湯気が香る札幌の日本料理店(2)「潤花」

先日、世界無形文遺産に登録された「和食」。居酒屋の印象が強い北海道ですが、ちゃんとあるんです、北の旬味を生かしたおすすめの日本料理店が。凍えるこの時季、湯気が嬉しい、お出汁がおいしい料理で幸せな気分に浸りませんか? 後編は「日本料理 潤花(るか)」へご案内します。
 
潤う花と書いて、「るか」と読ませます。「日本料理 潤花」は、昨年12月15日にオープンしたばかりの日本料理のお店。地元でもまだ知る人ぞ知る、期待の新店です。
 
 
 
 
偶然にも前編と同じく、店主の中田潤さんも関西出身。修業は地元の大阪、京都、奈良と、日本料理の王道を歩んできた料理人。縁あって、札幌の奥座敷「定山渓温泉 ぬくもりの宿 ふる川」へ。副料理長、料理長を計10年務め、38歳で独立しました。
 
北海道で日本料理といえば、まずは旬の魚。お造りが楽しみですね。この日は、食感と磯の香りがたまらない真ツブ、大きくてぷりぷりなボタンエビ、脂がのったブリ、そして柳の舞が。柳の舞は北海道~東北であがるメバルに似た魚。煮つけにするのが一般的ですが、鮮度落ちが早く、お造りで味わえる機会は希少。淡白な中に旨味のある魚です。
 
 
 
 
潤花は器の美しさにも惹かれます。「いつかは自分の日本料理店を持つ!」と心に決めていた中田さんは、20歳からコツコツと器を買いためてきたのだとか。お店に入ってすぐ左手には、ワインセラーならぬ、器の収納棚が続きます。中には、江戸時代の名工・尾形乾山(けんざん)の作品もあり、「飾っているだけではなく、実際にも使います」と、中田さん。
 
 
 
 
身体を温めて気持ちまで優しくする、湯気が嬉しい料理を紹介しましょう。「ソイとポロネギの鍋」です。ソイは北日本ならではの魚種で、「北海道の鯛」とも呼ばれているおいしい魚です。ポロネギは太く肉厚な西洋ネギ。こちらも北海道産です。鍋には珍しく、越冬じゃがいもも入っています。
 
 
 
 
中田さんは料理によって、羅臼昆布でとったお出汁と日高昆布でとったお出汁を使い分けますが、この鍋には日高昆布とカツオ、そこにソイのアラの旨味も加えています。お出汁を飲むと、想像以上のふくよかな甘味にびっくり! 「ポロネギからもいいお出汁が出ていると思います」。本当にポロネギが良い仕事をしています。海と大地の旨味がじんわりと、身体に沁み込んでいくお味です。
 
 
 
 
「北海道に良い食材が多いのは関西時代から知っていましたが、実際に住んでみて驚いたのが、野菜のおいしさ。本州では年中畑で作物をつくっていますが、北海道は冬はつくれないので、その分土を休ませることができる。そのせいか味に力があるんです。冬野菜もそうです。冬の寒さを生かして寝かせることで甘くなる。本州ではつくれない味です。大地のすごさを感じます」。
 
 
 
 
さぁ、日本料理のコースの締めを飾る食事は、「じゃこご飯」!関西の定番のちりめん山椒を、中田さんは小樽のお隣・余市沖で獲れる小女子(こうなご)で丁寧に炊きます。信楽焼の土鍋で炊いたごはん(もちろん、道産米!)にちりめん山椒をのせ、蒸らしたのがこのご飯。しゃもじを入れると、つやつやぴかぴかのご飯にうっとり。おかわり決定のおいしさです。
 
 
 
 
「北海道の食材を使って関西の仕事を…ということに、最初は戸惑いもありましたが、北海道風、関西風ということは関係なく、北海道の食材の良さを引き出して、足らない部分をこれまで培ってきた技術で補う。そんな料理を大切にしていきたいと思っています」と、笑顔で話します。
 
コース料理の内容はその日の仕入れで異なりますが、昼は3,300円~、夜は4,800円~で用意(なお、本文で紹介した、信楽焼の土鍋ごはんは、6,800円からのコースで楽しめます)。北海道の季節感を映しながら、丁寧に誠実に料理をつくる若き店主の中田さん。ぜひカウンター席で中田さんと話をしながら、潤花の料理を楽しんでください。