旭川の車いす紅蓮隊が薦める、旭山動物園の見方

 
 

北海道の“定番”、旭川の旭山動物園。じつは山の麓にあるため坂や階段が多くあります。動物園を車いすで巡りたい時、現地で待ち合わせてくれる地元のガイドがいれば心強いですよね!バリアフリー観光のガイドチーム「車いす紅蓮隊(ぐれんたい)」に会いに出かけました。

 
 

 
 

北海道中央バスの定期観光バス「旭山動物園日帰りコース」に乗って、札幌市から約2時間半。毎日1名から運行する日帰り定期観光バスは快調な走りで目的地に到着し約3時間半のフリータイムがあります。ここでふたりの車いすガイドにお会いしました。旭山動物園は傾斜地なので、足腰の弱いかたやベビーカーの親子連れもぜひご参考に!

 
 

 
 

上野動物園(約14ha)より広い約15haの面を持つのが旭山動物園で、入口は山頂に近い東門と麓にある正門、そして西門の3箇所があります。車いす紅蓮隊(以下=紅蓮隊)のふたりに最初に会った印象は、超ポジティブ!車いすで活発に動き、小回りもききます。

 
 

 
 

五十嵐さんは生まれつき体の骨がもろく、泣き止まない赤ちゃんだったことから病気が判明。松波さんも病気で歩行が困難となり、3年前から車いすの生活をしています。「病気と知って悲観するよりも、理由がわかってむしろ納得できました。車いすになってから五十嵐さんに誘われて、紅蓮隊でバリアフリー観光をサポートしています」(松波さん)。ふたりに園内の見どころや見学のコツを教えて頂きました。

 
 

 
 

地元の車椅子利用者だからこそ知る旭山動物園の魅力、それは低い目線による楽しさと動物達との距離感といいます。「昼寝していたライオンが起きたとき、車いすの高さだとばっちり視線が合うんですよ」(松波さん)。ペンギンが空を飛ぶように見える工夫がされた水槽の通路では、多くの人が立った位置から見ている一方、車いすだと視線が低いぶん深く海に潜ったような気分。ペンギンのダイナミックな泳ぎを観察できます。よちよち歩くペンギンが水中では一変し、鳥のように頭上を飛ぶさまは必見!

 
 

 
 

紅蓮隊では見学ルートの設定を、移動が楽そうな下りではなく、動物園の麓側から山頂に向かう上りルートで設定します。「ぺんぎん館」や「あざらし館」などの施設は、いずれも1Fの入口から入りエレベータで上に上がる。こうすれば、旭山で評判の動物達の行動展示を見ながら、斜面を車いすで登る距離が短くできるのです。大事な工夫ですね。

 
 

 
 

この日見学したのはペンギン、アザラシ、シロクマ、カバ、キリンなどの大小さまざまな動物達。紅蓮隊は動物のことを詳しく解説するわけではなく、ガイドを依頼した人が動物園で何時間過ごし、どの動物を見たいといったリクエストに応えます。体力を消耗しにくいコースを設定して時間を見ながら誘導し、車いすの人が支障なく見どころを楽しめるようサポートするのが役割です。

 
 

 
 

園内を巡ったのちに、東屋でお話を聞きました。

ふたりは地元の「NPO法人カムイ大雪バリアフリー研究所」という組織に所属し、ツアーセンター業務を担当。障がいを持つ人それぞれの心身の状態を把握し、受入可能なホテルや飲食店をリストから選び、オーダーメイドの旅をつくる全体をサポート。道北のバリアフリー観光を進めるため、調査・企画・営業・ガイドなどあらゆることをします。

 
 

 
 

彼らをはじめ旭川近郊の車いす生活者5名と、活動を応援する健常者多数で組織する観光ガイドチームが「車いす紅蓮隊」。障がいを持つ当事者の立場で2006(平成18)年に発足し、旭川のバリアフリーをもっと楽しくしようという発想で、まちづくりに積極的に参画しています。

車いす紅蓮隊、とてもエッジの効いた名前ですね!

