北海道フレンチ シリーズ(2)「Le Musee」

食は日々、欠かさず巡り来る愉しみ。旅先であればなおのこと、何度目かの札幌であれば、そろそろ違うジャンル、お店へと、新しい扉を開けたくなる頃ではないでしょうか。例えば、北海道の食材で紡ぐフレンチはいかがでしょう。北海道フレンチシリーズの2回目は、「Le Musee(ル・ミュゼ)」へ。雪まつりのデートにもおすすめです。
 
地下鉄東西線「円山公園」駅から車で10分ほど。宮の森ジャンプ競技場に向かう山裾に佇む「Le Musee」。フランス語で美術館という店名の通り、白を基調にした店内には絵画を飾り、モダンな雰囲気。
 
 
 
 
季節を映す北海道の豊かな食材をより印象深く、また新たな一面に気づかせてくれるのが、Le Museeの料理です。テーマは、お皿の上で表現する北海道の風景。
 
例えば、ある日のじゃがいも料理。北海道を代表するおなじみの食材ですが、石井誠シェフの感性を通すと、こんなに楽しく洗練されたアプローチに…。
 
野菜の旨味、香りが1番集まるのは皮の部分。乾燥させたじゃがいもの皮とコンソメをサイフォンで煮出したのが「畑のマティーニ」。ひと滴ずつ落ちるエキスを眺めながら待つという演出がユニークです。黄金色のカクテルは、そこにじゃがいもの姿は一切ないのに、香り、味わいの中にしっかりとじゃがいもが存在する驚きの1杯です。
 
 
 
 
じゃがバターの要素を再構築し、じゃがいものピュレとバターをパン生地で包んで揚げた1品。道南・七飯町の福田農園「王様しいたけ」をたっぷり使ったサブレとムース。石井さんはこの連作3皿で、土が香る大地を想像させます。
 
 
 
 
ミュゼの料理に共通するのは、アートのような美しい表現。冬の旬魚の定番・タラも日本庭園を思わせる和モダンな1皿に。
 
 
 
 
船上で活締めした新鮮なタラの状態を見極め、下処理、火入れをしているので、身はしっとりふっくら。一筆書きで描いた黒いソースは、焦がしバターにレモン、そして海苔を加えたもの。
 
石井シェフが大切にしているのは、誰がどんな思いでつくったのかという食材のストーリー。「産地を訪ねて生産者と話をする時間を持ち、また生産者にも自分の料理を食べてもらう機会をつくるようにしています。思いのこもった食材にどう付加価値をつけ、どう北海道を創造するのか、そこを常に考えています」。
 
 
 
 
もっといえば、見た目や演出を優先している訳ではありません。「複雑に見えますが、味は意外にシンプルです。素材感を引き出す調理法を突き詰めて考え、食材同士の純粋な味わいを重ねた料理を意識しています」。
 
 
 
 
石井シェフが最近応援している生産者のひとりが、若きチーズ職人、旭川市「伊勢ファーム」の伊勢昇平さん。伊勢さんが醸す「江丹別の青いチーズ(ブルーチーズ)」のラビオリを洋なしのスープに浮かべたのが、このデザートです。
 
 
 
 
今回一例でご案内した料理は、約15皿で紡ぐ1万5,750円のディナーコース。8皿~10皿で構成するコースは1万500円。また、石井シェフが1日1組限定でもてなすキッチン付きの個室「idea」も魅力的。白銀の札幌で北海道を味わうアートなディナー、堪能してみませんか。