情熱の仕事人。北海道イタリアンの第一人者。シェフ「堀川秀樹」

 
 
レンガの壁に囲まれ、席の奥に薪窯を備えた厨房が見える店内を温かい空気感が包み込む。道産の優れた素材を生かし表現する、イタリア料理が楽しめる札幌の名店「トラットリア・ピッツェリア テルツィーナ」。同店のオーナーシェフであり、北海道の食を牽引する料理人の一人、堀川秀樹さんの登場です。
 
 
 
 

「土地のものをおいしく食べる」。そのスピリッツを北海道で

堀川シェフは、神奈川県の出身。鎌倉の老舗イタリア料理店での修行時代、イタリア研修の機会を得て、ローマとヴェネツィアで経験を積みました。シェフ就任のオファーを受け、1993年の帰国後に札幌へ。それまで北海道は縁のなかった土地。都心を少し離れると田園地帯が広がり、人の温かさという点でもイタリアと似ていると感じ、この街を気に入ったといいます。’98年にオーナーシェフとして独立。市内の高台地区・伏見からテルツィーナはスタートしました(2004年、現在地に移転)。
 
イタリアで働いた一年半、料理を学んだことはもちろん、イタリア人の食習慣、郷土愛が育む文化などは、堀川さんの料理に対する意識に大きく影響を与えました。
「日本ではいろいろな国の料理を食べますが、イタリア人は自分の土地でとれたもの、自分たちが食べているものを一番大事にしています。そして、お店であっても仕事場のまかない料理であっても、みんなで楽しく食べる時間を大切にする。イタリア人にとって食事はイコール、コミュニケーションなんですね。イタリアに行ったことで、具体的にめざすスタイルが見えました」。
 
 
 
 

生産者、スタッフ…、たくさんの北海道の仲間とともに

堀川さんが札幌に来た当時、イタリア料理店は市内に十数店だけ。地産地消という言葉もまだ聞き慣れない時代でした。地元で作られた素材を使い、いかにおいしく食べ楽しんでもらえるか。イタリアでの体験を原点に、テルツィーナ開店以来、堀川さんは「北海道発イタリア料理」を掲げています。
その実践は、志の高い生産者の方々と出会えてきたことが大きいといいます。「野菜、お肉、魚、北海道は四季折々さまざまな素材がとれて、テーブルで食べる人を想像して作っている生産者さんがたくさんいます。苦労して育てられた思いを、私たちが料理でお客様にお伝えしていく。そこに北海道イタリアンを掲げる理由があります」。
 
 
 
 
堀川さんのもとからは何人ものシェフが巣立ち、札幌市内をはじめ各地で活躍しています。「育てているという意識はなく、本人に意欲があるから育ってくれる。今のテルツィーナがあるのは彼らのおかげです」。そう話す堀川さんの人柄が、テルツィーナの温かいもてなし、居心地のいい雰囲気にも表れているように感じます。
 
テルツィーナを本拠地としながら、料理教室の講師や数多くのイベントに携わるなど、堀川さんの活動は多方面にわたっています。「北海道のイタリアンがおもしろい。広くそういわれるまでに、まだできることはある」。さまざまな食の生産者と手を組み、一つのエリアの中で自給自足できるレストランをつくりたいと目標を描く堀川さん。「北海道は料理人としての私を認めてくれた場所。食を通じて北海道を元気にしていけたら、そう思っています」。