情熱の仕事人。北海道とフランスの架け橋を目指す、“シェフ”と呼ばれる鮨職人。TAKU代表「渡邉卓也」

2013年1月、パリの一等地に開店した和食・鮨店「仁(じん)」。熱い想いを持って新たなステージに挑戦している北海道の料理人がいます。渡邉卓也さん(37)、そのひとです。
 
札幌の鮨店からキャリアをスタートし、和食店の料理長を務めたのち、28歳のときに独立。自由な発想でひと工夫した日本料理を提案する「TAKU円山」、赤酢を使った酢飯で握る「田久鮓」をはじめ、現在札幌市内に4店舗を展開しています。
 
北海道の食材を積極的に取り入れ、その食材の背景も伝えることを大切にした料理、心地よいサービス、空間。そのすべてが重なりあった「誰もが笑顔になる食の時間」を追求し、提供することで、“TAKUファン”を増やし続けてきました。
そこには、料理長を任されていた和食店時代、東京で一流の鮨店や和食店を訪ね歩き、親方と呼ばれる方々から学び得たことが生かされているといいます。
 
 
 
 
渡邉さんはニセコ町の出身。スキーリゾートで知られていますが、きれいな水、空気、豊かな大地に恵まれた農業が盛んな土地でもあります。札幌のTAKU各店でもニセコ産の野菜やソバ粉を使っています。
「料理をやる上で、ニセコに生まれ育って、ニセコに帰れることは一番の財産。今も実はニセコの生産者さんの畑から戻ってきたところです」。
 
札幌で成功をおさめ、次のステップとして目指したのが海外。なぜパリでお店を開こうと思ったのでしょうか?
「パリへ行って食べ歩いてみると、魚を使った料理に感動するほどのものがなかったんです。僕がやろうと思った江戸前の鮨を出す店もなく、食の都のパリならやりがいもあるだろうと」。
 
 
 
 
「仁」で使う魚介や米、食材はすべてフランスや周辺諸国産。地場のものをきちんと使って仕事をし、生産者に恩返しをしていくこと。素材が持つ魅力を探り、もっともふさわしいかたちで旨味を引き出し、五感で楽しめる一皿に表現していくこと。どこの国であっても、渡邉さんの精神は変わりません。
「パリで本格的な鮨と日本酒が味わえる店」と評判が広がり、各国のVIPも訪れているとか。今は2カ月先まで予約が埋まっているそうです。
 
 
※提供写真
 
 
北海道との違いを感じることや、刺激になっていることを教えてくれました。
 
「北海道なら活締めの鮮度のいい魚が手に入りますが、フランスでは魚を締めることをしないんですね。そういったところに文化の違いを感じることはあります。それと、フランス人はストーリーのあるものを好むようです。例えばブルターニュ産カキの藁焼きには、磯の香りがついたブルターニュの藁を使いますが、なぜそうするのかと料理に込めた意味や背景を知りたがりますね。フランスではお世辞ということがないので、お客様に来ていただけているということは、受け入れられているのかな、と。
 
パリに行ってから感度がとても高くなりましたよ。フレンチの日本人シェフたちとも交流があるのですが、向こうで成功しているシェフは人間的にも魅力的。負けていられないと思いますし、そのために磨かなければならいことは、たくさんあります。
 
フランスではいい店ほど週に2日・3日定休日をつくっています。仕事と休暇をきっぱり分けて、プライベートを充実させるのは素晴らしいことだな、と。いいところはどんどん札幌のTAKUに取り入れて、スタッフの働く環境を整えたいと考えています」。
 
 
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目標を尋ねるとこんな答えが返ってきました。
「一番の目標はパリでの店舗展開です。僕の料理や話に興味を持ってもらい、パリの人が北海道へ行ってみよう、というきっかけになれば。そんなふうにひとの行き来を通して、北海道とパリの距離を縮めることできたら最高ですよね」。
 
渡邉さんには、キャリアの節目節目に先輩たちからのアドバイスや、ひととの出会いがありました。向きあって話を伺っていると、それは、渡邉さんの人柄、自ら道を切り開いていきたいという熱が手繰り寄せたものではないかと感じます。そして、いきいきとした表情や話しぶりから、強い意志と同時に“今”を純粋に楽しんでいることが伝わってきました。
先陣を切った渡邉さんの大きな挑戦は、海外に出たいと夢見る北海道の料理人たちの大きな力になるに違いありません。
 
 
渡邉さんのマインドを味わってみたい方は、札幌でぜひ。
 
 
■TAKU
http://nfd-taku.com