「飯寿司」 北海道の家庭料理シリーズ(6)

「飯寿司」と書いて「いずし」と読みます。
飯寿司は、米麹、魚、野菜を漬けて、乳酸発酵させたものです。冬の保存食として、年末やお正月には欠かせない郷土料理のひとつ。魚や野菜から出た旨みが麹とからんで、とてもまろやかな味わいになり、そこに程よい酸味がプラス。ご飯のおかずや酒の肴によく合います。北海道だけではなく、東北や北陸など寒い地方の海沿いでもつくっているところがあるそうです。
 
 
 
 
昔は、冬になると自家製でつくる家が多かったのですが、最近はめっきり少なくなりました。この北国の食文化を、なんとか皆さんに紹介できないものか…と探していたら、出会いましたよ!
 
各家庭でそれぞれ具材ややり方などが異なるでしょうが、今回は函館の星野さんちの飯寿司をご紹介!星野さんは、2005年に奥様の高校時代の恩師の家で、みっちりつくり方の指導を受け、以来毎年11月に飯寿司を漬けているそうです。
 
 
 
 
星野さんちは、もっぱら紅鮭の飯寿司。鮭以外では、ハタハタ、ニシン、ホッケなどが使われることが多いようです。用意した具材は、鮭、大根、ニンジン、ショウガ、ゆず、そして米麹。
 
 
 
 
星野さんちでは、道産米「ふっくりんこ」を炊きあげて、冷ましてから米麹をよく混ぜ込んで使います。
 
 
 
 
大根、ニンジン、ショウガは薄くスライスして、それを細く千切りにします。「千切り作業は、2時間くらいやっているかな」と星野さん。
 
 
 
 
笹の葉は、7~8月頃に近郊の農家に出かけて採取したものを使います。150~200枚を冷凍庫で保存しておくそうです。11月に漬ける飯寿司ですが、実は夏から準備は始まっていたんです。
 
 
 
 
さ、ここからが漬け込み作業です。まず、よく乾燥した樽を焼酎で消毒し、樽の底に笹の葉を敷きます。
 
 
 
 
予め塩を加え混ぜておいた、大根とニンジンを敷き詰めます。
 
 
 
 
そこに鮭の切り身(ハラスや氷頭も)を並べます。
 
 
 
 
酢と酒を混ぜたものを振りかけます。
 
 
 
 
その上に、千切りしたショウガ、ゆず、ゆずの搾り汁を。
 
 
 
 
そして、先ほどのご飯と米麹を混ぜたものを敷きます。
 
 
 
 
これで、一段目が終了。樽の底に敷いたように、笹の葉で間仕切りをつくり、また同じ作業を繰り返します。
 
 
 
 
千切り作業もそうですが、飯寿司づくりは、コツコツとした積み重ねがポイントのよう。
 
 
 
 
 
 
6段目でほぼ満杯になりました。
 
 
 
 
最後にふたをして、重しを乗せます。この状態で、室温が2~3℃くらいで安定したところで熟成させます。
 
 
 
 
45日程寝かせた後、最後の「ひっくり返し」があります。これは、表面にびっしりついたカビを取って、桶を反転し、水分を抜く作業です。
 
 
 
 
 
 
そして、完成した飯寿司。
 
 
 
 
星野さんちでは、大小二つの樽を漬けており、大きい樽の方は年末に開けて人に配るのであっという間になくなってしまうそうです。小さい樽は、お正月の自家用に取っておくとか。
そういえば、12月になると、おばあちゃんや親戚のおばさんの家から「飯寿司できたから、取りにおいで」と言われたことを思い出しました。この時期に「どうぞ」と回ってくる飯寿司を見ると、お正月が近いなぁ…と感じます。
 
 
 
 
飯寿司は温度などの条件によって、漬かりが足りなかったり、逆に漬かりすぎたりと、毎年微妙に味わいが変わります。でも、それも自家製ならでは。市販の飯寿司もおいしいですが、やっぱり自家製は味わい深いですね!