魚も温泉浴!留辺蘂、滝の湯と山の水族館を訪ねて

疲労回復やリフレッシュを実感するのが温泉の効果ですが、魚たちにもよい効果があるようです。北見市留辺蘂(るべしべ)町滝の湯地区の温泉水は、人気施設「山の水族館」に使われていることをご存じでしたか?噂の温泉を確かめに一路、滝の湯へ。
 
北見市街地から約40km西にある、留辺蘂町滝の湯地区。温根湯(おんねゆ)と石北峠を越えた層雲峡(そううんきょう)の間に、滝の湯地区があります。それぞれ源泉をもつ小さな宿が3軒あるこの地区の温泉水は、なんと山の水族館で熱帯魚の飼育に活用されているのです!
 
 
 
 
「滝の湯センター夢風泉(ゆめふうせん)」のマネージャー、仁木知孝さんに話を伺いました。「まず温泉に入ってお湯のよさを確かめてください」との薦めで浴室へ。洗い場6つと大小の浴槽があるお風呂。広くはないものの、湯口からは毎分90ℓの湯が注ぎ、溢れ出たお湯はタイルの床を温かく満たします。
 
 
 
 
 
 
源泉は約44度で加水や加温、循環なしの掛流し。肌に柔らかな美肌の湯です。夢風泉の施設はかつて留辺蘂町の町営で1978(昭和53)年に建てられたため、露天風呂やサウナはなし。お湯のよさを楽しむうえではむしろ潔く思えます。ここではカランのお湯までもが温泉水。飲泉の適量を示した表示(*1)もあったので飲んでみました。皮膚の表面と体の中から温泉が堪能でき、著者は大満足でした。仁木さんに滝の湯のヒミツを教えてもらいました。「脱衣室の窓からは、山の水族館の飼育施設が見えます。当館の源泉から引いた温泉水は、熱帯魚を飼育する水に使われています」。
 
 
 
 
一般公開はしていませんが、滝の湯地区にある飼育施設では、水族館で展示する魚を定期的に運び入れて休ませ、病気やケガがあればここで治療します。「水族館と飼育施設を3名で管理しており、ここには毎日誰かが来ています」と学芸員の山内創さん、特別に内部を案内してくださいました。
 
 
 
 
滝の湯地区から約8km東にある山の水族館では、週1回、3,000ℓのタンクを積んだトラックで源泉を運搬し、地下水と合わせて熱帯魚の水槽に利用。イトウやオショロコマ、ヤマメなど北海道に生息する川魚は低い水温を好むため、温泉水は入れず豊富な地下水で飼育します。山の水族館では魚種ごとの生態に近い環境をつくり、大事に飼育しているのです。「水が豊富に使えるため、水族館も飼育施設も川魚の水槽にろ過装置は不要です(*2)。つまり“掛流し水族館”と言えますね」。
 
 
北海道Likersで過去に紹介した記事はこちら↓
まさに今が見ごろ!冬にしばれる水槽がある、北の大地の水族館。「おんねゆ温泉・山の水族館」
 
 
 
 
北海道の川魚のほかにも、金魚や鯉、アロワナやピラルクなどアマゾンや東南アジア原産の魚もいて圧巻です。展示解説は魚の生態だけでなく、山の水族館ならではの“水の違い”を説明したパネルもあるので要チェック。身近なペットの金魚も、ここでは立派な展示資料。「温泉水の水槽と水道水の水槽で金魚を育てると、成長に違いが出るかという飼育実験をしています。開始から4ヶ月、まだ差はほぼないですが結果が楽しみです」。
 
 
 
 
家庭の水槽で健康な魚を育てるポイントを、山内さんに聞いたところ「水替え時に温度の違う水を入れないこと」とのこと。水って大事なんだと、改めて実感します。
 
 
 
 
山の水族館では「魔法の温泉水」と呼ばれる温泉。源泉の夢風泉は長寿の湯として地元で愛されています。「近隣のお年寄りは家庭風呂を使わず当館を利用するかたが多いです。奥様のお仏壇に供えるために、毎回お湯を汲んで帰るおじいさんもおられます」と仁木さん。
 
 
 
 
滝の湯地区では夢風泉と「塩別(しおべつ)つるつる温泉」があります。ともに16室・44室と小規模ですが、pH9を超えるアルカリ泉が評判。「せっかく北見にお越しでしたら山の水族館に加えて、多くのかたに夢風泉とつるつる温泉を体験していただきたいですね」と仁木さん。水が豊富にある強みをいかした山の水族館は、温泉育ちの元気な魚に会えます。北の春、山の水族館と滝の湯をセットに、旅行を計画してはいかがでしょう。
 
 
 
 
(*1)近年は保健所により飲泉を控えるよう指導されています。本記事は取材者が温泉分析書を確認したうえで飲泉しています
(*2)熱帯魚の水槽は水温を保つ必要があるため、一部でろ過・循環装置を使っています