「日本一きびだんご」~ほっかいどうお菓子グラフィティー(6)

北海道で「きびだんご」といえば、オブラートに包まれた、長方形の茶色いもち飴のことです。でも、道外で「きびだんご」といえば、約150年の歴史を持つ岡山の「きびだんご」が知られています。稲の一種・キビの粉ともち米の粉でつくった求肥を、小さくまるめたもので、北海道のそれとは大違いです。

 

 
この北海道独自の「きびだんご」を生み出したのが、空知エリアの南部にある栗山町の谷田製菓です。そもそも谷田製菓が「日本一きびだんご」を発売したのは、大正12(1937)年のこと。この年に発生した関東大震災の復興を願い、北海道開拓の精神もこめて「起備団合」と漢字で命名され、早い時期にひらがなに変更されました。
 
JR栗山駅の近くにある谷田製菓の工場は、昭和20年代に建てられた煉瓦づくりの壁が目をひく、クラシックな建物です。工場内は誰でも見学可能で、製造工程をすべて見ることができます。つくり方は、まず道産の「はくちょう米」を中心にブレンドしたもち米を蒸気で炊き上げ、もち状にします。

 

 
さらに、北見産のトラ豆と水飴を使って生餡をつくります。これに先ほどのもちと砂糖、麦芽水飴を加え、蒸気であたためながら混ぜ合わせれば生地のできあがりです。一番気をつかうのがこの時の練り具合で、4時間ほどかけてていねいに練り合わせているそうです。
 
できあがった「きびだんご」は、もちとキャラメルを足して2で割ったような、独特の味わいと食感が特徴。ほのかな甘さと香ばしさは、飽きのこない味でクセになります。その腹持ちのよさと優れた保存性から、かつては兵士たちのおやつや非常食として陸軍や海軍に納められ、農家では農作業の繁忙期に小腹をふさぐため重宝されました。
 
北海道で生まれたオリジナルのお菓子「日本一きびだんご」。最盛期には谷田製菓を含む3社以上が道内で製造し、遠く名古屋でも駄菓子として製造されるなど、今なおロングセラーとして広く愛されています。

 

 
*詳しくは『ほっかいどうお菓子グラフィティー』(塚田敏信・著)をご覧ください。