たくましく、賢く、勇ましい。「天然記念物 北海道犬」

皆さんは、「北海道犬」をご存知ですか?昔は「アイヌ犬」と呼ばれていたので、その方が馴染みがあるかもしれません。1937(昭和12)年に天然記念物に指定された時に、「北海道犬」という呼び名になりました。
 
 
 
 
原始林が広がる昔の北海道には、クマやシカ、そして今は絶滅したオオカミなどの野生動物が多数生息していました。そんな自然環境の中、北海道犬は狩猟犬として、主人の忠実な助手となり、時にはクマやオオカミなどの猛獣から主人や家族を守ってきました。北海道犬は、北海道で生きるアイヌの人たちには欠かすことのできない家族の一員だったのです。
 
 
 
 
北海道犬は、これまで人為的に改良されたことが一切なく、原始の姿を保ったまま今日に至ります。そこには、北海道犬ならではの優れた狩猟本能を絶やすことなく保存することを目的に設立された「北海道犬保存会」(昭和26年設立)の様々な取り組みがありました。
 
 
 
 
その一つが「展覧会」。全道各地、道外で年間20回程開催しており、中でも年3回行われる「本部展」と呼ばれる「展覧会」と「獣猟競技会」は、規模も大きく全道、全国から北海道犬愛好者が集まります。10月20日、今年最後の本部展が札幌で行われ、参加者約100名、参加犬約150頭というにぎやかなものでした。
 
 
 
 
 
 
本部展では、犬の年齢別に、北海道犬らしさを審査する「展覧会」と狩猟本能を審査する「獣猟競技会」が行われました。ここで1位を獲得すると「参考犬」、つまりチャンピオンとしての栄誉を得ることができます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
北海道犬に魅了されて12年という北海道犬保存会の工藤さんに、その魅力をうかがいました。
「北海道犬は、愛情をかければかけるほど、忠実に返してくれます。北海道犬に限らず、どの犬でも同じですが、人間が愛情を持てば、犬は心からなついてくれる。それが、本当にめんこいんですよ!」。
 
 
 
 
また、工藤さんの仲間でもある北海道犬保存会の方々も、
「主人にはなつくが、他の人には見向きもしない。それがいい!」
「この激しい狩猟本能が、犬らしくていいじゃないですか!」
「北海道犬は賢いですよ。何キロも離れたところに置いてきても、帰ってくるんですよ、この子たちは!」
と、皆さん顔をくしゃくしゃにして、北海道犬への愛を語ってくれました。
 
 
 
 
実は、展覧会に出る北海道犬は、普通の家庭犬のように、「お手」や「お座り」は教えないそうです。
「そういうのを教えると、狩猟本能がなくなる。北海道犬は、あくまでも狩猟犬だから、常に闘争心を持たせないと」と工藤さん。
 
 
 
 
ただ、基本的にとても賢く、主人に忠実な性質を持っていることから、普通に家庭犬として飼う場合は、きちんと躾をすると、お手もお座りも早く覚えるそう。また、他人にはなれにくい性質があると言われますが、人の中で生活することを学ぶと、誰にでもフレンドリーになるそうです。
 
 
 
 
ところで、北海道犬に興味津々という皆さんに、私チバタカコが、ぜひおススメしたい一冊があります。
久保俊治著「羆撃ち」(小学館文庫)。熊を追うハンターである著者が、「フチ」と名付けた北海道犬を相棒に、小樽から知床半島まで熊を追う物語。これを読むと、いかに北海道犬が賢く、勇気ある狩猟犬で、主人に忠実かがよ~くわかります。感動と涙のラストでは、「北海道犬って、すごい!素晴らしい!」と拍手を贈りたくなりますよ!