北大総合博物館で開催中「ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界」

 
 
19世紀のイギリス人女性旅行家、イザベラ・バード(1831~1904年)は、22歳から70歳まで南アメリカを除く5つの大陸のすべてを旅し、多くの旅行記を残した人物。日本では「日本奥地紀行」の著者として知られ、北海道のアイヌの暮らしなどについて詳細で素晴らしい記録を残しています。
 
 
 
 
「ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界」は、地理学者の金坂清則さんが、1990年代のはじめから約20年の歳月をかけて、バードと同じ場所を訪れて撮影した写真から120点を展示。バードのスケッチや写真、文章と対比して見ることができます。
 
 
 
 
100年前の風景と現在の風景を、時空を超えて見ることができる。だから「ツイン・タイム・トラベル」なのですね。
 
バードが旅した年代順に、また旅のルートに従って写真が展示されているので、彼女が生涯をかけて旅した世界を、順を追って見ることができます。
 
ところで、なぜ金坂さんは20年もの歳月をかけて、彼女が旅した地に足を運び続けたのでしょうか。
地理学者である金坂さんはバード研究の第一人者であり、彼女の本の翻訳者でもあります。
「翻訳者は異文化の媒介者でなければいけない」というのが金坂さんの持論。
実際にその地を訪れることで、分かることや見えてくることがあると言います。過去の翻訳の間違いを見つけることもあったそうです。
 
 
 
 
バードの旅行記の魅力は、鋭い観察力とストレートな表現、その緻密な描写にあります。19世紀の未踏の地がどのようなところで、どんな人が住んでいるのか、リアリティをもって想像することができます。さらに金坂さんの写真と翻訳によって、バードの活き活きとした文章をより深く、鮮明に理解することができます。今回の写真展の魅力はそこにあるのではないでしょうか。
 
では、ちょっと展示の一部を見てみましょう。
 
 
 
 

 
「そして、半ば交差するように延びている岩だらけの高い支脈が黄金色の空に映えて紫色になり、その先端には2 つの塔を擁する巨大な城があった。この城はこの清らかな土地の首長である梭磨<土司>の住居[ 官寨] だった。午後遅くには、本当にうっとりするような魅惑に満ちた地域――「雨も雹も雪も降らず、ざわざわとした風も吹かない」[A. テニソンの長編詩『国王牧歌』の一節] になった」
(イザベラ・バード,金坂清則訳『中国奥地紀行2』平凡社, 2002 ,2014からの抜粋)
 
 
 
 
 
 
写真展は、2005年スコットランドのエディンバラ展に始まり、イギリス、アメリカ、日本、中国など、イザベラ・バードゆかりの地14カ所で延べ2年余り開催されてきました。
約10年にわたって世界を旅したこの写真展は、北海道札幌が最後の開催地となります。
バードにとって日本の旅の重要な目的地だった北海道で、この写真展が最後を迎えるというのは、とても意味のあることではないでしょうか。
 
 
 
 
4月13日(日)と5月10日(土)・11日(日)には、金坂さんの解説を聞けるギャラリーツアーが実施されます。(詳細は、北海道大学総合博物館ホームページをご覧ください)
 
その他の日に来場される方は、会場にいるフロアスタッフの方の説明を聞いたり、解説ビデオを見ることをオススメします。
 
イザベラ・バードに興味がある方もない方も、旅や写真が好きな方も、ぜひこの機会に足を運んで、イザベラ・バードの旅の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
世界を旅した気分になれますよ!

 
 

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