情熱の仕事人。小麦産地の十勝から新たな食文化の発信を!山本忠信商店代表「山本英明」

 
 
広大な大地で様々な農畜産物が生産される十勝は、食の王国・北海道を象徴するエリア。日本の小麦の主産地でもあり、近年地元産小麦の魅力を伝えていこうという活動が広がりを見せています。「小麦で十勝を元気に!」と意欲を燃やす仕事人に迫ります。
 
 
 
 

日本、北海道の小麦

十勝・音更(おとふけ)町で、豆・小麦など農産物の集荷、精選・製粉、販売を手がける山本忠信商店、通称ヤマチュウ。創業は1953年、山本英明社長は3代目に当たります。
 
ヤマチュウが小麦を取り扱うようになったのは89年から。以来小麦生産者グループとの連携を築きながら、良質な小麦、パンに向く小麦の栽培などへの取り組みを進めてきました。
 
パンに適した強力粉となるパン用小麦はほとんどが輸入品で、日本の小麦生産はうどんなどに向く中力小麦が主流です。北海道のパン用小麦の栽培は「ハルユタカ」という品種から少しずつ進められ、その後も「キタノカオリ」など数品種が実用化されてきました。
新品種には「ゆめちから」があります。ゆめちからは、中力小麦とのブレンドにより優れた製パン性を発揮するという、北海道から誕生した秋まきの超強力小麦。十勝でも栽培されています。
 
 
 
 
「パンの小麦といえば外国産、そんな状況のなかで十勝においてもパン用小麦をどう作っていくかが課題でした。私たちは農業をコミュニケーション産業として考えています。生産者の方々と一緒になって取り組みたいという思いでやってきています。
ゆめちからは、『北海道のパン用小麦』として業界からも注目を集めています。活用すれば、国産のうどん用の小麦をパン用にも使うことができて、パンだけではなく麺類にもできる。『北海道の小麦が欲しい』と言われるチャンスが広がっていくと思います」。
 
 

新たなチャレンジ。道産・十勝産小麦を十勝で小麦粉に

十勝管内は日本の小麦生産の4分の1を占める一大産地。しかし、収穫された小麦の大部分は十勝を離れて小麦粉になっていました。「十勝産の小麦粉を作らなければ、生産者が手をかけた小麦に付加価値は生まれない」。ヤマチュウは音更町内に十勝初のロール式製粉工場「十勝☆夢mill」を建設し、2011年から稼働させました。同時に「十勝小麦・小麦粉連合」を結成。ここでは、小麦に関わる人、食べる人が情報交換をし、様々な意見を畑へ反映させていこうという取り組みをしています。
 
夢millでは、原料として生産者と直接栽培契約をした小麦を使用しているそうです。
「小麦は作り手と食べ手を近づけることが最も難しい作物でしたが、地元で製粉することでそれができるようになっていく。小麦に付加価値をつけることはもちろん、農家の方が自分で育てた小麦の評価を直接聞くことができて、作ったものに対して『おいしい』と喜んでもらえる。これこそ、農業の誇りの根本です」。山本さんは、熱っぽく語ります。
 
 
 
 

十勝イタリアーノ構想とは?業種を越え小麦でつながる十勝

山本さんは自身の「十勝イタリアーノ構想」についても教えてくれました。その中身は、十勝産小麦を使ったパスタやパン、ピッツァをはじめ、チーズ、肉、野菜など十勝の食材をイタリア料理で表現し、広く発信していこうというもの。十勝のシェフたちがすべて十勝食材で手がけたイタリアンのフルコースを、地元の人に楽しんでもらうイベントも企画・開催しているそうです。「イタリアンといえば十勝。そう言われるようなものにしていきたい」。まずは十勝の人に地元食材の魅力を知ってもらい、次の展開として十勝イタリアーノを札幌にも広めていこうと山本さんは考えています。
 
また十勝では、十勝産小麦の生パスタと十勝の食材を使った「十勝ボロネーゼ」を提供する料理人の団体や、パン職人が手を組み十勝産小麦でオリジナルのパンを開発する「十勝パンを創る会」などが活動しています。
 
 
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「小麦を入口にして十勝はつながり始めています。私もいろんな人とつながっていけることが面白い。みんなでかたまって新しい十勝の食文化を創り、発信していければ。
十勝には一流の素材が揃っていますが、原料供給に留まっています。加工というところをもっとやって、現状の食糧供給基地から食品供給基地に変えていきたい。付加価値の向上をはかれば、雇用も生まれる。十勝が好きだから、人が集まってもっと賑やかになればうれしいですね」。
 
十勝を元気にしたい。小麦を作る人と食べる人の架け橋でありたい。その強い気持ちは山本さんの語る言葉や、表情からあふれ出ていました。農業王国・北海道十勝の「食」が、ますます面白くなりそうです。