新たな鉄路が拓く北海道。写真展「海峡が見た夢」

 
 
東海道新幹線の開業から今年は50年。2016年の北海道新幹線の開業に向けた、いまこそ必見の写真展があります。「海峡が見た夢〜青函連絡船から新幹線へ 世紀を越えて〜」。札幌で開く写真展には、写真家の想いと人びとの支援がありました。
 
東京五輪や新幹線が開通した頃、北海道では青函連絡船が大きな話題でした。1964(昭和39)年から近代化船が相次ぎ就航。いま残る函館市青函連絡船記念館「摩周丸」も、当時は“海の新幹線”と呼ばれた船です。
 
北海道Likersで紹介した「摩周丸」はこちら↓
・“海の鉄路”青函連絡船を知る記念館「摩周丸」
 
 
 
 
1988(昭和63)年1月、青函連絡船が役目を終える日々を撮影した写真家が白井朝子さん。祖父と父も国鉄職員という鉄道一家で函館に生まれ、1970年前半に自らも国鉄広報部の専属カメラマンとして活躍。この経験が、のちに連絡船の最後を撮る縁をたぐり寄せることになりました。
 
 
 
 
「見えない“海上の鉄路”の役割を担い、国鉄時代から80年間活躍した青函連絡船の存在を次の世代に伝えたい」。そんな想いを共にする人びとに、写真展の開催は支えられてきたといいます。今回は、写真家であり函館でNPO法人語りつぐ青函連絡船の会副理事長を務める白井さんと、理事長の木村一郎さんに写真展について話を聞きました。
 
 
 
 
時は遡って1988(昭和63)年。連絡船の終航を受けて船の最後の姿を撮影する話が、当時36歳の白井さんに舞い込み、1月後半の1週間、白井さんは様々な角度から青函連絡船の記憶を残すべく、撮影の日々を送りました。その時、不思議と感じたのが船からの“声”だったと言います。
 
 
 
 
「撮影当時、私は自分の意図をほぼ入れずに撮影していました。すると不思議と『ここを撮ってほしい』という、船の声が聞こえたんです。その声を頼りにシャッターを切り、撮影したのがこれらの写真です」(白井さん談)。連絡船の勇姿は、後に2冊の写真集として発表。これらは白井さんが作った作品というよりも、「私が連絡船と共につくりあげた作品」と振り返ります。
 
 
 
 
作品からは、連絡船に乗務して実直に役割を果たしてきた国鉄マンの息遣いが伝わってきます。
 
 
 
 
今回の写真展では白井さんの作品展示と、青函連絡船史上最大の海難事故であった「洞爺丸事件」を紹介するパネルを設置。さらに新幹線とはどういう乗り物か、連絡船と新幹線の関係、そして建設工事が進む北海道新幹線を解説・紹介する一角も用意し、本州と北海道間の鉄道輸送の過去・現在・未来を知ることができる構成としています。
 
 
 
 
 
 
「青函連絡船は、役目を終えた過去の産業遺産ではなく、大人にも子供にも新鮮な感動を与える力が、いまなおあります」と語る木村さん。実際に函館の摩周丸では、子供達から質問や感動の声が寄せられることが多々あるようです。今回の企画展では、写真やパネル展示をゆっくり見たい大人の動線と、工作教室で子供の興味を満たすように動線やイベントの流れを考えた構成としています。
 
 
 
 
写真展の初日10月11日(土)と、終盤11月1日(土)の2日は、産業観光の提唱者として知られる須田寛氏(JR東海相談役)が来場し、ギャラリートークを開催。同じ時間帯に連絡船と新幹線の工作教室も開催し、子供も大人も連絡船や新幹線に親しめるイベントとしています(摩周丸HPにて詳細告知)。
 
「昔は航空運賃が高かったので、団塊世代とやや上の方がたの東京出張は、鉄道と青函連絡船を乗り継ぐものでした。初めての連絡船で、本州への修学旅行に行った人も多くいました。物流の面だけでなく、青函連絡船があったからこそ、北海道独自の文化は育ったと思います。北海道新幹線が来るいまこそ、北海道の文化と生活を長い間支えた青函連絡船が果たした役割を、若い人に覚えておいて頂けたらと思います」(木村さん談)。
 
 
 
 
東海道新幹線と青函連絡船、さらには北海道新幹線へ。人や物を運ぶ“器”は半世紀で大きく変化しました。輸送に働く人びとの変わらぬ“想い”に着目して写真展「海峡が見た夢〜青函連絡船から新幹線へ 世紀を越えて〜」に、足を運んでみてはいかがでしょう。


 

海峡が見た夢〜青函連絡船から新幹線へ 世紀を越えて〜

●会場/JRタワー「プラニスホール」札幌市中央区北5条西2丁目(札幌エスタ11F)
●開催期間/2014年10月11日(土)~11月3日(月・祝)
●開場時間/10:30~17:00 (※入場は16:30まで)
●入場料/無料
●休館日/期間中は無休
 
●TEL/011-213-2776
●FAX/011-213-2794
http://www.jr-tower.com/planis
 
主催:特定非営利活動法人語りつぐ青函連絡船の会
共催:札幌駅総合開発株式会社
 

関連リンク

函館市青函連絡船記念館摩周丸FB