札幌の礎をつくった男。マンガ「島義勇伝」

 
 
全国で最も魅力的な市町村ランキング(※1)で、第1位の函館市に次いで札幌市は第2位。1869年、札幌に開拓使が置かれてから145年で190万都市にまで成長し、全国2位の魅力あふれる札幌の礎をつくった開拓判官(※2)、島義勇(しまよしたけ)の物語がマンガになりました。これを読めば、ますます札幌が好きになり、もっともっと札幌のことが知りたくなります。
 
 

開拓判官・島義勇とは?

島義勇は、1822年、佐賀藩の武家に生まれました。1856年、藩主・鍋島直正の命により、蝦夷地(北海道)の調査に出発。1869年に開拓判官に任命され、同年11月、札幌の開拓に着手します。が、1870年2月に「お前は、開拓に金を使いすぎだ!」と上司ににらまれ、たった3ヵ月で判官をクビになり東京に戻されました。
…と、ざっくり言ってしまえば、そういう経歴の人なのですが、いやいやとんでもない。島義勇がいなければ、今の札幌はなかったかもしれないんです!
 
 
 
 

教育マンガのようで、実はドラマチックな歴史ドラマ

2014年10月、北海道の出版社(有)エアーダイブから発行されたのがマンガ「島義勇伝」です。なぜ今、島義勇がマンガになったのか?(有)エアーダイブに話をうかがいました。
「エアーダイブは、北海道の出版社として、地域に根付いた本づくりをしています。以前から北海道開拓に関する作品をつくりたいと考えていましたが、きっかけになったのは3.11の東日本大震災でした。札幌は震災の少ない、豊かな土地です。この素晴らしい土地を選び、街をつくった先人たちのおかげで、私たちはとても住みやすい札幌で暮らすことができています。地元の出版社として、そんな札幌の基礎をつくった人のことを、たくさんの人に知ってもらい、子供たちにも伝えるべきではないかと思いました」。
 
 
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マンガは、佐賀藩時代の若き日の島義勇が、北海道開拓に関わるようになったいきさつ、激動の幕末から明治維新、北海道開拓の厳しさなどが、ドラマチックに描かれています。一般的に教育マンガというと、登場人物のセリフや動きより説明書きが長く、マンガを読むというより、説明書きの挿絵がマンガになっているという印象が強いのですが、「島義勇伝」はしっかり「マンガ」として楽しめます。主人公の島義勇についつい感情移入するシーンも。マンガとしての読みどころ、見せどころも満載です。
 
 
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構想3年、北海道庁や佐賀県庁もバックアップ

マンガではありますが、そこは「島義勇伝」というくらいですから、史実に間違いがないよう徹底した資料集めと検証が行われたそうです。1冊を仕上げるのに、「島義勇伝」製作委員会を立ち上げ、開拓判官島義勇顕彰会をはじめ佐賀大学教授や歴史作家などに監修を仰ぎました。実際に島義勇が残した記述はもちろん、彼に関わった人たちの記録など、さまざまな資料をもとにしています。
 
 
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島義勇が記した「入北記」(1857年)をもとに、彼が歩いた「北海道ほぼ一周」が地図になって掲載されているのですが、飛行機や電車、車をつかっても移動が大変な広大な北海道を、よくぞ足で歩いたもんだ!と、本当に驚きます。
 
 

「島義勇伝」を片手に、札幌を歩いてみる

札幌の小学校では、社会の時間に「北海道の開拓」について学びます。その時に、島義勇など開拓に関わった人たちのことも勉強しているはずなのですが、実は意外と知られていないのが事実。しかし、マンガの巻末にまとめられた、札幌市内に残る島義勇関連の石碑や像などを見ると、「これ知ってる、見たことある!」というものが多数ありました。
 
例えば、札幌市役所1階ロビー。カフェの前に、遠くを眺める侍の像があります。これが、島義勇です。
 
 
 
 
そして、おそらく1番見られていて「ああ、あれね!」と誰もが言うのが、北海道神宮にある島義勇銅像ではないでしょうか。
 
 
 
 
 
 
また、北海道神宮敷地内にある開拓神社。ここには、島義勇の他、北海道の開拓に功績のある人たちが祀られています。
 
 
 
 
 
 
南1条通りを円山動物園の方に向かって歩いていくと、坂下グラウンドの道路挟んで向かい側くらいにあるのが、彼の業績を漢文で刻んだ島判官紀功碑です。
 
 
 
 
他にも、札幌市内には彼にちなんだものが多々あるので、マンガを片手に巡ってみるのもいいかもしれませんよ。
 
 

平原千里の地に五州第一の都

島義勇が札幌開拓に関わったのは、たった3ヵ月。しかし、その短い間に今の札幌の基礎がほとんどできあがっていたことが、マンガを読むとよくわかります。志半ばで札幌から去った島義勇ですが、彼には「平原千里の地に五州第一の都」、つまり広々とした大地に世界一の都市となるであろう「札幌」が見えていたのでしょう。
 
 
※写真:札幌市観光写真ライブラリーより
 
 
今、もし島義勇がいたら、この札幌をどんな風に眺めるのでしょう。そんなことを思いながら読む「島義勇伝」、ぜひ秋の夜長の一冊に。
 
 

関連リンク

(有)エアーダイブ
「島義勇伝」※試し読みができます
 
 
※1:地域ブランド調査2014
http://tiiki.jp/news/05_research/survey2014
 
※2:判官
律令制の官職のひとつ