッキーピエロ16番目の店舗で1番の大型店
 
 
「進学で函館を離れた学生さんが、ラッピのチキンバーガー、カレーを食べたいっていうんですって。それでお母さんが買って行ってくださる姿を見ると、『いやー、最高!最高!』って思うんですよ。それが私たちのよろこびですよね」。嬉しくて仕方がないといった様子で、王さんはそうしたエピソードも教えてくれました。
 
 
函館ラッキーピエロの七飯町にある峠下総本店の店内に赤く大きな財運の椅子がある
▲王さんの夢、長女で副社長の未来さんのアイデアがつまった峠下総本店は、大人もわくわくする楽しさに溢れている
 
 
王さんの生き生きとした笑顔はとても印象的です。「私は一生青春で、一生勉強だと思い込んでいるんです。そしていつも明るくしていると、たくさんの出会いがあるんですよ」。
 
「私はここに来て40数年。函館っ子っていっていいですよね(笑)。そして函館で仕事をさせていただいているので、私たちは故郷の味になりたい。最高のハンバーガーを作って、食べてくれるみなさんから『楽しいな、幸せだな、面白いな』といってもらえるのが生きがいですし、何より大きな励みになります」。
 
王さんの函館を愛するひたむきな情熱が、さらに地域・人を幸せにしていきます。
 
 

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