湯気が香る札幌の日本料理店(1)「三徳六味」

先日、世界無形文遺産に登録された「和食」。居酒屋の印象が強い北海道ですが、ちゃんとあるんです、北の旬味を生かしたおすすめの日本料理店が。凍えるこの時季、湯気が嬉しい、お出汁がおいしい料理で幸せな気分に浸りませんか? 前編は「三徳六味(さんとくろくみ)」へご案内します。
 
「三徳六味」の店主・大畠亮介さんは、和歌山県出身。「昔から北海道は憧れの地。住んでみたいとずっと思っていたんです」という、生粋の“北海道Likers”です。
 
 
 
 
サラリーマンから一念発起し、日本料理の道へ。地元で修業を始めたものの、「なんとか北海道で修業ができないか」と、札幌の老舗郷土料理店「杉の目」を訪ね、直談判。憧れの地での生活と修業がスタートしたのが23歳の時。北海道の食材に触れ、美しい風景に癒され、「思い描いていた通りの場所。こっちに住んで10年以上になりますが、その思いは変わっていません」と、ニッコリ。
 
大畠さんは27歳で独立。6年前に人気店がひしめく食の激戦区、円山エリアに移転。「自分が慣れ親しんだ本州の食材や料理と、北海道の旬の融合がうちの料理です」。
 
寒さがもっとも厳しくなる2月。まずは、この料理から紹介しましょう。「真だちのかぶら蒸し」です。関西ではおなじみの料理と北の旬味が一緒になった、この店ならではの料理です。
 
 
 
 
お椀のふたを開けると、湯気と供に現れたのはウニをちょんとのせたふわふわのかぶら蒸し。真だち(真だらの白子)、ゆり根、銀杏などをすりおろした聖護院かぶらが包み込む、白雪のようなひと品。お出汁が香る熱々の銀あんと共にいただきます。
 
続いては、「すっぽん丸鍋」を。札幌では食べられるお店が少ないため、地元客にも人気の料理です。滋味あふれる濃厚なスープを口に運べば、体の芯からじんわりと温まります。
 
 
 
 
勉強熱心な大畠さんは、毎年のように京都に通い、日本料理店を食べ歩き、馴染みのお店でアドバイスを受るといいます。札幌に戻ってからは復習を繰り返し、また新たな料理にも挑戦。すっぽんの扱いも、そんな中から覚えたことなのだそう。
 
九州は五島列島産の活すっぽんを締め、丁寧に臭みを取り、じっくりコトコト炊いたスープは、冷えた状態だと固まるくらいコラーゲンたっぷり!女性のみなさん、翌日のお肌が楽しみですね。
 
開店以来ずっと変わらないのが、早朝から市場に出かけること。鮮魚店、青果店任せにせず、自分の目で見て確かめて、仕入れをします。「市場って面白いんですよ。今でもわくわくして小走りになっちゃうんですよ」。大畠さんの料理は、そんな性格を映し出すような真面目で真っ直ぐで、どこか気持ちが温かくなるような味わいが特徴です。
 
 
 
 
コース料理の締めを飾るのは、かまどご飯。今回は北海道らしい「キンキのかまどご飯」が登場です。
 
 
 
 
キンキのアラ、昆布を一緒に入れてだしを引きます。このお出汁でご飯を炊くのです。想像してみてください。冬がおいしいキンキのふくよかな旨味と上品な脂、さらに昆布の旨味が加わったおだしが、お米ひと粒ひと粒を包み込むのです。あとは炊き上がったご飯の上に、焼いたキンキの身を入れて蒸すだけ。
 
 
 
 
ご飯と身をまぜてよそったご飯は、真っ赤なキンキの姿は見えなくても、味わいに、香りに、キンキの存在感をしっかり感じることができます。これは、おいしい! せっかく訪れた北海道。ちょっと贅沢して、北海道を愛する大畠さんの料理を味わってみませんか?
 
今回は1万500円のコースの一部を紹介しましたが、コース料理は5,500円と8,400円も用意(8,400円以上のコースは2日前までに予約を)。オール北海道の食材のみで楽しむコースは1万500円です。食材の仕入れで料理内容は異なります。どうしても紹介した料理を食べてみたい方は、1週間前までに予約をお願いします。