函館市電百周年 〜「百」の字に込められた思いとは

小樽vs函館 第2弾。函館からは、街のシンボルともいえる路面電車、函館市電について紹介します。
 
 
 
 
今年、開業百周年というメモリアルな年を迎えた函館市電。北海道初の路面電車として1913(大正2)年6月29日に誕生し、以来、函館市民にも観光客にも愛される存在として活躍してきました。百周年を記念して様々なイベントが開催され、全国各地からたくさんの路面電車ファンの方が訪れています(筆者もファンの1人として、同じ地で百年目を迎えられたことに感動しています)。
 
 
 
 
じつはこの百周年記念事業、公立はこだて未来大学(以下、未来大)も深く関わっているのです。情報アーキテクチャ学科の木村健一教授が様々なプロジェクトを主導し、情報デザインを学ぶ学生たちが数年越しで連携を進めてきました。 
 
 
 
 
街行く路面電車や、停留所にかかげられた「百」の記念ロゴ。特徴ある手書き文字が目を引きます。ロゴの制作を手がけたのは、今年3月に未来大を卒業した堀内 昴(すばる)さん。情報デザインコースに在籍し、卒業研究として百周年記念事業に携わりました。
 
「動いていても視認しやすく内容が伝わるものを」という思いで、函館市内在住の乗り物好きな男の子(当時小学2年生)が書いた「百」の文字を採用しました。そこから堀内さんと木村教授が、約300ものロゴデザイン案を展開。交通部の方や他の学生・教員たちと議論を重ね、選びぬかれたのが現在のものです。手書き文字の持つ温かさによって、百年走り続けた函館市電と函館の街にすっかり溶け込んでいます。
 
 
 
 
一連の連携プロジェクトの始まりは、3年前に遡ります。色鮮やかな路線地図「ICAS MAP(イカスマップ)」は、多くの観光客の方が手にしたことがあるのではないでしょうか。路面電車・函館バスの共通1日・2日乗車券を購入すると、もれなく付いてくるものです。
 
ICAS MAPは、ただの路線地図ではありません。主な観光施設へのアクセス、五稜郭や函館山麓など人気観光エリアの徒歩周遊マップなど、観光を手助けしてくれる情報が掲載されています。これを片手に街を散策している観光客の方をしばしば見かけます。
 
初代の2011-2012年版が制作されてから毎年改訂を重ね、現在は3代目。複雑な路線図をいかに見やすく表現できるか、折り畳み式の地図でどれだけ便利な情報を提供できるか、情報デザインを学ぶ学生たちによって創意工夫が重ねられてきました。年間約25万部が配布されています。
 
 
 
 
函館市電の各車両には、市電を運営する函館市企業局交通部のマークである「函館市交通局章」が必ず取り付けられてきました。この局章も、百周年を区切りに生まれ変わりました。
 
昭和18年から使われてきた局章は、手書きで制作された図面が元となっているため、よく見ると曲線がいびつになっています。レトロな味わいに郷愁が湧きますが、「これからの百年間も使い続けられるものに」(木村教授)との考えから、細部の修正とデジタル化が行われました。名称も「函館市企業局交通部シンボルマーク」と刷新されました。
 
このほか、車両の前後・側面に掲げられている「530」「8009」などの車両番号も、市電になくてはならないシンボルです。書体のデジタル化はすでにされていましたが、百周年にあたり曲線を滑らかにして、視認性を上げるように改訂されました。
 
長年にわたり使われてきたものだけに、ファンからは惜しむ声もありますが、古いものの良さを活かしつつ、未来へつなげていくデザインリニューアルが目指されてきました。
 
 
 
 
 
 
これら一連のデザインプロジェクトについて利用者の方に知っていただくため、6月から8月にかけて「路面電車の情報デザイン これまでとこれから展」と題する展示会が、市電内にて開催されました。普段なにげなく見過ごしているロゴマークや書体ですが、これをきっかけに改めてじっくりと見直した方もいるのではないでしょうか。
 
まだまだ続く百周年。10月14日「鉄道の日」を記念して、10月13日には市電の運転体験会が開催され、また14日には市電全線200円(小人100円)均一料金での運行となります。皆さんもぜひ、函館市電の百周年を体験しに来てください。
 
 
 

関連リンク

函館市企業局交通部
函館市企業局交通部公式Facebookページ
函館市公式観光情報サイト はこぶら 「函館市電の顔が勢揃い、100周年記念イベントレポート」