札幌市青少年科学館で知る、北海道の冬!

 
 
2014年4月耐震改修工事を終え再開館した札幌市青少年科学館は、道産子が子どもの頃に一度は訪れるサイエンスの宝箱。例えば冬の北海道では、雪が少ない太平洋岸のまちや7mも雪が降る旭川など、雪の量に大きな差があるってご存じですか?北海道ならではの展示を解説員に聞きました。
 
JR札幌駅から4つめの新札幌駅と、地下鉄新さっぽろ駅の両駅から行けるのが札幌市青少年科学館です。施設の頭に「青少年」とついていますが、大人が知って損はない北海道情報が盛りだくさん!ここでは展示の部分改修を行って以来、入館者数が開館した1981(昭和56)年の翌年に記録した最高記録を、塗り替えそうな勢いを見せています。ここにはどんな発見があるのか、広報の埀石寛史(たるいしのりふみ)さんと、展示係の百野(びゃくの)道子さんに案内していただきました。
 
 
 
 

北海道のプレートは動いています!

展示の改修を終えた科学館では、機能を満載したハイテク展示は意外と少なく、自然の現象を説明するには、シンプルさが一番ということが、館内を巡るとわかります。百野さんに人気の展示をたずねたところ、示されたのがこちら。
 
 
 
 
壁面のハンドルを回すと、模型のプレートが東から西に沈みます。すると支笏湖(しこつこ)あたりに模した火山が噴火!やや間をおいて沈降するプレートにつられて沈んだ部分が反発し、はね返りの力で地震がおきるという一連を知る仕掛けです。「私は道東の鶴居村に住んだことがあり1993(平成5)年の釧路沖地震や、翌年の北海道東方沖地震に自宅で遭いました。揺れに驚きテーブルの下に潜って後で見ると、私がいた場所には食器棚がありました」という実体験も聞かせてくれました。北海道の山でアンモナイト化石が出るのも、温泉が多いこともプレートの仕組みを知れば納得ですね。ぜひハンドルを回してみてください。
 
 

高さ18mから降る人工雪!

北海道といえば雪。「人工降雪機を常設で展示し、雪をテーマとした展示が充実している施設は、全国的にも珍しいようです」と話す埀石さんに案内され、次のコーナーに移動します。科学館では北海道大学の低温科学研究所を創設した中谷宇吉郎(なかやうきちろう)博士の偉業にもぜひご注目を。世界で初めて人工雪をつくりだした中谷教授は、雪の結晶は空の水蒸気量や気温という条件で決まることを証明しました。科学館の装置「スノーファクトリー」も、1936(昭和11)年に発見した人工雪発生の原理を使っています。
 
 
 
 
「雪の赤ちゃんを氷晶(ひょうしょう)といいます。雪は上空3~4,000mで生まれた氷晶が、空の水蒸気量や気温の条件で、柱状や六角形などに形作られて、雪の形で地上に降ってきます。その一連の現象を当館では、高さ約18mの円筒形の冷凍庫で再現しているんですよ」(百野さん)。
 
「雪は天から送られた手紙である」という言葉を残すなど、中谷博士は物理学者だけでなく、文学においても豊かな才能を表した人でした。天からの手紙に託された、雪のメッセージ。この人工降雪装置と、隣のスノーデザインラボは、子どもに加えて女性やカップルにも人気のコーナーとのこと。ここではトラックボールで気温と水蒸気量を操作し、バーチャルな雪の結晶に名前をつけて降らせることができます。
 
 
 
 

雪崩を見てみよう!

まだまだあります、雪ネタの展示物。これは何だと思いますか?百野さんに実演していただきましょう。
 
 
 
 
 
 
傾けた筒から雪を模したガラスの粒がザザーッと下り落ちていきました!一瞬ですからご注目を。「何度もやると水が白濁してしまうので、粒子が沈殿するまでちょっと間をおく必要があります。原理は単純で、この小さな雪崩を真横や斜面の下から観察することで、大規模な雪崩をイメージできる展示ではないでしょうか」(百野さん談)。
 
道内のスキー場では、新雪を求めて立入禁止区域に入る人により、雪崩事故が起きてしまうことがあります。救助騒ぎを起こす前に、ミニ雪崩をここで体験して雪崩の怖さを想像して、冬山を安全に楽しみたいですね。
 
 

人工衛星から見える北海道

科学館では展示の改修を機に、天文・地球科学コーナーを刷新しました。「科学館の入館者は大人4対子ども6の割合です。展示装置は幅広い年代が見て触れますが、プラネタリウムは子どもより大人に特に、好きな方が多いですね」(百野さん)。
 
 
 
 
2Fで目に入るのは天文・地球科学コーナーの大きな半円の球。これは1Fのプラネタリウムで星を投射する画面の反対面です。この半球には改修を機に、冬の衛星写真が貼られています。
 
 
 
 
この大きな北半球では北海道にご注目を。冬は全道が真っ白になるわけではなく、よく見ると、日高の浦河町あたりはさほど雪が降っていないことがわかります。実際に、浦河町のひと冬の積雪はわずか1.5mほど。パウダースノーが有名な俱知安(くっちゃん)町の13mより、はるかに雪が少ないのです。
 
 
 
 
写真右上の展示は道内各地の年間積雪量を示したもの。粒状の発泡スチロールとアクリル筒でつくった、素朴ながらわかりやすい展示です。旭川では7m以上、札幌もひと冬に6mを超える雪が降る一方、雪の少ないまちには、その位置にヒントが。写真左上は、ライターすすきのあき子が2014(平成26)年2月に訪れた、オホーツク海沿岸の紋別ガリンコ号の船上から撮影した流氷の風景。このように道内は冬、各地で多雪・流氷・低温など多様な現象が起きているのです。
 
北海道Likersで紹介した知床・網走・紋別の流氷を巡る旅 はこちら↓
知床・網走・紋別の流氷を巡る旅
 
知れば納得、旅の楽しさ倍増。地学、雪氷、天文と北海道ならではの情報を、触れて学べる札幌市青少年科学館、インドア派の寒がりさんも、サイエンスにご無沙汰な人も一度、足を運んでみませんか。