旭川は世界一家具づくりのインフラが整った街。東海大学特任教授 織田憲嗣

北海道東海大学芸術工学部特任教授 織田憲嗣。インテリアやモダンチェアに興味のある人なら、名前を聞いて「あ!」と気づく人も多いはず。北欧を中心とした近代的なモダンチェアの収集家であり研究者です。
 
 
 
 
旭川市内にある赤レンガ倉庫群「蔵囲夢」には、織田先生が研究資料として集めた椅子を常設展示する「チェアーズギャラリー」があります。
 
 
 
 
織田先生は高知県の生まれで、大阪でイラストレーターとして活躍する傍ら、椅子の研究家として、北欧を中心としたモダンチェアを多数収集してきました。1990年、第1回目の国際家具デザインフェア旭川開催の際に、織田コレクションの椅子の一部を借りたことがきっかけで、北海道東海大学に招聘され、以来旭川に拠点を移し研究を続けています。
 
 
 
 
北海道Likersが紹介した「国際家具デザインコンペティション旭川2014」はこちら↓
国際的デザイナーの登竜門「国際家具デザインコンペティション旭川2014」
 
さっそく話をうかがおうとした時、織田先生から「まず先に、私から話したいことがあるのですが、いいですか?」と語り始めました。
 
 

旭川は世界一インフラが整った街

「私は、家具に関して、旭川は世界一インフラが整った街だと思っています。
その理由の1つは、家具材。植林なども計画的に行っており、地元だけでやっていけるだけの材料が揃う優れた地域です。
2つ目は、大小合わせて100社以上の家具製造会社や工房が集まっている地域は、世界中どこを探してもありません。デンマークやイタリアにもない。これは世界に誇れることです」。
 
 
 
 
「3つ目は、人材の育成が地域でなされていること。旭川林産試験場、工芸指導センター、旭川高等技術専門学院など、人材育成をサポートする研究機関や施設がこの地域にはあります。
4つ目が、国際家具デザインフェア(IFDA)の開催です。1990年から始まったIFDAですが、世界中から素晴らしい感性を集め、それを地域に還元しています。国際コンペが20年以上も続いています」。
 
 
 
 
「これだけのインフラが整っていることに、旭川の人も道内の人も気づいていない。この環境はとても素晴らしいもので、もっともっと誇れることです。旭川が世界一であるということは、道内だけではなく、全国、世界にアピールしなければならないと、私は思っています」。
 
 

デザインミュージアムがないのは先進国で日本だけ

北海道人として、旭川は世界に誇れる街であることを、これからはきちんと意識しなくてはいけないと痛感しました。
 
 
 
 
ところで、世界中のモダンチェアや日用品を研究している織田先生には、北海道のデザイン、プロダクトはどのように映っているのでしょうか。
 
「例えばカンディハウスでは、自分たちがつくった家具の修理や修復、リメイクをしています。それらはやがてヴィンテージとしての価値が生まれる。資源やエネルギーのことを考えたら、いいものを長く使うというのはとても大切なことです。日本には、『安物買いの銭失い』という言葉がありますよね。そのいいものを見極めるためにも、本物が見られるデザインミュージアムが必要だと、私は考えています」。
 
 
 
 
「一般的に、アートは稀少性がある崇高なもので、デザインは商行為が伴う卑しきものと捉えられることが多い。しかし、デザインはより多くの人たちのためにあるものです。デザインミュージアムがないのは、先進国で日本だけ」と織田先生。
 
 
 
 
1,350脚の椅子をはじめ、テーブル、キャビネット、照明器具、カトラリー、テーブルウエアなど、収集した研究資料は今や膨大な数になっており、そのほとんどが倉庫に眠っているそうです。「世界のデザインミュージアムに展示されている美しい日用品が、この旭川にある」と話す織田先生の視線の先に、世界一の家具の街・旭川で、自身が持つモダンチェアや多数のコレクションを活かした、日本初のデザインミュージアムが見えたような気がしました。
 
織田先生が北海道旭川にいるということは、今も、そしてこれからの北海道の大きな財産なのかもしれません。
 
 
 

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