北海道の自然を描いた旭川生まれの染織工芸「優佳良織」

旭川で生まれた美しい工芸品をご紹介します。その名も「優佳良織」(ゆうからおり)。北国の自然と四季をモチーフにしており、羊毛を染め、糸を紡ぎ、織り上げる工程のすべてを手作業で行っています。現役の職人さんに教えてもらう、織り体験にも挑戦してきました。
 

 
 
「優佳良織」(ゆうからおり)の創始者は、木内綾さん(大正13年~平成18年)。北海道独自の織物を創りたいと、世界中の織物の技法を研究し、また何千回もの試作を繰り返して、北海道の自然をモチーフにした「優佳良織」を生み出したといいます。
 

 
 
その魅力を、美しさを最初に評価したのは、日本ではなく海外。ヨーロッパ各国の展覧会に招かれ、ハンガリー国際織物ビエンナーレ金賞も受賞。それから次第に、日本国内にも広がっていきました。
 

 
 
素材に用いているのは、羊毛。これを染め上げ、染めた毛を混ぜ合わせてひとつの糸に紡ぎ、機(はた)で織っていきます。それぞれの工程に、相当な技術が必要なのは言うまでもありません。作品は、職人さんの巧みな技でできあがっています。
 


 
「秋の摩周湖」「ハマナス」「ライラック」「白鳥」など北海道の大自然がモチーフになった作品は、つづれ織か浮織のどちらかの方法で織られています。
 

 
 
優佳良織工芸館ではそれらの作品を展示。それぞれ衣類やグッズなどに展開されていますが、圧巻はやっぱりタペストリー! 
 

 

 
 
ひとつの作品につき200~300色を使った織物は1枚の絵画のようで、だけど羊毛ならではのぬくもりがあって、なんとも美しい…。その味わい深さといったら!個人的にも大ファンで、見るたびに感動しています。
 

 
 
そんな「優佳良織」に魅せられた人の胸にふつふつと湧いてくるのは、自分も織ってみたい、という思いではないでしょうか。ご安心ください。優佳良織工芸館では、織り体験もしています!
 
場所は、小さいサイズの織機がずらっと50以上並ぶ部屋。好きな色がかかった織機を選びます。
 

 
 
教えてくれるのは、実際に作品を織っている職人、菅原操さん。木内綾さんの直弟子で、彼女の試作品も担当していたという大ベテラン。機織り歴35年だといい、木内さんとの思い出を、こう語ってくれました。
 
「ひとつの作品について話をしている最中にも、新しいアイデアがパパッと閃く天才肌の女性でした。また独特のオーラのようなものを纏っていて、例えば取材がある日などは、朝から顔が違いましたね。プロだな、と感じたのを覚えています。やさしくて思いやりもありましたが、仕事に関しては厳しい方でしたよ」。
 

 
 
織機の作業は、踏み板を踏み、糸のついた杼(ひ)を縦糸に通し、筬(おさ)を手前に打つ、ということの繰り返しです。
 

 

 
 
作りたい模様に合わせて踏み板の踏み方や糸の通し方が変化します。また体験では杼を用いず、糸巻きを使用。実際の作品作りに使われている糸なので、かすり糸や金糸、スラブ糸などバリエーションがあり、どの色を使おうか選ぶのもとても楽しいです。
 

 
 
職人さんに教えてもらいながら作業を進めていくのですが、教えてもらう時以外は、どんどん寡黙に。自分の世界に入り込んでしまいます。
 

 
 
最後まで手元も足元もおぼつかないままでしたが、1時間30分~2時間かかって作業は終了。無事に織物が完成しました。
 
とここで、「男性と女性の作品には、それぞれ特徴があるんですよ」と広報の木内佳珠さん。「一般的に男性は、あまり色や柄を多様せず技術にこだわり、丁寧にきれいに作ろうとします。一方、女性は、あの色もこの色も使いたい、いろんな柄に挑戦したい、とダイナミックですね」。
 
実際、FUKKO(女性)とカメラマン(男性)作った作品を見比べてみると…。わかるような気がしますね(笑)。
 

 
 
「当館の職人はまるでオルガンを奏でるように、リズミカルに織機を動かしているんですよ」と木内さん。
 
実際に現場を見せてもらうとまさにその通りでした。杼を通すシャッという音と筬を打つトンッという音が響く中で、無駄のない的確な動きを繰り返す職人さん。なんともいい光景でした。
 

 
 
旭川発の美しい織物を見つつ、自分も体験できる「優佳良織工芸館」。今度のお休みや北海道旅行の時にいかがですか。
 

関連記事

雪の女王になった気分?!瀟洒な建物が素敵な旭川「雪の美術館」