「七飯町・大沼だんご」~ほっかいどうお菓子グラフィティー(5)

道南の大沼国定公園は、大沼、小沼、じゅんさい沼と126の小島が織りなす繊細な風景と、雄大な駒ヶ岳の山容で知られる観光地です。その美しい景観は早くも江戸時代に注目を集め、大正3(1914)年になって公園整備が行われました。
 
それに先立つ明治38(1905)年、大沼駅の開業に合わせて創業し、同時に大沼だんごの製造・販売を始めたのが「沼の家」です。観光案内所などがあるJR大沼公園駅前の店舗は、繁忙期ともなるとひっきりなしに客が訪れ、飛ぶように団子が売れていきます。

 

 
大沼駅の開業に合わせて移住した初代の堀口亀吉は、妻のテイと米粉を使った団子を考案し、最初は大沼公園駅で立売り(駅の構内などで立って物を売ること)を始めます。戦中、戦後は食料の配給制などもあって休業しますが、のちに隣の大沼駅に場所を移して販売を再開。昭和30年代は、つくる先から飛ぶように売れたといいます。
 
餡と胡麻の2種ある大沼だんごは、どちらも箱の中が3対2の割合で仕切られ、スペースの大小で大沼と小沼を表現しています。「小沼」の方には醤油団子、「大沼」の方には餡か胡麻団子が入り、まさに1箱で2度おいしいわけです。
 
 

 
肝心の団子には、道産米を使う自家製粉のしん粉を使用。また、醤油団子にはメーカー特注の専用醤油を使い、胡麻も店でするなど随所にこだわっています。そして、賞味期限はわずか1日。まさに、ここでしか味わえない味です。

 

 
昭和40年代からはテレビでCMも流れました。
♪ああ大沼だんごは 故郷の味♪というCMソングは、道南エリアで幼少期を過ごした人にとっては郷愁のメロディーだそう。
100年以上親しまれる大沼公園の顔は、道南地方の顔でもあるのです。

 
*詳しくは『ほっかいどうお菓子グラフィティー』(塚田敏信・著)をご覧ください。