レトロ観覧車に会いに行く1日。函館公園こどものくに

函館駅前から市電に乗って12分、函館山の麓、函館公園にある小さな遊園地が「こどものくに」。ここに日本で一番古い現役の観覧車が動いています!木漏れ日の中、親子3世代で楽しめるレトロな遊園地に出かけてみました。
 
 
 
 
こどものくにでは派手なアトラクションはない代わりに、小さい子供が安心して楽しめる遊園地であることを、コンセプトとしています。
 
 
 
 
函館公園「こどものくに」は昭和31(1956)年に開園し、地元の北海興業株式会社が運営しています。およそ0.4haの園内には飛行機、観覧車、メリーゴーランドをはじめ懐かしい遊戯施設があります。緩やかな傾斜地を過剰に整備することなく、遊具は自然に活かして配置。昭和の雰囲気を残す愛らしい遊具が全部で13基あり、一般的な遊園地のアトラクションとはほど遠い素朴な感じで、緑の公園とマッチしています。
 
 
 
 
古い遊具と日々向き合う係員のみなさんは、小さな子供が安心して乗降できるよう、身を屈めたり笑顔で話しかけたりして温かな気配りを感じます。こどものくにの目玉は、観覧車!1950(昭和25)年に製造され、旧七飯村(ななえむら)の大沼湖畔にあったもので、現在地に移されて49年が経ちます。つまり、この観覧車で子供を遊ばせた人や、遊んだ記憶を持つ人が3世代いるということ。
 
 
 
 
通算の稼働年数では日本で最も古い、この観覧車。最も高く上がった位置は、大人から見れば地上12m。ざっとビル3階と少々の高さなので2周乗れるのが、こどものくに方式です。子供の目線でみると12mでも充分に高く、いろんな楽しさがあるようです。
 
 
 
 
北海興産で遊具を安全に管理する横山政樹さんに、こどものくにのことを聞いてみました。「ここの遊具は3歳児なら、13基全てに安心して乗せることができます。乳児でも保護者の膝に抱かれていれば問題ありません」。さらに「函館の人には『親、子、孫と3代こどものくにで遊んだよ』というかたは多いですよ。春の大型連休やお盆休みは、地元の人でこどものくには賑わいます。函館のおじいちゃん・おばあちゃんに連れられて、初めて来る都会っ子、あるいは函館の実家に帰省した際に、懐かしさから子供を連れてきたお父さん・お母さん世代が多いですね」(横山さん)。
函館人にとって遊園地における原風景とも言えるのが、こどものくになのです。
 
 
 
 
函館は三方を海に囲まれた地形。長寿の観覧車や遊具を維持するには、苦労があるのではと思い、そのあたりを伺ってみました。「本州の遊具メーカーは、北海道の冬や塩害を、まさかここまで痛むものと思っていないのでしょうね。函館は海風を受けますから、防錆(ぼうせい)など遊具の維持には、手間がかかります。当園は頻繁な塗装で腐食を防いでおり、特殊なメッキを施したスロープを敷き、安全に遊んでいただけるよう、毎日整備しています」。横山さんの遊具への愛情が、ひしと伝わってきました。
 
 
 
 
函館公園は1879(明治12)年に函館の実業家や市民、寺社や軍までもが人や物資を出し、協力してつくりあげた函館の宝。4.8haの園内には、博物館施設や小さな動物園もあり、心豊かな時間を過ごせます。土の地面と木々を渡る風の中、ほのぼのした遊具に揺られてみませんか?
 
 
 
 
※こどものくに(函館公園)へのアクセスは、市電が便利です。JR函館駅前から市電谷地頭(やちがしら)行き「青柳町」電停で下車、徒歩約15分