新札幌の小さなオアシス。サンピアザ水族館

 
 
北海道旅行で冬によくあるのが「時短営業」や「冬期休館」施設に当たってしまうこと。札幌副都心の小さなオアシス、サンピアザ水族館は年中無休365日開いています!巨大水槽はなくてもここは、札幌市近郊の子ども達にとって魚と出会った“原風景”ともいえる水族館。ほのぼのと楽しめるサンピアザ水族館を、飼育係の平さんに案内していただきました。
 
札幌市青少年科学館と隣り合うサンピアザは、科学館と並び札幌の子ども達が一度は行ったことがある懐かしいスポット。水族館がオープンしたのは1982(昭和57)年で、当時は札幌の都心部が拡大し、JR新札幌駅が1973(昭和48)年に開業。昭和50年代は新札幌の開発が進みました。この水族館は民間の公社が運営しています。
 
さっそく中を巡ってみましょう。
 
 
 
 
北海道を代表する大衆魚ホッケ(写真:下左)やマツカワ(写真:下右)に、つい食欲をそそられませんか?味は美味ですが外見はモノトーン。北の魚には熱帯魚のような派手さはありません。「北海道の魚が住む海は、多くが砂地の海底や岩場です。ですから住む環境に合わせた体色なんですよ。青や黄色のサンゴ礁に仮にホッケがいたら、かえって目立って敵に食べられてしまいます」。平さんの解説に納得です。
 
 

狭さを“魅力”に変える!サンピアザ水族館の工夫

サンピアザ水族館では、弱点ともいえる施設の狭さを魅力に変えようと、5名の飼育係を中心にスタッフが一丸となって、工夫しています。
 
 
 
 
小さな水槽が2段に並ぶコーナーでは、ゴルフボールをイシダイが口で突き、穴に入れる芸を見せてくれました。写真右側の解説員の脇には、デンキウナギの水槽があります。エサを与えると一瞬でボルトの表示灯が全て点灯する仕掛けです。「魚のショーでは『子どもの頃に、これ見た!』と思い出す大人も多くいますね」(平さん)。
 
 
 
 
こちらは餌付けタイムで、テンションがやや高めのゴマフアザラシ。「ゴマくん(写真:右)は普段はおっとりした性格で、たまに動きを止め、アクリル越しにお客さんを真っ正面からじっと見つめるフォトジェニックな子です。『近い距離から写真が撮れた』とお客さんに喜ばれます」とのこと。好奇心の強いゴマフアザラシは、まん丸な眼差しで私たちを毎日、逆に“観察”しているのかも知れません。
 
 
 
 
狭さを近さに変える展示の工夫はまだあります。小さな子どもにはケガの心配がない“小物”から、生物の興味・関心を育んでみては。北海道の磯で暮らすヒトデやホラという貝を、浅い水槽で展示。別の水槽ではガラ・ルファという小魚が手指を水につけると、群がって角質をついばんでくれます。
 
 

サケが母川に帰るまち、札幌

サンピアザ水族館でぜひ見て欲しい展示はサケ。冬に生まれた稚魚は2F「川と湖のサカナ」コーナーにます。「今シーズンの展示に使ったサケは、胆振(いぶり)エリア、の鵡川(むかわ)の漁師さんから提供を受けたものです。秋には親サケを展示し、メスの腹から出した卵にオスの精子をかけて人工授精。卵や稚魚を観察することができます」(平さん談)。
 
 
 
 
実はサケには札幌市民の特別な“想い”があります。札幌は扇状地の上にできたまちで、市内を南北に貫く豊平川は、石狩川と合流して石狩湾に注ぐ一級河川です。しかし戦後、水質の悪化によって1950年代に豊平川のサケが一時絶滅。さらに暴れ川を直線化する工事も進み、サケの遡上に悲観的な専門家も多くいました。
 
1970年代、札幌市民の有志は立ち上がり「カムバック・サーモン運動」を開始。国や自治体など多様な主体の協力を得て、戦後30年近く絶えていたサケの人工受精を再開し、3年にわたり100万尾を超える稚魚の放流を続けました。1981(昭和56)年の秋には豊平川を跳ねる遡上サケの姿に、多くの市民が歓声をあげ、以降は子ども達の環境学習に適した事例となっています。市民運動はいま「札幌ワイルドサーモンプロジェクト」という組織となり続いています。
 
 

サンピアザ水族館の裏側に潜入!

この日は特別に水族館の裏を見せていただきました。「雑多な物が多いです。頭上と足場に気をつけて」と平さんが先導する回遊水槽の裏側は、屈まないとパイプに頭をぶつけるほど天井が迫ります。加えて足場は隙間があるスノコ!ちなみにバックヤードを巡る裏側探検イベントで、これまでに水に落ちた人はひとり。参加の際は気をつけて潜入しましょう。
 
 
 
 
「当館では200種1万点を飼育しており、私達は出勤すると水槽を見回ります。死んだものも、中には共食いで体の一部や骨になっている魚もいます。弱ったものがいたら回収し、ケガや病気の手当をして、死んだ場合は日誌にわかる限り魚種などを記録します」(平さん談)。生き物の死は日常とのこと。まさに表側では見えない働きを知る、飼育員の職場でした。
 
 
 
 
魚が自然に繁殖することはないのでしょうか。平さんによると「殖えることはないですね。回遊水槽の魚は卵を産んでいるのでしょうが、卵や稚魚のうちに他の魚に食べられてしまうようです」とのこと。自然の川や海が、いかに絶妙なバランスの上に成り立っているかを感じました。
 
 

コツメカワウソに触れる、かも

サンピアザ水族館では現在、3頭のコツメカワウソを飼育展示しています。同じ母から生まれた2歳の姉妹で、皆そっくりですが平さんには別々の個体に見えているようです。「体が大きくやんちゃなハナ、おっとり目なララ。そして体は一番小さいながら、ハナにかかっていく一面もあるのがミミ」とのこと。
 
 
 
 
カワウソ姉妹は普段、アクリルの円筒を遊び場としています。筒の内は水が入っているため泳ぎ、浮上すると円筒をすばやく走り、また筒の中に入る。ハイテンションな追いかけっこが続きます。疲れたら身を寄せ合って昼寝。そこに平さんがやってきました。眠そうな目がまん丸くなり・・・
 
 
 
 
 
 
アクリル壁の隅には、普段鍵をかけてある小さな穴がふたつ。これは1日3回「ふれあいタイム」で使う穴で、ここにもカワウソの習性が。「野生のカワウソは岩の間や隙間に手を入れて、カニなどのエサを探します。隙間があったら手を入れるのは彼らの習性です。エサはやれませんが、お客様はアクリル筒を通して直接、手(前肢)に触れることができます」(平さん)。この呼び水として与えるのは、どこかで見たことのある粒。
 
 
 
 

サンピアザ水族館見学の思い出は、「マリンショップ」で

お気に入りのエサはキャットフード!「赤ちゃんカワウソの離乳期に試したのですが、親子ともに気にいったようで、以来当館ではキャットフードを採用しています。ふやかしたものをベースにドライと混ぜて与えています」とのこと。猫のエサが水族館で使われていることも驚きです。
 
 
 
 
見学の最後には物販コーナー「マリンショップ」があり、気にいった動物をマスコットにするのもお奨め。札幌市で唯一、年中無休のまちなかアクアリウム、サンピアザ水族館にぜひ一度、足を運んでみませんか。
 
 
 
 

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