松尾ジンギスカンに新風を吹き込む 新社長 松尾吉洋

1956年の創業から北海道民に愛されている味付ジンギスカンの老舗「松尾ジンギスカン」。今年4月1日付けで、創業者の孫にあたる前副社長の松尾吉洋さんが新社長に就任しました。新社長としての今後の展望を伺いました。
 
 
 
 
中央の山の部分でお肉を焼き、まわりの溝の部分で野菜やうどんを煮る。“焼くと煮る”を両方できることが松尾ジンギスカンンの特徴です。
 
 
 
 
- 社長就任おめでとうございます。社長に就任して、まず最初に行ったことは?
 
「現在、マツオには、正社員が100余名、パートアルバイト含めると総従業員数は430人ほどいます。社長を就任するにあたって、全従業員に、今後、社長を就任するにあたって“大切にしたい考え”というタイトルの冊子を配布しました」。
 
 
 
 
「この中で、大切にしたいことを『三方善し』という考え方に集約しています。『売り手』『買い手』『世間』の三つの『善し』。これは、売り手と買い手がともに満足し、社会貢献もできるのがよい商売であるという近江商人の心得です。お客様に期待以上の価値を提供し喜んで頂ければ、自然と買い手善しになり、売り手であるわれわれ会社もきちんと利益が残り、従業員とも幸せを分かち合えるようになると信じています。北海道・滝川で育ててもらった会社なので、地域社会へ利益の還元をし、地域発展への貢献も行っていきたい。そのサイクルが出来れば、世間も善しとなるわけです」。
 
「マツオも今年で58年、まもなく60年です。今後、80年、90年、100年と長く続けていく為には目先の利益だけを追うことなく、北海道に必要だと思ってもらえるような企業になる努力が必要だと考えています」。
 
 
 
 
- 「三方善し」の考え方は、おじい様である創業者、松尾政治さんから教わったことですか?

「直接、三方善しという言葉で教えられたことはありませんが、祖父が自然に実践していたことが、まさにこの『三方善し』だったと身にしみて感じています。そこで、この言葉を選びました。他には『金と女は追うな、追えば逃げる』とはよく言われましたね(笑)。損得抜きに、まずお客さんに喜んでもらう商品やサービスを提供しなさい。利益は自然についてくるからと。それに大盆踊り大会や氷の祭典など地域の皆さんに喜んでもらうイベントを開催して、お客様への“謝恩”という気持ちを大切にする祖父でした。だからこそ、58年間、ジンギスカン一筋でやってこられたのかなと思います」。
 
 
 
 
- おじい様の存在は偉大ですね。
 
「絶対的な存在で、小さい頃、怒られた記憶はありませんが、威厳があるというか、近寄り難かった印象です。大学に入った頃からけっこう話すようになりました。昔の人なので長男が会社を継ぐのが当たり前だという考え方でしたし、特に二代目社長である親父が50歳で亡くなってからは、より色々と話すようになり、たくさんの事を教えてもらったと思います。四代目社長である創業者の孫の自分が今あるのも祖父のお陰です。マツオが同族会社であることは間違いなく強みですが、より強い同族会社であるためには自分たちを常にきちんと律していかなければなりません。これまでのよいものを引き継ぎ、時代の変化とともに変わるべきところは勇気をもって変革していく。会社組織の体制をさらに発展させていくため、今回はじめて外部から専務取締役をむかえました。この十数年で一気に札幌、新千歳空港、東京、大阪など、お店も従業員も増えたんですよ。これからも従業員の教育に力を入れながらしっかりと組織作りを進めます」。
 
 
 
 
- 今後の展開として考えていることは?
 
「まず、東京都内3店舗目を新宿に出店すること。東京にあと数店舗展開したいと考えています。それと、商業施設のフードコートなどでより気軽に食べていただける業態も開発していきたいと思っています。毎年10月に都内で開催されるイベント『北海道フェアin代々木』でも一番人気のジンギスカン丼やジンギスカン皿盛で提供する業態をつくってみたい。熱々のジンギスカンをあったかご飯に盛れば絶対的に美味しい自信があります!牛丼に負けないくらいご飯に合う!と思っています」。
 
「それが出来れば、例えば名古屋、大阪、九州など、ジンギスカンの馴染みのないような土地に、松尾の味付けジンギスカンの味が受け入れられるかどうか市場調査としてのチャレンジがしやすい訳です。商業施設には入れれば、色々な出店余地が出てくるので、そうすれば、もっとジンギスカンが身近な食べ物になると思うんですよね」。
 
 
 
 
- このフードコート業態づくりは、海外への展開も考えているのでしょうか?
 
「今すぐにではありませんが、将来的には可能性はあると思っています。宗教的に羊肉はどこでも受け入れられますのでチャンスはあると思います。いきなり無煙ロースターを構えた店舗を出店するのは大冒険ですが、フードコートへの出店くらいの投資であればジンギスカンの味が受け入れられるかどうかテスト的に出店してみるというのはありだと思います。アジアではフードコートは人気ですからね」。
 
- 他にも取り組みたいことは?
 
「子供たちにいかに北海道遺産でもあるジンギスカンの味を伝えていけるかが重要だと思っています。例えば、地元滝川で学校給食にジンギスカンを出すことができないか検討中です。今、『昔は、肉といえば松尾ジンギスカンだったんだよ』という原体験を持っている層が高齢化しています。結局、大人になって自分の味は何か?といえば、小さい頃に食べていた味なんですよね。ですから、楽しい体験・良い思い出とともに、いかに子供たちにこの味を伝えていくかということを、会社の戦略のひとつとしています」。
 
 
 
 
「今後の展望をたくさん話しましたが、何より重要なことはあくまでも北海道で、“北海道民の皆さんに愛されるジンギスカンであること”ということが大前提だと考えています。観光客は食べるけど地元は食べないよね、なんていうことになっては絶対にいけないのです。まずは北海道でマツオの味がなければだめなんだといってもらえる企業であり続けたいと思います」。


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松尾ジンギスカンに新風を吹き込む新社長、松尾吉洋さんの船出は始まったばかり。きらきらとした海原で舵を取っていくことでしょう。
 
 
 
 
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