「池田町・バナナ饅頭」~ほっかいどうお菓子グラフィティー(4)

勝平野の東に位置する池田町は農業のまち。明治37(1904)年に北海道官設鉄道の池田駅(現・JR根室本線池田駅)が開業した際、駅弁の製造・販売に乗り出したのが、それまで呉服や雑貨を扱っていた米倉屋(現・米倉商店)でした。
 
当初は駅弁だけを扱っていましたが、そのころ人気の高かった生菓子も販売しようと、創業者の米倉三郎は本州の土産品を参考に日夜研究を重ねました。こうして駅開業の翌年に発売されたのが、のちに池田駅の名物となる「バナナ饅頭」です。


 
 
このお菓子、形こそバナナ型をしていますが、本物のバナナは一切使っていません。というのも当時、バナナはたいへん高価な果物でした。そこで、普段はなかなか味わえないその風味を、安価に楽しめるようと考案されたのです。
 
バナナエッセンスを加えたカステラ生地で白あんをくるみ、東京で仕入れたバナナ状の焼き型でこんがりと焼き上げたこのお菓子。三郎の狙い通り、大好評を得ることになります。最盛期には駅のホームで6~7人の売り子が弁当と一緒に販売。そのあまりの売れ行きに、店と駅の間を何度も往復したといいます。

 

 
当初は真鍮製の焼き型を使い、手作業で焼いていましたが、売れ行きに製造が追いつかず、昭和48(1973)年になってついに機械化。とはいえ、味や大きさ、形は昔と変わらず、明治生まれの味を今に伝えています。

 

 
その饅頭を一口ほおばると、カステラ生地と白あんの柔らかな食感が、バナナの風味と一体化して、まるでバナナを食べているかのような気分に。明治から昭和にかけて多くの人々を魅了したバナナ饅頭は、100年以上の歴史を持つ池田町の銘菓として、平成になってもその人気は衰えることを知りません。

 



*詳しくは『ほっかいどうお菓子グラフィティー』(塚田敏信・著)をご覧ください。