 
 

 
 

「旭川の人と面白いことをやるために、うちの理事長がお堅い研究所ではなく『車いす紅蓮隊』という名の車いすの若者を中心とするチームを作ったんです。市内の飲食店がバリアフリーに対応しているかを紅蓮隊が調査する中で、チームが地域に知られるようになりました。その後地域の人から誘われて、6年前から車いすで旭川さんろく祭りの神輿担ぎに参加するなど、紅蓮隊という名前のおかげでいろんな業種の人とつながりやすくなりました」(五十嵐さん)。

 

旅行者の心身の状態や旅の希望を丁寧に聞くことから、紅蓮隊の仕事は始まります。そして旅の当日「動物園ガイドのやりがいは、お連れしたかたが喜んでいる様子を見るときです。長い人では旭山動物園の見学は1年がかりの計画で、事前の情報提供や当日の随行で、ご本人と感動を共有できたときは格別です」(五十嵐さん)。「逆に、お客様が旅の直前に体調を崩して計画が中止になってしまう時もあり、その無念さは我がことのように感じます」(松波さん)。紅蓮隊は旭山動物園をはじめ、旭川市一円の車いすでの旅行を全面サポートしているのです。

 
 

 
 

旭山動物園ガイドツアーは、カムイ大雪バリアフリーセンターが園内を巡るマップを作ったことから、新たなサービスとして生まれました。冬の旭山動物園は、ペンギンの行進など冬ならではの見どころが人気ですが、低温と降雪と凍結によって、車いすの人には危ない状態に。そこで紅蓮隊はメンバーを中心に動物園の順路を正確に測量し、斜度を赤・青・黄の3色に分けた「旭山動物園マップ(夏編)」を作成。インターネットで公開しています。

旭山動物園マップ(夏編)

旭山動物園マップ(冬編)
 

旭山動物園ではベビーカー、車いす、一部の電動カート、そして傘の貸出サービスがあります。さらに各施設の動物を見るベストな位置には「車いす優先」のゾーンをわかりやすく掲示。施設側のバリアフリーへの配慮が手厚く、見学者同士にも譲り合う心遣いが生まれています。

 
 

 
 

紅蓮隊がまちで出会う人から「最近旭川のまちなかに車いすやベビーカーの人の姿が増えてきたよ」と言われることが多くなってきたと、笑顔を見せるふたり。「車いすの人や精神障がいの人、内部障がいのある人など各人のハンデに関係なく楽しめることが当たり前なまちに、旭川を変えていければ。そのために仲間を増やし、みんなの仕事へとつなげたい」と五十嵐さんは活動の展望を語ります。

 

設備だけでなく心のバリアフリーも進化する旭山動物園で、紅蓮隊は楽しい見学をサポートします。旅する障がい者と同じ目線で、背中を優しく押す存在の紅蓮隊と、ぜひ楽しい道北の旅をつくってください!

 

 

旭山動物園 車いすガイドツアー

実施/通年

所要/1~3時間

料金/ひとり1,500円(催行2名〜)※人数により料金は変わります

申込/当日を含む3日前までに専用サイトから予約(旭川ふるさと旅行株式会社)

 

お問い合わせ・お申込み

http://www.asahikawa-travel.com/kurumaisu-m.html
 

交通アクセス

※旭山動物園には以下の公共交通が便利です

(1)JR旭川駅から路線バスで  JR旭川駅前から旭山動物園線に乗車約30分(約11km)「旭山動物園」で下車

(2)車で 道央自動車道「旭川北IC」下車で約25分(約11km)。無料駐車場3か所(満車など状況によって民間有料駐車場利用となります)

(3)JR札幌駅バスターミナルから 定期観光バス「旭山動物園日帰りコース」9:20発~18:00着、大人4,800円(税込・入園料込)

※旅行前日18:00までに要予約=北海道中央バス

 

車いすの旅行について

車いすから一時的にも降りることが難しく、段差の昇降が困難なかたは、JR駅がバリアフリーに対応しているため、JRと旭川の路線バスでの移動が安全です。旅行当日を含めた3日前に、旭川電気軌道に電話予約すると「旭川駅―旭山動物園」線に低床車を配車するサービスがあります。

 
 

旭川電気軌道株式会社

旭山動物園夏ダイヤ時刻表(2014年6月版)

TEL/0166-31-5241

 
 

関連記事

ただいま冬期開園中!冬の旭山動物園の予習は、日曜のテレビ番組でもばっちり!